rss twitter fb hatena gplus

*

『共犯』 台湾の若手映像派監督、どこまで化けれるか?

img_0_m静かに進むのに熱量が高い、チャン・ロンジー(『光にふれる』)の新作。
今度も力のこもった出来だった!
映像でしっかりと伝えるこの人の作風、今回はサスペンスフルな描写になっていて惹きつけられた。
孤独な死の真相を探る少年たち。

Facebookや掲示板等のSNSを初めとしたネット社会の闇と孤独。
だがいじめ問題については日本ならばもっと闇の濃さが強調されるか?
冒頭の映像・音響効果と中盤に起こる出来事でその後の成り行きは読めてしまうが、目は離せない。

一つの死を元に拡がった波紋は、死んだ少女の復讐をするという計画で孤独な少年3人を団結させる。
だがそこに起こるまた別の出来事。

“一つの死が別の死を招く”、この描写の唐突感が拭えない。
物語の運びがここで止まってしまうように感じた。
途中までとても惹かれていただけに、正直これは残念。

前作の『光にふれる』は、ハンディキャップを負った少年の物語だった。
人の優しさで繋がる絆が、社会にあぶれた孤独な人間をそっと抱きしめるような物語。
チャン・ロンジーは優しい人なのではないだろうか。

今回の物語は、抉るような鋭さや人間の闇を見つめるタイプの監督の方が合っていたのかもしれない。
とは言え、心に残るような映像の美しさが素晴らしく、ハッとするようなカメラワークもある。
3人の危うい関係性を、学校の吹き抜けの庭ごしに映したショットなどは良かった。

チャン・ロンジーは台湾の映像派の若手作家の一人として、そろそろ認知されても良さそうだけれど、彼はまだそこまで有名ではないのかしら。

 

関連記事

『エル・クラン』 ブラックテイストな犯罪一家物語

アルゼンチンで大ヒットした、と聞いて思い出すのが去年の『人生スイッチ』...
記事を読む

『ヘイトフル・エイト』 密室の曲者揃い踏み!!

エンニオ・モリコーネのオスカー、おめでとう。この作品で獲りましたね。 ...
記事を読む

『ヴァバンク』ポーランドの国民的娯楽作

今年のポーランド映画祭でかかった81年の作品ですが、ポーランドでは誰も...
記事を読む

後味の悪い映画と言えばコレ! 『ファニーゲーム』

史上最強に後味の悪い映画として、悪名高き作品。 私は、DVDで見た時は...
記事を読む

『ピエロがお前を嘲笑う』 ドイツ発のサイバーサスペンス

ドイツ発のサイバークライム/ハッカーを描いたスリラー。 ギークな童貞主...
記事を読む

1,779

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑