rss twitter fb hatena gplus

*

『ハンナだけど、生きていく』 等身大の会話劇は飽きない

CKg-1LtWoAAEMTF自分にとっては女優さんという存在はそれほど興味が無いせいか、エマ・ストーンとエマ・ワトソンとエマ・トンプソンとエミリー・ブラントのように、ちょっと似た名前があるだけで、すぐにごっちゃになってしまう。だけどグレタ・ガーウィグのことは間違えようがない。グレタ・ガルボと間違える?いや、それはないでしょう(笑)。
そのグレタ・ガーウィグが主演し、脚本も書いている『フランシス・ハ』は、思うほどにいい映画だった。等身大の女性の悩み、“少女から大人になる”あの痛みをありありと描いて鮮明だった。彼女は、一見すれば普通の女優さんなのに、その個性は見事。才能もあるということで今後も要注目の人だと思う。

監督・脚本・撮影・編集・製作と一人何役もこなすジョー・スワンバーグは、今やアメリカ・インディペンデント界きっての雄。私は『ドリンキング・バディーズ(飲み友以上、恋人未満の甘い方程式)』で初めて見たのだけれど、こちらはタランティーノがその年の(仮)ベストに入れていた。
なんでも彼らの周りでは若い映画人達が仲が良く、話し合ってすぐに「じゃあ映画を撮ろっか」ぐらいのノリで話が決まるのだとか。フットワークの軽さに驚くし、いかにもインディペンデントの映画人らしい、ワクワクするエピソードだ。

この作品もそのようにして出来たのだろうか?
インディペンデントで予算を気にせずに作れるのは、何と言ってもこうした会話が中心の恋愛劇なのだろう。
『ドリンキング・バディーズ』で証明したように、アドリブで作られることで映画のダイナミズムが生まれてくるような、一期一会の勢い。
撮影はスワンバーグ本人がやっているため、ところどころ見づらいところもある。でも、少人数の撮影で密な関係性があるからこそ、グレタ・ガーウィグは平気でここまで自分をさらけ出すことが出来るのかも。

普通の映画ではあり得ないような、“無駄な”ヌードもある。グレタ・ガーウィグは冒頭でいきなり乳房を出し、ただの着替えのシーンでヘアも厭わない。二人のカップルが全裸でトランペットを吹くシーンでは、萎びたままの男性の下半身がおもむろに登場する。
でもそこには、いかにも今ココに人物が生きているかのようなリアリティがある。観客はきっと、自分の知り合いが出演しているかのような錯覚に陥るだろう。等身大の人間の姿がここにあった。

 

関連記事

『帰ってきたヒトラー』 このご時世じゃ笑いたくてもワロエナイ!

ヒトラーは生きていた!? 「源義経はモンゴルに渡り、チンギス・ハーンに...
記事を読む

『神様メール』 新・新約聖書がもし書かれたなら

映画の面白さについて語るのはいつも難しいことだけれど、とりわけこの作品...
記事を読む

『これが私の人生設計』 窮屈なイタリア社会を笑う

イタリア映画祭で評判だったこの作品は、イタリアの国民性を感じるコメディ...
記事を読む

パン・ホーチョン 『愛のカケヒキ』 女同士のバトルが面白い!

中国映画週間にて。 そうか、香港は中国に返還されたから、“香港映画”で...
記事を読む

アレックス・デ・ラ・イグレシアでデラ上がる! 『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』

ラテンビート映画祭にて鑑賞。 アレックス・デ・ラ・イグレシアに遅らばせ...
記事を読む

1,778

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑