『極道大戦争』 Yakuza Apocalipseって名前は格好イイんだけどね
これはまた、やっちまった感の強い駄作。今回はハズレ三池でした。
ヤクザとヴァンパイアを一緒にした、トコトンB級スタイルのナンセンス・アクションコメディ。こういうのって三池さんには合いそうだ、なんて大分期待して、カンヌに懲りずに出品したニュースなんかも見て喜んでいたのだけれど。
にしても、日活の力の入れぶりがすごい。ひと目で古臭い感じを出したと分かる美術に、風変わりなこだわりを感じた。どこを切っても一昔前のVシネ的な美術センス。完全スタジオ撮影しているのだろう、どこかチープさの漂う感じは、三池さんがかつて得意としていたVシネスタイルを徹底的に貫かれている。黒社会シリーズ、DEAD OR ALIVEシリーズ。この作品が1番似ていると感じるのは『漂流街 Hazard city』と言えるか。外国人が出てきてガチの喧嘩アクションを見せたり、ヤクザ社会がそれに絡んで国際性を漂わせる辺りが似ている。
園子音の『TOKYO TRIBE』と三池さんの今作は、“日活ルネッサンス”を目論んでいるのだろう。昔の日本映画のボンクラっぽさの何でも詰まった、“味濃過ぎ”エンタメ。
1番驚いたのはエンドロールのテロップのデカさでした。モロに昔の映画のように手書きで勢い良く書かれ、その書体のデカさも「どうだ〜!」と言わんばかりに一画面にドバーン!と出てくる(笑)。
ただし残念ながら、前出の園の『TOKYO TRIBE』同様に、ストーリーの整合性が無く滅茶苦茶。観客を置いてきぼりにするならするのは構わないのだけれど、
ただその場のノリで何でもかんでもゴチャゴチャ煮込んでしまったイメージ。このダラケた味付けは、私の嫌いな方の“駄目な三池”。『スキヤキウェスタン・ジャンゴ』を思い出しましたね。
キャストでは、市川隼人が良かったですね。リリー・フランキーもいつも通り飄々としていて、どこか頼りなげな人間味溢れるヤクザヴァンパイアの親分。
河童までは馬鹿馬鹿しくて許せたけど、カエル君はやり過ぎであまり面白くなかったのが残念。
1番面白かったのはでんでんが講師のヤクザ更正編み物教室かな。
普通の人がヤクザになっちゃう辺りは面白かったので、この辺りもうちょっと見たかった。あと本音を言えば、グロ表現がもっとあれば面白かった。最近の日本の映画業界の潮流は、この辺り厳しいのかもしれない。
カエルの卵がウニョンウニョン〜と出てくる夢のシーン良かった。
バジルシードって飲み物知ってますか?すごく美味しいんだけど、カエルの卵にそっくりなの。これを元にして作ったんだったりして!?
三池さんいつもお茶目なので、映画つまらないけど許します。
映画にがっかりしても、三池愛が消えないのは何故なんだ!
2015/07/05 | :三池崇史(今月の三池さん), :極道・マフィア 日本映画
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