ルビッチ・タッチ!(2)『天国は待ってくれる』『陽気な中尉さん』『花嫁人形』
天国は待ってくれる
ルビッチの映画がメチャクチャ面白くて、今回の特集には通いまくりの私。
この時代のアメリカ映画は本当に面白いね!
マリリン・モンローにハマった頃にビリー・ワイルダーの映画に出会えたけれど、ビリー・ワイルダーの師匠であるエルンスト・ルビッチには最近になってようやく。もっと早く出会いたかったな。
今回の特集はちなみに、6本がサイレント映画で、6本がレンタルになっている。それ以外の7本はなかなか見る機会のないもの。
この中で私は、後者の7本のみ全部見よう!と計画を立てたのだけれど、そう上手くはいかず。
2本立て上映なので、ちょうど全部が上手く回るようカップリングされているのでした。うぬ…ヴェーラ、考えおるな。
サイレントが苦手なのは、台詞が無いことよりも、音楽がうるさいように感じるところ(皮肉な話ですよね…)。
けれど、ルビッチのものはそれさえ我慢すれば、なかなか楽しめる♪
ちなみにレンタルで見れるものは(TSUTAYA調べ ※渋谷・代官山・新宿等ラインナップ豊富な店)、『生きるべきか死ぬべきか』、『ニノチカ』、『生活の設計』、『陽気な中尉さん』、『私の殺した男』、『天使』。
興味の有る方が居たら、是非見てみてくださいね!きっと後悔はしない、極上の映画体験に違いないから。
さてこちらの作品は、ルビッチ初のオールカラー作品。
目にも鮮やかなカラーリングが、ちょっと慣れなくて驚いてしまう。
この作品のみ、ヴェーラの壁に淀川さんのレビューが載っているのです。
ルビッチに気に入られたビリー・ワイルダーの話。
「…と思うけれど、それはアマイアマイアマイ。ドン・アメチー。」なんて、いかにも淀川さんが言いそうな一文!
ここでのドン・アメチーがひたすら素敵なんですよ!
私は初めて見たのだけれど、まるでブラピみたいに超絶イケメン!(出た、私のイケメンを褒める時の得意文句、「まるでブラピ」。苦笑)
目元が印象的で、カッコイイと言うべきか可愛いと言うべきか。
ジーン・ティアニーも、好みの美女の出てこないルビッチ映画にあって、唯一美しいと思った女優さん(失礼ながら…)。
死後、地獄の受付(豪華ホテルのロビーみたいな素敵な場所だ!)で、閻魔様に(そんな名前は出てこなかったが)、自分の居場所は地獄だと確信しているドン・アメチー演じる、ヘンリー・ヴァン・クリーグ。
「私は女をたくさん泣かせて来ましたから、地獄行きに違いありません…。」
ここで彼の身の上話が始まる。
生意気な小僧だった時代に、「キスは好きな人といくらでもしていいのだ」、とフランス人家庭教師から教わるヘンリー。
一目惚れしたマーサ(ジーン・ティアニー)に果敢にアタックし、一度目の駆け落ち。
結婚10年目にして、実家へ帰った妻を、もう一度さらう二度目の駆け落ちは、伯父さんも一緒。
「駆け落ちは、一度やってみたかったんじゃ!」
ドンファンとしての浮名を流すもさすがに年を取り、今度は息子が女優の舞台裏に通うように育ってしまう、因果応報。
それら全てを見抜いていた妻。
ところで、マーサの両親の仲の悪い夫婦は、ここでのヘンリー夫婦との対比か。
二人が朝食時に新聞の内容で喧嘩をする、「潜水艦からどうやって脱出出来たか?!」という会話が面白い。
ちなみに、『青髭八人目の妻』にも、「フラッシュ・ゴードンはどうやって潜水艦から脱出出来たか?」という台詞がありましたよ。
陽気な中尉さん
とっても可愛いミュージカル♪
二人が恋に落ちて、朝食についての歌を歌ってるシーンが好き。
「オムレツは愛の時間〜♪」とか、「アナタがマーマレードに手を出す姿がたまんな〜い♪」とか、変な歌詞で盛り上がってて可愛い!
セクシーさの足りない王女(ミリアム・ホプキンス)に、服装や下着のアドバイスをするシーンがいい。
ルビッチの映画では、別れのシーンが辛くても、女性はいつも健気。去り際に嫌な感じを残さない。
朝食のシーンが可愛かったせいで、最後の台詞が沁みてくる…少し切ない。
花嫁人形
人形と偽装結婚を企むという辺り、バレエの「コッペリア」を思い出す。
人形的な動きがコミカルで、サイレントらしい“過激さ”を感じる。
なんと言ってもヒロイン、オッシ・オズワルダの動きが凄い。
これ、「銀幕の女王」だとか「私は美人」的なしょい込みがある人には到底出来ない顔の表情。
いやはや、立派です。うーん、変な顔だ…。
私達人間も、じっと座っているのって結構辛いんですよね。
踊れる瞬間には思い切り踊り出したり、
男が見ていないところでムシャムシャご飯を食べる花嫁人形。
漫画のような表情を作るところが、このモノクロサイレント時代の演者の上手さ?オッシ・オズワルダの面目躍如。
動き、表情だけで笑えてしまう。
特にカクカクした人形の動きが、思い切りキマってる!
私が見たのはデジタル上映だったけれど、緑っぽいモノクロになったり、赤っぽいモノクロになったりしていた。
初めは褪色なのかな?と思ったけど、あれは何だったんだろうか。
ちなみに、映像の途中に挟まれる文字部分が、ドイツ語→英語へとクルっと変わっていた。
なんか不思議な感覚で面白かったな。
2015/05/11 | :コメディ・ラブコメ等, :映画特集 アメリカ映画
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