rss twitter fb hatena gplus

*

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ R18版』 期待が裏切られて涙目

img9080542085463子供の頃、洋画劇場で『ナインハーフ』がやっていた時代に育った私ですよ(笑)!『ナインハーフ』は傑作だと思っているのです、大真面目に。ああ、恥ずかしい。そうそう、『ラマン』にも憧れました、定石通り!マルグリット・デュラスの小説は片っ端から読んじゃったりして。
『キリング・ミー・ソフトリー』も、阿呆だ阿呆だと思いながら、下心満載で見て大満足。ああー素敵だったー♪ジョセフ・ファインズがエロカッコ良かったんですよね。

だから、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に関しては、“全世界大ヒット”と聞いて、期待に胸が膨らみました。股間は…いやいや、私は男じゃないので股間は膨らみません。
まあ、男どもはソフトエロぶりを馬鹿にするかもしれない。でもエロは情緒、観念の世界なのです。「どんなに馬鹿にされても、お下劣でも、きっと私は大好きに違いない!」と鼻息を荒くしていました。

なんでも封切りのR15版は、「モザイクがかかりすぎて、何が何やら良く分からない」という酷評ばかりが聞こえてきました。「ほとんどの画面でSEX描写ばかりなのに、モザイクで全く何も見えない」と言うじゃないですか。そんなモザイクでは見る価値は無いだろうと放置していたところ、それでも日本はまだいい方で、インドやその他の国では上映自体禁止になったというし、ベトナムなんかではセックスシーンそのものをカットして上映したというんですね。
(※参照 → 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ベトナム公開版、全セックスシーンがカット

ところが、後からR18版が解禁になったという。
「こ、これは行かねば!」と、そそくさと日劇の大画面へと足を運んでしまったというわけ。

率直な感想を言わせてもらうと、「どこがSMなんだ!スーパーノーマルじゃないか!」と憤慨してしまいました。
ちなみに、R18版はボカシは一切無しなのに、ですよ。
というか、これボカシなんて必要だった?

二人は出会い…どことなく惹かれ合い…そして初めてのセックス…みたいな、ぼんやりした描写。
どこか80年代の映画っぽい感じもある。
でもこうした記号的な簡素な描き方は、現代にあっては逆に新鮮かもしれない、などと思いながら見ました。
『ナインハーフ』的世界観を表現しようとすると、こういう80年代的なシンプルさがしっくりくる、などとボンヤリ見ていたのです。

この先、ネタバレ


 

最初は普通のセックスでした。
「はいはい、最初はひとまず普通に…よしよし。」
男がシャツを脱ぐと、胸元に北斗の拳みたいな穴の跡があります。これはきっと何かの印なのだろう…でもまさか、北斗神拳伝承者じゃあるまいな…

「お次は…あ、次も結構普通。」
真っ赤な部屋“プレイルーム”にあったような、仰々しい器具は使わず、初心者を驚かせないようネクタイ等で縛ったりなど、“好きな女に対する心遣い”は感じられます。
期待を持たせて、契約がどうとか言い出します。
「なるほどなるほど、契約をするまでは普通を装うのか、恋する男だナ…」

などとやっている内に、とうとう全部が全部普通で終わってしまいました。
「契約をもし破ったらどうなるのか」という質問に答えて、男は最後、彼女を6回ムチで叩きます。
すると、嫌になって彼女は逃げてしまった。契約する前に。

「50の自分が居る」という台詞があったけれど、一種類ぐらいしか映画中に見えないし。

むおー!どっこが変態やねん〜!
オチが、“北斗神拳伝承者だった”という方が、幾分かマシだったかもしれません。
期待を持たせるだけ持たされて、スカされて終わったこちらの気持ちにもなってください。

変態に謝れ!!!!

 

関連記事

『キャロル』 女性の心理はファッションに表れる

行間こそ映像力!…と、最近思う。 物語の合間に立ち昇ってくる何か。 こ...
記事を読む

『三人の結婚』 恋愛はいつだって修羅場ゲーム

恋愛の駆け引きはゲームに見せかけて、真剣勝負。 ドワイヨンの恋愛活劇は...
記事を読む

『アタラント号』 夫婦は何かを乗り越えるべし

「映画史上の傑作」特集にて、ようやく鑑賞が叶った作品。何故見たかったか...
記事を読む

『コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って』 ロープウェイ映画の傑作

バフティヤル・フドイナザーロフの、『少年、機関車に乗る』に続いての長編...
記事を読む

『ラブバトル』 男と女はいつも泥沼

齢70歳にして、これですか〜… いやあ、フランス人はさすがだな!
私の...
記事を読む

6,030

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑