アレックス・デ・ラ・イグレシアでデラ上がる! 『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』
ラテンビート映画祭にて鑑賞。
アレックス・デ・ラ・イグレシアに遅らばせながらハマりました。
いかにもラテンぽい血の濃さを彼に感じるんですよね。スペイン語の響きがすごく好きなんですが、ラテンの騒がしさ、陽気さ、茶目っけ、同時に深い哀しさ。そして人生に対する鋭い洞察力。こうしたものが全部混じり合って複雑な感情を呼び起こすところを、私はどこか“スペインぽさ”だと思っています。そんなスペインらしさを、デ・ラ・イグレシアには感じるのでした。
去年、2014年のラテンビートで彼の特集を組んでいて、その時来日しているのですが、会えなかったので残念。去年はLBFFでは4本の公開、『スガラムルディの魔女』、『ネスト』(←『トガリネズミの巣穴 』のタイトルにて)、『メッシ』、『ビースト 獣の日』。一般公開としては去年一年の間に、『スガラムルディの魔女』と『刺さった男』の2本。ちなみに『ネスト』は別の監督(エステバン・ロエル、フアン・フェルナンド)でイグレシアは製作のみ。
今回の作品は、何とも抱腹絶倒の大騒ぎコメディ。大晦日の喧騒がよく似合う、ドタバタ喜劇に大笑いしながら拍手喝采を送りたい気持ちになった。
人一人がTVカメラに潰されて起こる事故のホラーっぽさ、いきなり度肝を抜く冒頭から始まる辺りがいかにもイグレシア!TV収録でエキストラが周りとキスしたりもつれ合ったりの、“大晦日”らしさを演出するシーンのエロ剥き出しさ加減で盛ってくる。そこで初めて気づく、”不幸を呼び寄せる女”の存在…。
“人間存在こそが怪奇そのもの”といった具合に、同時に人間の底意地の悪さを風刺的に映し出す辺り、『刺さった男』を思い出したりも。『スガラムルディの魔女』もそうだけれど、ハイテンションの渦に飲み込まれながらも、監督の人間観察の鋭さや冴え渡る知性を感じる不思議なテイスト。今回はそれに、“大晦日らしさ”が加わってる。人を楽しませようとする娯楽精神に満ちたものから出来上がってるんですね。
最初から最後までアゲアゲのハイテンションでありながら、恨みを持った人間はその恨みが消え去ってしまったり、妊娠騒ぎで賠償金を吹っかけようとするビッチと歌手もラブラブに。喧嘩ばかりの夫婦も和解…。
“不幸を呼ぶ女”の存在も、これがメインと納得の行く面白さで大好きでした!
イグレシア・ファミリーとも言うべき、カルロス・アレセス、カロリーナ・バング等よく見かける俳優たちが毎回変身してます。これもだんだん楽しみになってくる。イグレシア狂になりつつある私…。
2015/10/21 | :コメディ・ラブコメ等 スペイン映画
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コメント(2件)
前の記事: 『三人の結婚』 恋愛はいつだって修羅場ゲーム
こんばんは^^
こう言う記事を読むと、つくづく都会にお住いの方が羨ましくなります。
アレックス・デ・ラ・イグレシアをスクリーンで観るなんて、うちの様な田舎では夢のまた夢なので^^;
『スガラムルディの魔女』と『刺さった男』をWOWOWで観て『気狂いピエロの決闘』を見逃したことをどれほど後悔したことか;;
スペインの監督さんって変態が多くていいですよね(笑)
amiさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
わーい、アレックス・デ・ラ・イグレシアでamiさんが反応してくださるとは!
amiさんは私のツボに反応してくださるので、嬉しくって
どんどんamiさんが気になる存在になってしまう〜!
『スガラムルディ〜』と『刺さった男』もご覧になってたんですね!
この2つ見たら、イグレシアの変態クレイジーっぷりにヤられてしまいますよね。
『気狂いピエロの決闘』は、その2つと少し違うイメージがあるんですよ。私は、「まるで、トッド・ブラウニングの『フリークス』を韓国映画で煮詰めたみたいな映画だな」、と思いました。
とにかくイっちゃってて付いて行けないんですが、心に残ってる変な映画です…。