頑固親父のうなぎ屋 池袋 かぶと に行って来た!
鰻の名店数あれど、全国一位・二位のレベルの鰻屋ともなると、なかなかお目にかかれない。その鰻の名店「かぶと」の親父さんが、このほど3月に引退するということで、その前に何とか予約が出来た。
出てくる鰻の一通りは、
「エリ焼き二種(関東風に蒸したものと、焼いただけの鰻)」
「心臓」
「ヒレ」
「きも」
「一口蒲焼」
「レバ」
「白焼き」
「蒲焼き」
「肝吸い」
エリ焼き二種、関東風に蒸したものは、ベチャっとしていて風味が弱い。味の違いは歴然だった。
以前、初めて焼いただけの鰻を食べたことがあったけれど、こんなに美味しいのか!とビックリした覚えがある。
関東風はどうして蒸してしまうんだろう?
心臓は、「噛まずに酒と一緒に飲み込むように」とのこと。
お気に入りの「くくみ酒」と一緒に飲む。
ちなみに、親父は「冷酒で飲む奴は味が分からん」と散々言っていた。
ヒレ串、これまた上手い。串に絡みつくように丁寧に巻いてあって、うーん、この夢を見そうなほどに美味い。
肝は全く固くなく癖のない味。
白焼きが絶品。「山椒は最後にかけるように」とのことで、オヤジは「山椒をバンバンかける奴は味の分からん奴だ!」と息巻いている。そして、山椒の味自体が全然違う。最後の方でちょこっと山椒をかけたが、柚子の香りがそのままするような美味しい山椒だった。
蒲焼きは、うな重にする人も居たが、うな重にしない人には別盛りでご飯をどれ位盛るか聞いてくる。私の隣に座った常連のオジサンは白焼き無しのうな重にしていて、会計は5千円程度で帰っていった。
なんでも初めて行く客には天然物は出してもらえないということで、予約を二度入れた。1度目は12月、2度目は少し空いて2月。1度目は前日に電話がかかってきて予約の確認があったけれど、2度目は無かった。2度目の場合、「明日の予約は何時ですね、養殖にしますか、天然にしますか?」と連絡があるという話けれど、これが無かったということは、前日にかかってきた連絡を私が逃してしまったか(映画館等で電源を切っていたとか)、あるいは前日に天然物が手に入らなかったのだろうか?
寒い時期だし、季節外なので仕方がないけれども、これがおそらく我々の最後の訪問と思われるだけに、天然物が食べられずに残念だった。「もしかして連絡を逃してしまったせいだろうか」と悩んでしまった。もちろん、養殖でも十分美味しいのだけれど。ちなみに、その日は他の人も天然が出てきた人が居なかったようなので、やはりその日は天然ものが無かったのだろう…・
天然物の場合、“天然と養殖の食べ比べ”になっているらしい。経験した友人曰く「抱き合わせ商法」と言う。一度目に養殖を食べさせられているのだから(一度目は誰もが養殖しか出さない)、天然だけにして欲しいところなのに、必ずこうして二品づつ出てくると言う。確かに「抱き合わせ商法」と言われても仕方がないかもしれない。
ただし、養殖だけの日はお会計が1万円程度、天然物も出てくる日は3万円と3倍近くに跳ね上がる。
しかし口の悪いオヤジで、「俺の言うことが分からなければ帰れ!」「そんな奴にいくら言っても分からん、分からん奴はとっとと帰れ!」と息巻く、息巻く。
ちなみに、私たちは3人で行ったのだけれど、「お前ら頭悪そうだな!」と顔を見るなり一撃を食らわされた。
「特にお前!頭悪そうだ!」と言われた女子は、実は西洋文化研究の大学教授助手、曾祖父は大文豪。若いからと槍玉に上げて言われただけだと思うし、本人も特に気にせず「よく言われますよ」なんて流していたけれど、一緒に居る私は、彼女は本当に大丈夫だろうかと少し考えてしまったし、自分も若い頃はこんな風に、年上のオヤジ連中には当然のようにからかわれたもんだとつい考えてしまった。
でもまあ、口は悪いが、確かに腕は確かでもある。
「これだけのものを、この値段で提供している」という自負もあるのだろう。
味云々に関する言説は、冗談交じりに言っているようで、きっと全部本気なんだろう。
でも、親父ももう引退間近。
「鰻屋の頑固親父もまた、絶滅危惧種よ…」とちょっと寂しい気持ちになった。
関連記事
-
-
白馬友人宅でBBQ、長野「山の実」、栂池自然園
白馬の友人宅で、庭にビアガーデンを作った人が居まして、 ここで毎年BB...
記事を読む
-
-
恵比寿 emuN (エミュ) 有機野菜の美味しい一つ星フレンチ
久々にフレンチのコース 一番ワクワクするのはやっぱりフレンチですね♪ ...
記事を読む
-
-
カリフォルニア料理の名店・シェパニースに行って来た
カリフォルニア料理先駆者による、予約の取れない名店 サンフランシスコは...
記事を読む
-
-
肉山 & 肉小屋 師匠&弟子対決!
肉山 予約困難で行きたくてもなかなか行けない人気店、肉山@吉祥寺。 食...
記事を読む
-
-
ニセコスキー旅行 その2 味浪漫、旭山動物園、ふくろう亭
2日目 大雪&強風で、交通機関は大変なことになっていましたが、おかげで...
記事を読む
コメント(2件)
前の記事: 『グッドナイト・マミー』 未公開映画特集の中に優れたホラー発見!
次の記事: 『ディーパンの闘い』 ラストの意味は?
とらねこさん☆
ひえー、これはディープな鰻屋ね。
いきなりのパンチはある意味最近では珍しい、それこそ絶滅危惧種なのかも。
今なら「俺様」と言われる人種なのかもだけど、職人ならばそのくらいが頼もしいかな。
ところで下から2つめの写真は何かしら?
お酒飲める人なら、本当に堪能できたことでしょう☆
いいな~~
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ディープというか、これでも食べログ鰻全国一位、TOP50のお店なんですよ〜
下から2つめの写真が、「鰻の心臓」なんですよ。
これ、お客に配ってた時はまだピクピク動いていたの!
そうなんです、お酒もすごく美味しいんですよ、ここ。
大将が酒好きのようで、酒のチョイスにもとっても自信があるんですって!