『グッドナイト・マミー』 未公開映画特集の中に優れたホラー発見!
こんなに面白い作品が未公開だなんて、勿体無い!
マンション内で繰り広げられるワンシチュエーション・ミステリーでありつつ、そこはかとなくホラーっぽさが染み出てくる。このジワジワ来る恐ろしげな描写がイイネイイネ!全貌が見えないながらに画面の美しさに目を奪われるところもミステリアス。全体に渡るピンと張り詰めた緊張感が、これに歯止めをかけたり拍車をかけたりする。不思議なバランスが面白い。
ホラーのジャンル的な“やり過ぎ”が無い分、余計に何が起こるか分からない。そしてそこが怖い、と思わせる。上手い!
双子の兄弟はまるで『悪童日記』ホラー版。二人で過ごすあの時間が、彼らにとってかけがえのないものなのだろうなあ、子供の頃のふとした孤独さを思い出させた。母親の無理解に腹立ちを覚え、すっかり子供目線で見ていたところ、トンデモない羽目に…。
オーストリア映画ということでウルリッヒ・ザイドルっぽさ、はたまた「シッチェス映画祭グランプリ繋がり」ということで『ボーグマン』のアレックス・ファン・ヴァーメルダムっぽさがあるなあ、などと思ったら、エンドロールで製作がザイドルと知る。さらに監督はザイドルの奥さんだった!セヴェリン・フィアラ。これは驚き。
ウルリッヒ・ザイドルは、シンメトリックな画の精巧さの合間から、人間の醜さや欲、歪さがはみ出してくるところに面白さを感じるけれど、セヴェリン・フィアラの作品は、ザイドルのようなアート性を感じさせながらも、さらに分かりやすくし娯楽性を与えたイメージ。暴力性や恐ろしさが闇に隠れているようで、私は好みのド真ん中。イイです!
これはありがちなホラーに飽きた人に、オススメ出来るホラー!
この先、ネタバレ
あのサイズのゴキブリは、マダガスカルゴキブリですね。口の中に入るシーンはCGだろうけれど、こんな風にCGが似合わない作品で「ここぞ」というところで使われると、CGって効果的だなといつも感心してしまう。
P.S. 【グロ注意】これ恐ろしいけどメチャ面白かった。
【コラム】ゴキブリを食べたとき、「ウマイかマズイか」より先に頭がショートした
2016/02/07 | :ホラー・スプラッタ オーストリア映画
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コメント(2件)
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むむむ・・・
面白うそうでやんすな
観たーい♪
サイ5150さんへ
これ面白かったよ〜!
これもう公開は終わってしまったので、DVD化されるのを待ってみてね〜!
これ人気だったので、本当は1日に一度づつ/一週間のみの公開だったのだけれど、これだけ1日に3回かけられてたの。
もう一度どっかでやってくれたらなあ。
シネマカリテなどで救い上げる企画もあるし、それに引っかかれば良いのに。