『フォーカス』 久々のウィル・スミス快作
騙し騙されのラブストーリーなら、『マジック・イン・ムーンライト』より断然こっち!
傑作『ラブ・アゲイン』、『フィリップ、きみを愛してる』のグレン・フィカーラ&ジョン・レクア監督作品。
『フィリップ、きみを愛してる』が素晴らしくて印象に残ったこのコンビなのだけれど、『ラブ・アゲイン』なんていうタイトルがいかにも私の好みから外れてそうで、思わずスルーしてしまったんですね。だけど、後からライアン・ゴズリングにスティーブ・カレルが出てるから、とDVDで見てみたら、これが素晴らしい傑作!
その時に「このコンビのものであれば今後も絶対追いかけよう」、と思った私でした。
とにかくテンポが良くて楽しい。アメリカのラブコメの完成度の高さは、こういう才能が支えているのだなあ、と納得のいくコンビ。
詐欺師モノ/コンゲーム的の面白さでグイグイ引き付ける前半から、ラストにかけてラブストーリーへと模様替えしていくような後半のテンポチェンジ。この辺りで少し急ハンドルをかけるような展開の仕方があるので、ここで飽きてしまう人は正直いるかも。
ちょっともったいない感じはあるんですよね、ラブコメへと急激にシフトするので、何処から何処まで瞞されているのか分からなくなり、疑問符が果てしなく点滅してしまう。
まあ、その後のオチが笑えるので、私は満足しちゃいましたが。
ところで、コンゲームモノと思わせた前半から、スクリューボールコメディへと様変わりする見事な映画というと、ルビッチの『極楽特急』がまさにそれ。スリを自慢し合う二人のシーンなど、全く同じシーンもあるぐらいで。
なるほど、ルビッチの『極楽特急』を元に今風に変えたのね、と驚いた。
何と言っても、パパ最高〜!
パパ役はジェラルド・マクレイニー。この頑固そうなキャラにすっかり騙された!
詐欺師がグループを組んで集団詐欺を行うって辺り、何度見ても楽しいものだな。
増村の『現代インチキ物語 騙し屋』やオーシャンズシリーズも大好きだった私。
ここのとこ微妙な作品選びで、すっかりガッカリ俳優と化していたウィル・スミスの、久々の快作でした。
マーゴット・ロビーもとても素敵な女優さん。
顔も今をときめくエマ・ストーンに似ているような!?
どこか“素のままの”純粋さの残る女性には心惹かれてしまう。最初に彼女が傷ついたところは、思わず悲しくなってしまったりして。
相手を傷つけてしまった後で、忘れられなくなる恋ってあるものね。
天才詐欺師の心も一緒に盗んでしまったのね。
私は結構好きでしたよ。
アメリカ映画好きで、スナック菓子みたいな軽めのラブコメの好きな人なら、きっと楽しめるはず♪
たまにはこんなのもいいな。
2015/05/08 | :コメディ・ラブコメ等 アメリカ映画
関連記事
-
-
『帰ってきたヒトラー』 このご時世じゃ笑いたくてもワロエナイ!
ヒトラーは生きていた!? 「源義経はモンゴルに渡り、チンギス・ハーンに...
記事を読む
-
-
『神様メール』 新・新約聖書がもし書かれたなら
映画の面白さについて語るのはいつも難しいことだけれど、とりわけこの作品...
記事を読む
-
-
『これが私の人生設計』 窮屈なイタリア社会を笑う
イタリア映画祭で評判だったこの作品は、イタリアの国民性を感じるコメディ...
記事を読む
-
-
パン・ホーチョン 『愛のカケヒキ』 女同士のバトルが面白い!
中国映画週間にて。 そうか、香港は中国に返還されたから、“香港映画”で...
記事を読む
-
-
アレックス・デ・ラ・イグレシアでデラ上がる! 『グラン・ノーチェ!最高の大晦日』
ラテンビート映画祭にて鑑賞。 アレックス・デ・ラ・イグレシアに遅らばせ...
記事を読む
コメント(6件)
前の記事: 『泰平ヨンの未来学会議』by スタニスワフ・レム を読んだ
次の記事: 『Mommy マミー』 僕らの主観の狭さ
マーゴット・ロビーほどの美しい女優といえども
前作の『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』に出てたことすら
気が付かないワタシでしたが、本作でしっかりインプット出来たことが収穫でした(笑)
ウィルについては本作もイマイチだったので、いつまで続くのスランプ状態。です^^;
『アイ・アム・レジェンド』が良かっただけに、かれこれ8年不作です。
次回作も主演二人の共演が決まった映画だそうで、そちらに期待します(笑)
itukaさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あっ、そうなんだ!マーゴット・ロビー、『アバウト・タイム』にも出てくるんですね。私まだこれ未見なんですよ。
あらっ、ウィル・スミス、こちらの作品もダメでしたか…。
でも、itukaさんは『アイ・アム・レジェンド』は良かったんだ!
私は、『バガー・ヴァンスの伝説』とか『ALI』辺りまでぐらいかなあ、追っかけて見てたの。
本当は顔とか結構好みなんですけどね〜
>ラブコメへと急激にシフトするので
ここが一番“騙された!”と思った部分でした。
天才詐欺師とターゲットを中心とした騙し騙され・・、を楽しむ気満々で見ていたので(苦笑)
>ここのとこ微妙な作品選びで、すっかりガッカリ俳優と化していたウィル・スミス
正直、彼を意識して見たことは無かったような気がします。(それ程見てもいないような)
最近の作品で印象に残っているのは、「ニューヨーク 冬物語」でしょうか。
哀生龍さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
>天才詐欺師とターゲットを中心とした騙し騙され・・、を楽しむ気満々で見ていたので(苦笑)
ですよね〜。結構これ評判イマイチだったんですが、おそらく皆さんあの後半部分が理由なんだろなあと…。
『ニューヨーク 冬物語』はなかなかでしたか。
ちょうど最近録画したばかりなので、今度見てみます。
マーゴット・ロビーは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に出てきたモデル上がりの奥さんの役が印象的でしたな~ こちらではまた違った表情を色々見せてくれて見かけだけではないんだな、と
年がだいぶ離れてるのに対等に恋人役をやってるウィル・スミスはずるいな、と思いました。まあかっこよかったけど
SGA屋伍一さんへ
こちらにもありがとうございます。
マードット・ロビーのウルフ〜の奥さん役、本当面白かったよね〜
特に好きなのは、警備の人たちが居る中知らずに下半身モロ見せしてみんなが爆笑してるとこ
ここでの彼女の役って、“一度騙されてももう一度信じる”んですよね。
それって、実はすごく大変なことで、なかなか相手の懐に飛び込んでいく気になれない。
この辺りをもう少し上手に描いてくれたら、ラブコメとして成立していたのになあと残念です。