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2016年10月の評価別INDEX & TIFF一言レビュ

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一気に朝夜冷え込むようになりましたねぇ。

今年も東京国際映画祭が終わりました。
今年の映画祭は何かと問題続きでしたが、なんだかんだと素晴らしい作品に出会えたなあと。

レビューを書くかもしれませんが、一言感想など。

『ノクトラマ』ベルトラン・ボネロ

今回、最も楽しみだった作品。ボネロの新作からTIFF開け。
少年少女たちの動機は明確には描かれず、ただ一夜の成功の陶酔感がそこに或る。
前作でウットリさせられたスプリットスクリーンが、今回はこんな風に使われるなんて。
冒頭で少女が主犯格の男に大学受験について尋ねるシーンがあるが、将来の相談をしつつ次に起こす行動が恐ろしい。
消費社会を象徴させるデパートと、一時の成功を喜ぶ若者たちの空虚な達成感が、見事に対照的である。
それより恐ろしいのは、この映画の持つ空気だった。主犯格の少年が言うような、資本主義がその構造からしてすでに持っていた崩壊。
その予感を映画の空気に感じさせる。

『ブルカの中の口紅』アランクリター・シュリーワースタウ

インド人女性監督による女性映画。
こうさらっと言ってしまうが、その実相当大変な努力が払われてのこの作品なのだろうと思う。
群像劇としても面白く見れ、構成もしっかりとしていて舌を巻いた。
大衆的娯楽映画とは少し毛色の違う、サタジット・レイやグル・ダットを思わせるような、社会派映画でありながら娯楽の要素も多分に見受けられる新鮮さが良い。
私にとっては、今まで見たインド映画の中でも、1,2位を争う素晴らしいものだった。

『ネオン・デーモン』ニコラス・ウィンディング・レフン

今現在のエルちゃんの美しさを思う存分堪能した。
女の美に対する執着や歪んだ自意識にホラーを見るのは正しい。
キメキメショットでぷぷぷとなるのは相変わらずレフンぽい。
今回は分かりやすかったのでは。
キアヌの小汚いおっさんぷりがウケるぅーw

『アクエリアス』クレベール・メンドンサ・フィリオ

素晴らしかった!
エンドロールで共同製作にウォルター・サレスの名と謝辞にペドロ・コスタの名を発見。
人生を豊かに生きる美しいお婆ちゃんの晩年の戦い。
もし公開されてもきっとボカシ付きになるから、TIFFで見るのは大正解だった!

『クラッシュ』モハメド・ディアーブ

2013年のエジプト政変、ムルシー政権剥奪された直後の混乱を、護送車の中という閉鎖空間のみで描く。
デモで逮捕されたムスリム同胞団と巻き込まれた人達、エジプト国内が真っ二つに分かれ混沌とした中に呑み込まれる。
車内のショットに始まり終演まで出れない。

『サファリ』ウルリッヒ・ザイドル

動物愛護団体が半狂乱になりそうな半ドキュメンタリー形式のこちらは消費社会と第三世界さえもがシンメトリーで描かれる。
動物と人間、白人と黒人。
しかし地球のヒエラルキーで見ると人類が一番要らない存在だと。
シマウマとキリンの解体シーンに心が粉砕される。
これは早く人の感想が聞きたい。

『鳥類学者』ジョアン・ペドロ・ロドリゲス

面白かった!イメージとしては大自然を静観するタイプのアート映画だが、違った。
ポルトガルの聖人アントニオを現代風に書き換え、その転生を大胆にアレンジした『エル・トポ』。
雄大な自然を背景に、エロティックで幻想的な奇譚。
見終わった後もずっと心に残るタイプの、深遠な謎に満ちた素晴らしい作品だった。

 


★★★★★

(特になし)

★★★★

  • アクエリアス ・・・4.7
  • サファリ ・・・4.7
  • ジャクソン・ハイツ ・・・4.7
  • ブルカの中の口紅 ・・・4.3
  • ザ・ギフト ・・・4.3
  • クラッシュ ・・・4.2
  • VIVA ・・・4.2
  • ノクトラマ ・・・4.0
  • ネオン・デーモン ・・・4.0
  • ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK ・・・4.0

★★★

  • 手紙は憶えている ・・・3.8
  • 600マイルズ ・・・3.8
  • ハドソン川の奇跡 ・・・3.7
  • 高慢と偏見とゾンビ ・・・3.5

★★

(特になし)

(特になし)

以上

好き嫌いのみで判断し、作品の完成度とは関係ないものとします。
評価は人の数だけあります。

 

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コメント(2件)

  1. TIFFで沢山ご覧になったんですね~羨ましい。
    でもこれらの作品のいくつかは来年には上映されると思うので待ちます。
    昨年のTIFFで評判良かった「born to be blue」が11月末に上映されるので楽しみにしていたら、N.Y行の飛行機の中で観れました~(英語のみだったけど)

    今月の評価別INDEXで私の観たのは「ビートルズ」と「ハドソン川の奇跡」のみ!
    「ハドソン川」は、N.Yから帰国後に観て正解!あの着陸候補地ニューアーク空港に着いたのですもの。

  2. cinema_61さんへ

    こんにちは〜♪
    おおっ。『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』タイトル変わって、『ブルーに生まれついて』早速ご覧になりましたか♪
    飛行機の中だと画面が小さいのですが、ヒューマンドラマである場合はさほど気になりませんね。
    イーサンの演技が凄く心に染みました。

    ニューアーク空港に到着したなんて、偶然でしたね。
    今年はNY旅行だったのですね。羨ましいな。
    ちょうどいい季節でしたでしょうか。もうすっかり寒いかしら。
    楽しまれましたか?




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