マルコ・ベロッキオ 『私の血に流れる血』 解読不能だが惹かれる
今年もTIFFこと東京国際映画祭が始まりました。解読不能な作品で、頭を鈍器でぶん殴られたような…クラクラした。いかにもTIFFが始まったなという気持ちになりましたよ。
クラシカルで重厚な中世パートが混乱を極める現代パートを挟むミルフィーユ。いやはや、狂ってる!
名高い聖職者であったファブリツィオの自殺により、教会的に汚名を着せられて死んだ者達の墓と一緒に埋葬されることになった。「絶望して死んだ」その事自体が不名誉なことだと言う。
どうやら、ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』さながらの背景が、そこには裏にあるようだった。彼を堕落させた女の存在があり、この女(=ベネディクト)が悪魔であるという証明が出来れば、彼に着せられた汚名を晴らすことが出来るという。自殺したファブリツィオの弟であるフェデリコ(ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ)は、苦々しい思いでベネディクト(リディア・リバーマン)の魔女裁判を見ることになった。
メタリカの名作“Nothing Else Matters”が21世紀のベロッキオ作品にてアカペラバージョンでレザレクション。
川に身を浸す姿を眺めるフェデリコのショットが秀逸なんだけど、ここで一度目にこの曲が流れる。幽玄な雰囲気。水底に沈むベネディクトのシークエンスはここにも被ってくる。そしてラストの不思議なレザレクション(これは幻覚なのか、本物なのかが分からない)。ここで同曲が流れるラスト!
レザレクションと吸血鬼の不死を同時に語るなんて、一体どうなっているのだろう…。そして、これをどう解釈すればいいのかさっぱり分からないw。
キリスト教についての知識やセンスが無いと理解が及ばないものがあるので、キリスト教に詳しい人からの解説が聞きたいdeath。
ピエール・ジョルジョ・ベロッキオがベロッキオの息子なのは、『眠れる美女』にも出てたから知ってるわけだけど、そのピエールジョルジョにソックリなアルベルト・ベロッキオはどなた様?マルコの兄弟?エレナ・ベロッキオは娘で良いのかしらん?
訳が分からないけれど、何故かもう一度見たくなる不思議(笑
2015年、イタリア・フランス・スイス
原題:Sangue del mio sangue
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ロベルト・ヘルリッカ、ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ、リディア・リーバーマン、アルベルト・ベロッキオ、エレナ・ベロッキオ
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