【今月のブルー映画】『ダークブルー』 チェコ人の戦時中青春映画
『コーリャ 愛のプラハ』のヤン・スヴェラーク監督作品。
第二次世界大戦に突入し、ナチス支配下になったチェコの空軍の物語で、実話を元にしている。スピットファイアと共にイギリスに義勇軍としてチェコ人達。彼らはナチスドイツと戦ったのに、祖国に戻った後は不遇な生涯を送る。知らなかった事実に驚く人も多いかと思う。回想形式で時間軸が交差する構成になっている。
今回は毎月やっている“ブルー映画”特集で選んでみた。宮崎駿オススメということもあって、いかにも彼の好きな空軍・軍用機の出てくる、空を飛ぶ映像が印象的な物語なのかと思った。が実は、絶望深い戦争時の暗い青(ダークブルー)を感じる、良作であった。
戦争実話というよりも、むしろ男同士の友情物語。青春物のようにみずみずしくて、彼らの恋や人生の断面が活き活きと描かれている。
当時世界一の技術を誇るチェコのスピットファイアを、ナチスと戦わずアッサリ受け渡さざるを得なくなる。その気持ちは一体どんなだろう。ナチス将校に「気持ちは分かる。俺だったら自殺するが、君はしないだろう」などと言われる屈辱。
チェコの空軍達の勇敢な空戦のシーンはむしろない。主要登場人物の墜落シーンですら、ボチャン、と海に落っこちて終わってしまうなど簡素な仕上げ。アッと驚くほどだ。
「空軍に所属する人間は勇敢である」という台詞はある。だが飛行となるといつも体調を壊す空軍兵士の姿も描かれたり。日本のとある零戦映画のように、その死を褒め称え無理矢理に称揚しようとすることも全くない。
途中、可笑しな替え歌でナチスを笑い飛ばそうというシーンがある。こうしたユーモアのセンスがいかにも本当らしくていい。この替え歌が実に馬鹿馬鹿しくて、「猿、ゴリラ、チンパンジー」の歌の替え歌で(本当は何かのオリジナルソングなのでしょうか?知ってる人、教えて!)
「ヒトラーの金玉は一つだけ、ゲーリングは小さいのが2つ、
ヒムラーも粗チン野郎、ゲッベルズは玉が一つもない」
という歌なんですが、以下英語の聞き取りをしちゃった(笑)
良かったら歌ってみて!
(「猿・ゴリラ・チンパンジー」のリズムで。これがハマってる!)
「Hitler has only got one ball,
Göring has two but very small,
Himmler has something similar,
And Goebbels has no ball at all.」
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