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【今月のブルー映画】『ブルーに生まれついて』 イーサン・ホーク演じるチェット・ベイカー映画

born_to_be_blueこのカッコいいショットから始まるのは、イーサン・ホーク主演の最新作。TIFFにて一足お先に見て来ました。これはきっと公開されるだろうと思います。
ちなみにこちらも私好みの“ブルー”がタイトルに付く映画ということで、「今月のブルー映画」。

さて、ジャズ・ミュージシャン、チェット・ベイカーを描いたこの作品。なんとこの監督、ロバート・バドローにとってはこれが2作目のチェット・ベイカーの伝記映画だとか。何と深いチェット・ベイカー愛!

今回の作品は、監督に言わせればチェット・ベイカーの暗黒時代。その時代を3つに分けるなら、一つは飛ぶ鳥を落とす勢いで有名になっていった若い頃の黄金期。もう一つは事故を起こし、再起不能と呼ばれ復活するまでの長い低迷期。そして最後は復活しもう一度名声を築いた晩年。その2つ目の一番辛い時期がここに当たると言う。

ここでのチェット・ベイカーは、借金を返さないことでマフィアに顎を砕かれ、彼の全てだった音楽家生命を断たれてしまう。彼の伝記映画の撮影中だったが、もちろん打ち切り。そして、初めて自分が心から愛せる女性と出会え、音楽家としてのプライドをかなぐり捨て、ドラッグからも足を洗って、一から頑張って行こうとするチェット・ベイカー。いわば“天才”が”1人の人間”になる瞬間なのだから、思わずグッと来てしまう。
映像もジャズの叙情性を匂わせるような、極めてこってりとした味わい深いもの。フリーキーで色っぽい作品のタッチもなかなか。

ちなみに、この作品で音楽を担当しているジャズ作家のデヴィッド・ブレイド氏は、トロント映画祭でチェット・ベイカーのマネージャーをしていたこともある女性に出会ったらしい。彼女は長年チェット・ベイカーの性格がとても嫌いだったけれど、この映画を見てその思いを改めた、とのことです。

イーサン・ホークはここで歌を披露してますが、ボイスダブルではなく本人によるもの(まあ、声が同じなので気づくと思いますが)。
ちなみに前作の短編は『The Death of Chet Baker』。たった6分の作品で、チェット・ベイカーの死ぬ瞬間を描いたワンシチュエーションムービー。ここでチェット・ベイカーを演じた俳優のスティーブン・マクハティーが、この作品では父親役を演じてました。歌もこの俳優さんが歌ってます。『My Funny Valentine』。

チェット・ベイカー本人による『My Funny Valentine』。イーサン・ホークやスティーブン・マクハティーは歌下手だけど、本人はそこまで下手じゃありません(笑)。ちゃんとミュージシャンレベルですよ。

2015年、アメリカ
監督:ロバート・バドロー
出演:イーサン・ホーク、カーメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー

 

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コメント(6件)

  1. 観たい度MAXです~
    IMDbでも8.7と超高評価でイーサン・ホークが繊細に演じているとか・・・・。
    今のところ日本での上映は未定ですね。

  2. cinema_61さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    そうなの!すごく評価高いですよね、この作品。
    実力はある作品なんですが、TIFFでは何の賞ももらえずじまいではありましたー…。
    トークショーを別の回に聞いた人によると、監督の話では来年に公開になるかもしれない、とのことですよ。
    https://twitter.com/maplecat_eve/status/658665074752536576

  3. こんにちは。
    私もこの作品をTIFで観てきました。
    そうなんです、無冠なんですよね。でも、すごくいい作品だった…!
    よろしかったら当ブログにもおいで下さい。

    http://tokokonats.exblog.jp/24993276/

  4. ここなつさんへ

    こんにちは〜♪すごいお久しぶりです!
    コメントありがとうございました。

    TIFFでご覧になったのですね。
    TIFFではすごく評判が高かったんですが、ブログに書いている人は少ないですよねえ。
    無冠ですが、とても心に残る良い作品でした。
    はい、早速お邪魔いたします!

  5. こんにちは。弊ブログにご訪問して下さりありがとうございました!
    そうですか。評判は良かったんですか。…やっぱり。
    でも逆にイーサン・ホークならここまで出来て当然、という感じだったのかな?

  6. ここなつさんへ

    こんにちはアゲイン♪
    イーサン・ホークは本当に素晴らしかったですね。
    これが公開されたら、きっと彼の演技は絶賛されることと思います。楽しみですね。




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