『エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウィルス』 最高のエログロ・パンデミックホラー
大・傑・作!!!! ですよアナタ!
ハーマン・ヤウの『八仙飯店之人肉饅頭』は、“生涯見るべきリスト”にずっと入っていた。それが今回「スーパークレイジー極悪列伝」特集にて、ようやく見ることが叶いそう。やほ〜!
こちらの特集、ずっと前からチェックしていたにも関わらず、チラシが出回るのが早すぎて、すっかり忘れてました。気づいたら始まっていたという。ヒューマントラストシネマ渋谷では、すでにシアター3になってしまった後(きっと、1もしくは2から始まったよね?!)。ああ、後悔先に立たず。
でも、見れるだけでも良しとしよう。なぜなら最初に見たこの作品が、あまりに最高だったから!
以前、銀座シネパトスで公開日に見た『忍者』(観客は自分達2人を含め4人)が、どう好意的に評価しようとも救いようもなかったハーマン・ヤウ。しかし、こちらを見たらすっかり機嫌を直してしまった。「この監督は全部見ようかな」とまで今や、思っている次第ー。
ゴキゲンですっ!!
この作品、とことんグロいし、何より不衛生さが恐ろしく、生理的嫌悪感を容赦なく煽ってくる。そんなホラーである。
そして、何よりも目立つのは凶悪な下品さ。このセンスが楽しくて仕方がない!?
人にとってはキツイ描写もあるかもしれない(汚すぎて)。
しかし、こうした下品さこそ、実は不可避な要素。これをやらなければ私はきっと満足できなかった。
「こんな作品を待ってた!!!」ぐらいに、心の底から気に入ってしまった次第。
とにかく嫌悪感を煽ってくるカットの積み重ねが、ホント楽しくてしょうがない。レストランで普通に働く描写一つ、アンソニー・ウォンがカエルを4,5匹、普通に捌(サバ)いてたりしてエグい。タクシーで到着するシーンの前に、ネズミがぺしゃんこになったり。
人肉バーガーを作るまでが圧巻である。食べ物に不衛生さを感じさせる、いくつものカットの積み重ね。加えて、主人公アンソニー・ウォンの見事なまでのクズっぷり描写連発。ブラック経営者カップルのセックスと、性欲と不満が溜まっていく主人公。安い豚肉を求めてアフリカの村に買いに行き、豚と思って斑点の浮き出る人間の死体をめくってみたり。さらには、倒れている現地の女をレイプし、その途中で女は痙攣を起こして死んでいく。経営者の女もレイプして殺したり、もうやりたい放題。なのに、彼の目線で最後まで楽しめる。
汗や唾液、精液から感染していく様を見せつける辺りも最高に笑える。
「いつエボラウィルスがパンデミックになるんだろう」と楽しみでしょうがなかった。満を持していよいよ、殺人バーガー!もう爆笑だ。
さすが中国料理。料理でホラーを描かせたら、中国圏の圧勝に違いない。
「エボラや〜、エボラや〜」と言いながら、射殺されるまでの行動もダレずに見せる。
少しも飽きず最後の一滴まで楽しめるホラー。優秀である。
ホラーで人を楽しませる最高のスパイスは、その下品さなのだった。無軌道になればなるほど、胸をすく恰好良さにすら思えるのは何故なんだろう。変態になり切れない駄目なホラーは、これを見て一から根性を叩き直すべきかもしれない。
分かってる人はイーライ・ロスみたいに“出来る子”になれるんだと思う。
2015/08/11 | :ホラー・スプラッタ 香港映画
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コメント(4件)
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やっと見に行くことができました
八仙飯店之人肉饅頭
最初にご紹介のエボラ見といて良かったです
エボラの良さも日に日にシミジミとジンジンと感じるよーになりました
特にアフリカ旅行シーンの不思議映像とか
ご紹介いただけなければ
あやうく名画2本見逃すところでした
ありがとうございました
よしはらさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
私も見て来ました、人肉饅頭!
いやー…すごかった。エボラとはタッチが全然違いますね、似たような話ではあるけど。
アフリカ旅行…アンソニー・ウォン自体が南アに逃げてきたという設定なので、少し足を伸ばした原住民の村、ということですかね。
私、正直言うと人肉饅頭よりエボラの方がずっと好きでした。
人肉饅頭の食べさせるシーンのしつこい撮り方には満足でしたが、エボラの方は食べさせるのみならず、パンデミックが拡がっていくのが楽しくて楽しくて。
いやいやいや(稲川風)見ましたよ~。
エログロナンセンスたっぷりの怪作ですね
ほっほっほ♪
にしてもアンソニー・ウォンってなかなかのカメレオンぶりっすね
サラリーマンな真面目ガイ、キレまくりの極悪人、そして衝動的クズっぷり野郎と三者三様
エボラでは髪が長かったせいもあって最初の数分気付きませんでした
ホラーを創るにあたり、このぐらいはっちゃけてくれると
うれしいし、振り切れ加減が絶妙なんすよね
サイ5150さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
これ、すごい面白かったでしょ!ふふふ
あの3本て、本気でアンソニー・ウォンに惚れちゃう、いい企画だったなあ〜♪
一番マトモなのがあのタクシー殺しだというw
そうそう、振り切りっぷりが良いんですよね。
何度も爆笑しなかった?
でもこう考えると、あの『タクシー・ハンター』もそれはそれで、なかなか良いと思いません?
アンソニー・ウォンは他の普通の映画で見ると、全然違うイメージなんですよね。案外普通の顔も出来るのw
『インファナル・アフェア』、『ツインズ・エフェクト』『頭文字D』なんかで見てたんですよー。