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『これが私の人生設計』 窮屈なイタリア社会を笑う

zinseji_sekkeiイタリア映画祭で評判だったこの作品は、イタリアの国民性を感じるコメディ映画。(イタリア映画祭で公開された時は、『生きていてすみません!』だったらしい。)
こと“コメディ映画”となるとなかなか公開されることが少ないのは、ユーモアを解するにはその人のセンスが要求されるばかりでなく、その土地の“文化”が滲み出るものだから、理解が難しいというのもあると思う。
例えばジャド・アパトーの関連映画なども、アメリカでは一定の人気を誇るとは言え、日本では酷い邦題が付けられた上にDVDスルーだったりするけれど、こうした一因があるためかもしれない。
だからこんなコメディを知ることは、その国の国民性を知る手がかりになる。理解のし難い、変わったセンスの可笑しな外国のコメディ達には、“それを楽しむ自国層”のごっそりとした根っこを感じるんですね。

という訳で今回はこの作品を選んだ訳だけれど、まず、自国に対する強烈なカウンターパンチを感じた。
笑いに包みながらも、閉鎖的で男性的なイタリア社会にメスを入れてくる。
“社会で生きていくには、誰しも何かしら偽っている”、仮面社会の窮屈さ。
日本の男性優位主義を思うと、イタリアでもそうなのかと悲しい気持ちになったりもした。
国際社会で活躍してきた女性ですら、ただ“女性”であるということで、“対象外”の烙印をされてしまうんだろうか。
だって、他の国では普通に建築家としてキャリアを積んできた主人公なのにね。

でも、ゲイの男達の魅力で、思わず楽しく見れてしまう。
細かく大げさなカット割で、セクシーなラウル・ボヴァの魅力が満載。
イタリア男はゴージャスでいいなあ〜
イケメンだけれどゲイの男に惹かれる、女として魅力の薄い主人公。
いつも精一杯で、自分を偽ったりすることのないヒロインに共感を感じたりもして。
このヒロイン、パオラ・コルテレージがとてもポジティブ。彼女の性格のおかげで、嫌味なく笑い飛ばしてしまう感じが良かった。

 

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