『修羅雪姫 恨み恋唄』『動脈列島』 梶芽衣子特集
『修羅雪姫 恨み恋唄』
今回の梶芽衣子特集、正確には「デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子特集」。
“タランティーノばかりか、世界中にファンの居る女優・梶芽衣子の特集”…素敵なコピー!
1の『修羅雪姫』にどうしても比べてしまうと、映像的にそれほど来るものを感じず、印象が弱い。前作のヒットの後追い感が強く、これ以降にこのシリーズが作られなかったのも納得いく感じ。
処刑される間際の罪人である彼女を奪い、政府高官により政治犯を追う役割をさせられる。政治犯と言っても、頑迷な当時の大日本帝国の政府の役人・岸田森は、最初から悪役。岸田新、ほんのちょっとのメイクだけで化け物感満載、いつも通りの怪演でした(笑)。
政府転覆を目論む政治思想犯は、伊丹十三が出演していて驚いた。準主役扱いなので、出ずっぱりの大活躍!これだけでも見てよかったかもw。
『動脈列島』
さすがの増村!これは傑作。増村の後期は『音楽』がつまらなかったので、この作品以降の時代は、急いで見ないことに決めた。そこで去年スルーしてしまったこちらを改めて。
しかし、やはり面白い!
増村保造と白坂依志夫の共同脚本であるこちら、リアリティがあって本格的。堂々たる社会派サスペンス。さすが!当時、『新幹線大爆破』がこの作品の公開2ヶ月前にあったらしく、内容が被るためか興行収入が振るわなかったらしい。『新幹線〜』の方は未見であるものの、特撮技術を使わずリアリティのみを重視したこちらの方が好きだ、と言う人もきっと居るに違いない。
完全なるフィクションとのことだけれど、名古屋市熱田区と始まるこの作品、当時新幹線による騒音公害の訴えや裁判はあったようだし、全くもって絵空事という訳ではないのね。
いくら反対団体が掛け合おうとも、全くもって取り付く島のない国鉄。新米医師の秋山(近藤正臣)は看護師の恋人・君島(関根恵子)にニトログリセリン15gを用意するよう言いつけ、ヨーロッパへ旅行すると言って消える。
その後、新幹線のトイレから、筒状のものに密封されたニトログリセリンが発見される。そこにあった脅迫状には、「今回は実行しなかったが、実行していれば新幹線の転覆も可能だった。以下の通りの対策を早急に行なえ」と、極めて理にかなった騒音対策の実施要求がいくつも書かれていた…。
新幹線に停止信号を載せた電波を飛ばすべく、新幹線がすぐ傍を走る幹線道路に車が並列に走るシーンがあるが、このカーアクションが何ともリアルで迫力がある!その他、クライマックスで新幹線の線路にショベルカーを落とそうとするシーンは、ちょっと冗長ではあるが真に迫っている。
ちなみに私は先日、この作品を見た後に新幹線に乗る機会があったので、新幹線が通る時、どの位うるさいものか聞いてみた。結構静かに音もせず走っているイメージだったのだけれど、案外音が五月蝿いんですね。犯人が国鉄総裁(山村聰)に録音して聞かせた、「これが100ノットの騒音だ!」という当時の音と現在は違うのだろうけど。
関連記事
-
-
『コングレス 未来学会議』はコチラ
アリ・フォルマン監督の『コングレス 未来学会議』、公開されましたが少し...
記事を読む
-
-
相米慎二を育てた男 プロデューサー伊地知啓 特集 『雪の断章』『セーラー服と機関銃 完璧版』『光る女』
雪の断章 情熱 屋根に哀しみ乗せた列車の〜♪ 斉藤由貴が出演していると...
記事を読む
-
-
ルビッチ・タッチ!(3)『天使』『ニノチカ』『青髭八人目の妻』
『天使』 こちらがまた最高! なんて、なんてカッコイイ作品なの! この...
記事を読む
-
-
ルビッチ・タッチ!(2)『天国は待ってくれる』『陽気な中尉さん』『花嫁人形』
天国は待ってくれる ルビッチの映画がメチャクチャ面白くて、今回の特集に...
記事を読む
ウワーン、「動脈列島」またしてもスケジュール合わず見逃したぁ。ついこの前も見逃したんだよね。
ところで「動脈列島」の梶芽衣子さんはどのような感じでしたか?
imaponさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あっ、すみません。『動脈列島』の梶さんがどんなだったか、大切なことをレポートし忘れたぁ。
ここでの梶さんは、犯人に出会って部屋に連れてきて匿い、セックスしたり、犯罪を手伝ったりしてました。
黒髪が美しい、現代風の女性でした。
梶さんと別れる瞬間はちょっと切なかったです。
でも私は、現代衣装の梶さんより、和装の方がカッコ良くて好きだなあ♡