『ドローン・オブ・ウォー』 最新の戦争事情
「ワンクリックで壊れるあのピクセルは、実は人間なのだ。
これはプレイステーションじゃないんだぞ。
だがXboxを元に作られた」。
21世紀の戦争へようこそ。
様々な批判を受けながらもその数が莫大に増えたという、2010年のアメリカの無人戦闘機。ドローン偵察機から遠隔操作で爆撃を行うという、まさに最新のウォー・システムは、エアコンの効いた狭いコンテナからまるでゲームでもするように、戦争が気軽に出来てしまう。あまりに簡単で、その事実に否が応でもショックを受けた。まるでSFのような手ざわりだ。これが現実だとは!
陸軍の勲章の付いたジャケットにシャツを着ていても、実際に戦地に派遣されることはなく、実機で飛ぶ必要もない。ラスベガスの酒屋で買い物をし、妻や友人たちとバーベキューをする週末。ラスベガスの砂漠にある基地から自宅へ帰ると、ゴミ一つ落ちていない小綺麗な新興住宅地だ。
ラスベガスという場所は、数マイル離れれば実際砂と岩のゴツゴツした何にもない砂漠。逆に、まさに砂漠のオアシスさながら、大都会が急に現れることに目を見張る。この大都会の真ん中は皆の知っているあの光景、ド派手なネオンが極彩色を誇り豪奢なホテルが立ち並び、真ん中には大きな噴水がある。
中東の砂漠の風景と、ラスベガスの砂漠とがどこか似通っているところを彷彿とさせながらも、すぐ近くにラスベガスのような歓楽街が対照的に存在している地理性。これがあまりにも効果的な舞台設定となった見る者を圧倒する。
戦争の是非については、保守もリベラルも同時に満足させるような、よくある表現方法。賛否両論を盛り込みつつ、戦争批判も少し織り交ぜるが、保守派の意見も戦わせる。そこにある危機のために先に攻撃するからこそ、ISのような報復機械を作り出すのか。延々と繰り返される報復の連環。「自分達が攻撃をやめたら、じゃあ相手も止めてくれるのか?そうじゃないだろう」と語りかける軍曹と、心が折れて続けることが出来なくなった少佐。
地味ではあるがこの切り口の戦争映画はこれまで無く、乾いた人間の心が砂漠のように虚しく広がるばかり。心に残る。
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無機質な戦争になってますね。
前線に行かないので苦痛を全く感じないから
まるでゲームの延長のようで怖いものを感じます。
いずれ相手国もドローンで報復して来たらってこと
劇中でちょこっと言ってましたが
それもあり得ますよね。
レイプ親父のオチだけスカッとしましたよ(笑)
歌舞伎町の女王様だったら初日の親父の行動に下肢で首締め
即落としてますよね(爆)
itukaさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
本当ですよね。戦争がまるっきりゲームまんま。
戦争サラリーマンが出来てしまうことが逆にショックでした。
確かに、相手国も対ドローン戦が出来てしまいますよね。
全世界に戦争の境目も無くなってしまうのだから…。
日本もゲーム参戦するようになるのかもしれませんよね。
レイプ男は、スカッとするというか、私が思ったのは…
本当に“小さな正義”ってことでした。
これだけは“正義”と呼べるものであって欲しいという。
そう考えると、この矮小化という表現は、なかなか良かったなあ。
歌舞伎町の女王話(笑)
無理やり笑いに繋げてくれて、ありがとうitukaさん。
今、思い出してドヨーンと落ち込んでました^^;
ちなみにあの股バサミ攻撃は、習得できてないですよ〜w
だって、練習台がいませんやん!
え?練習させてくれる?!
股洗って待ってます(おい