『マイ・インターン』 自分の人生をもっと大切にしたくなった
この映画は、清楚ですっとした美人さんなんです。ちょっと世俗的な趣味であるかもしれないけれど、言うことは間違っていない。育ちの良いお嬢様ではあるけれど、見ているだけで清清しい気持ちになる。そんな感じの子を前にすると、何となくウキウキしてくるでしょう。たぶん名器の持ち主と思われる。
デ・ニーロは演技達者な人だから、ヤクザの親分ばかりでなく小物まで演じることが出来るのは、タランティーノが『ジャッキー・ブラウン』で大昔に証明してみせたことだったけれど。デ・ニーロは最近は好々爺を演じる事の方が多いみたい。以前は自分のプロダクションで映画を撮るために、いろんな仕事をポンポン引き受けていたけれど、最近はどうなんでしょう。単に役者として仕事をする方が好きだ、と自覚をしたのかな。
これ、普通のアメリカ映画だったらアン・ハサウェイ演じる女社長はもう少し嫌な性格であると語り始めて、デ・ニーロも年を取っている分世間ズレしているところを描いていたと思う。でもそれをあえてやらずに、二人とも好意的にしか描かれていないんですよね。レネ・ルッソの役どころもそうだけれど、アダム・ディバインを始めとしたデ・ニーロの同期役も皆、イイ人ばかり。嫌な人が出てくることの無い映画なんですよね。
アンハサ演じるヒロインの旦那(ザック・パールマン)の不倫だって、ラストでふわりと気持ちのいい方向に漂着するし。
この作品は、大筋のストーリーよりも細かな演出や、各所での台詞が生きている作品だったなと思います。OLもリタイアした老人たちも、皆前向きになれる。
意外にも各所で心を刺激され、いつの間にか泣いてしまった。
10秒で自分を自己紹介出来るオジサンは宝ですよ。
ストレスの多い社会の中で地道に頑張る人に優しい、紳士のハンカチのような作品でした。
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コメント(4件)
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こんにちは。
ほんとにホッとするハートウオーミングな映画でした!
リタイアした老人の鏡のような彼も、やはり女性は若い方が好み?(まあ、私も若い男性の方が好きですけど)
彼のような有能な高齢者がたくさんいて、アン・ハサウェイのようなデキル女性と理解ある配偶者がいれば、日本の将来も明るいと思うけど・・・・
cinema_61さんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
本当に気持ちのいい映画でしたね。
女性のための映画のように思えて、その実はオジサンたちこそ元気になる映画でしたね!
>リタイアした老人の鏡のような彼も、やはり女性は若い方が好み?(まあ、私も若い男性の方が好きですけど)
この一言、とても鋭い!私も一瞬そう考えました。
ただし、レネ・ルッソの役どころが、もしかするとこの先彼と…という可能性を秘めていたのですよね。
どう見ても地味で小粒感っぽい予想をしてた作品ですが
結構、タメになるセリフが多かったことに気が付きましたよ。
ハンカチってそういう使い方をするんですね。
ただ、ハンカチを普段持ち歩かないワタシは論外ですが(爆)
これからハンカチを持ち歩こうと心に誓いました(大げさな)^^;
itukaさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ハハハw!台詞が良かったですよね。
「ここでこれを納得させる一言」的な物を置く、と考えたら、イマジネーション豊かで、かつピッタリの台詞がそこに自然にあるという、
私はうーん、と唸ってしまいました。
ハンカチ、是非是非持ち歩いちゃってください。
そんで私が泣いてたら、「女性には涙より笑顔が似合うんですよ」とか言って欲しいの!