『コングレス 未来学会議』アリ・フォルマン監督×山村浩二監督のトークショー付き @東京アニメアワードフェスティバル
『戦場でワルツを』が素晴らしかったアリ・フォルマン監督の最新作を、東京アニメアワードにて見てきた。アリ・フォルマン監督×山村浩二監督のトークショー付き。
そう言えば去年もこちらにて『山村浩二作品集』をトークショー付きで見るなど、山村浩二監督は2年連続して見ちゃった。
スタニスワフ・レム原作(『泰平ヨンの未来学会議』)なのだけれど、監督曰く「イスラム世界や共和制の国についてはあまり詳しくなく、自分がそうした国で生まれ育った訳でもないので、自分なりにアレンジしたとのこと。
今見ても新しい議題になり得ていて、もしかしたらハリウッドも未来にはこんな風になるかも!?なんてふと想像してしまうようなシステム。それでいて物語が進んでいくと、SFが古くから持っているテーマが現れ、どことなく新しくもありながら懐かしいような、心を掴まれる作りになっていましたよ。
実写部分とアニメーションとが半分づつの構成になっているという実験的な手法も、あまり例を見ない(え〜?マイケル・ジョーダンの『スペース・ジャム』?そんなの忘れて!)。
アニメーションについては、俳優の演技を実写で撮った後にそれをアニメに描き出すという手法を取ったそう。「ロトスコープか?」なんて聞かれたら、苦労したアニメーター達は皆死にたくなるだろう!」なんて言ってました。
主演のロビン・ライトは本人役で登場。「もう40だからCG化してしまえば、永遠に若いまま居られる」などと説得されたりする。若作りも今後必要なくなるし、やりたくない役柄など、自分のワガママのため撮影に支障をきたすことも今後永久に解放されるんだ…!と言ったり。CGがどんどん進化していく現在では、もしかしたら俳優も必要なくなり、CG化してしまうのも、非現実的ではないのか?!なんてちょっと思ったりもした。実際、CGばかりで作られた映画だって有るわけだし。と言っても現状は、俳優を使った方がよっぽど安上がりだと思うけれど。
監督曰く「LAに行く前はケイト・ブランシェットを考えていたのだけれど、ロビン・ライトに会ってみたら、彼女の持つ哀しさと壊れやすそうな繊細さに惹かれた」とか。実際、彼女の持つ物悲しい雰囲気はこの作品にピッタリ。40を過ぎてなお美しくスレンダーな彼女の出で立ちに、すっかり惚れ直しました(ショーン・ペンのファンなので、彼との離婚はちょっとショックだったけれど)。
そうそう、「オーストラリアの田舎出身とは違う、彼女はテキサスの生まれなんだ!」なんて台詞があったけれど、あれはもしやニコール・キッドマンを揶揄していたのかな。(確かに、この歳で一流女優として売れまくっているというと、ニコールを思い出すものね…。)
物語は、薬を飲むとツルリと世界が変わって見えるというもので、『マトリックス』の“世界が一皮剥けて見える感じ”を思い出す。ただし、こちらの作品では、夢と現実が混在し、その境界線が分からないようになっている。
監督が今敏の『パプリカ』にはすごく影響された…なんて語っていたので、思わずああ分かる!とばかりに激しく頷いてしまいました。日本は本当に好きだと語っていた。
そうそう、途中から変わる製薬会社の名前も日本名が付いたり、ボブスという社長(スティーブ・ジョブスを揶揄しているらしい)は和服を着ていたりと、日本文化が見え隠れしていましたね。
そうそう、トム・クルーズもアニメ世界で出てきてましたね。
老けた姿のアニメでは、いかにも彼らしくて、全く老けていないまま白髪になってるだけという絵。
SF好きはハマりそうな作品。こちらの作品、公開が決まったので(2015年6月)、興味ある人は是非見てみて!
2015/03/26 | :SF・ファンタジー イスラエル映画
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レム原作とあらば観に行かざるを得ないでしょう!公開を機に原作本の復刊があればなお盛り上がるでしょう!
と盛り上がるのでした。
面白そう。
すたさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございます。
すたさんはレム好きですもんね!
レム作品でオススメはどれでしょう?
私はタルコフスキーの『惑星ソラリス』と、ソダバ『ソラリス』見たことがある程度で、レム本はまだ未読なんです。
原作本の復刊まであるんですね!
すでに『泰平ヨンの未来学会議』、図書館で借りて来てしまいました。
これから読みま〜す♪
とらねこさま
超亀レスになってしまいました〜すみません
レムはやはり「ソラリス」が(映画の記憶があるので)とっつきよいと思います。
国書刊行会から出ていたポーランド語原典からの訳本が、ちょうどいまハヤカワから文庫版で出ているはずなので、タイミング的にもグッド。
従来版の「ソラリスの陽のもとで」とは中味結構違うので要注意。
あとは国書刊行会で出てる「虚数」という中短編集が面白いです。
同じく国書のレムコレクションでは「枯草熱/天の声」が、よりハードなレムという感じです。
あ、原作本の復刊は、あればいいなということです^^;
すたさんへ
こんばんはアゲイン♪
すみません、呼び寄せてしまいまして…。
すたさんの趣味は好きでして。
オススメを教えてもらいたくなってしまうのです^^
おー!ありがとうございます。
それらチェックしてみますね。
“枯草熱”って、花粉症のことですね。
この間、とある年上の友人と話になったのですが、
昔はhay feverを枯草熱って訳したとか。
そうそう枯草熱。
「こそうねつ」って読むみたいです。
レムの「枯草熱」は昔サンリオSF文庫から出てたんですけど、その解説に「日本ではなじみはないが「枯草熱」とは花粉に対するアレルギーで・・」とかいうくだりがあって、今読むとびっくり。
花粉症ってそんな新しいブーム?なんだねえ。
すたさんへ
へえ〜「こそうねつ」って読むんですか。私の友人は「かれくさねつ」って言ってたから、読み方間違ってたようです(笑)。
ちょうど、「枯草熱って昔、病気があったんだけど、それは本の中でしか知らない病気で、どんな病気なんだろうと思ってたんだ」と言ってて、よく聞いたら「英語だとhay feverというんだけど」というので「それは花粉症のことですよ!」なんて話をしてたんです(笑)。
きっと昔訳した人が、英語の言葉の意味からそのまま「枯草熱」って直訳的な訳し方をしちゃったんですね。
そうそう、花粉症って言葉が出来る前のことだから、そういう齟齬が生じたんですね。
あっ、今『泰平ヨンの未来学会議』読んでます。すごく面白いですね!
『ソラリス』、すたさんは新訳に満足されてるようですね。
あ、じゃあ今度ゲルマンのDVDと一緒に、『ソラリス』も貸してくださ〜い♪
よろしく〜。
未来学会議は5月に復刊だそうですよ~文庫で♪
すたさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
うん、知ってまーす!私もツイートしたよ。
私読み終わりましたよ!めっちゃ面白いね!最高♪♪
ただ、これ旧訳の方が良くないですか?
新訳にしてしまうの勿体ないかも。
ちなみに、映画とは全く違う話でしたw