『アナベル 死霊館の人形』 今月も懲りずに13日の金曜日祭り♪
13日の金曜祭り〜!今日はホラーを見る日♪
先月もやったばかりですが、今月も13金なのです。 アナベル人形!これは見ただけで「行かねば」と反射的に思ってしまう求心力の高い人形なのでした。目当てのジェームズ・ワンは今回は製作のみなので、あまり期待出来ないだろうな、と思いつつも鑑賞。ホラーって、どんなに才能のある監督でも、こと製作となると手抜きが本当に多いんだもの。そう考えてみれば、高評価はしてあげられない本作だけれど、それなりのレベルにはなっていたし、そこそこ楽しめた感じはあるかな。
アナベル人形のスピンオフッフッフ。『死霊館』が大ヒットしたおかげで、ジェームズ・ワンの「ホラー引退する」宣言は撤回され、“引退するする詐欺”になってしまった。まあでもこの詐欺は結構人数いるので、それに比べたら“ホラー引退”みたいにジャンルが付いているだけでもまだマシかなと思ったり(笑)。でもそれだけ『死霊館』の出来が良かったということでもあって、多くの人のアツい要望により引退の撤回を余儀なくされたのかなと。
アナベル人形は、本物に比べて怖すぎる見た目(上記参照)ですが、まあ良しとしましょう!最初に出てくる姿はそれなりに綺麗な人形で、だんだんと変貌していく姿が見れるのかと思いきや、チャッキー人形を女の子にしたらあんな風になりそう…というぐらい、最初から怖い。そしてチャッキーのように表情が変化したりはせず、基本ずっと顔の表情を変えないまま動くこともないのに、耳をこちらに傾けているような気がしたり、ふと角度だけで怖さを演出してみたり。これ、下手なやり方をする人なら、CGで筋肉を動かしたり、人形にも動きをつけてしまったりしていたと思う。実際動いたのはグググ…と上に持ち上がっていくシーンだけだったので、そうした点には納得がいった。
ただやっぱり、少しストレート過ぎるそのままの展開過ぎるので、本家『死霊館』とは大分大きく差が出てしまうんですよね。よくあるホラーの定石を踏んだだけ、と思われてしまっても仕方がない。だって、ホラーの革新者ジェームズ・ワンの始めたプロジェクトにしては、どうしても見劣りがしてしまうんだもの。
この先はネタバレで話します
「日本人の考えるホラーと少し違うな」という部分があって、私は今回、これについて考えてしまいました。それは、心霊モノで始まった本作であったはずなのに、結局霊障の上位存在的に“悪魔”を位置させるということなんです。欧米のホラーとJホラーの違いとして、欧米のホラーでは霊的存在を「ただそこに有るもの」として考えることが無いんですね。見えない“悪”の根源的存在、そうした誰かの人間の恨みや悪霊的なものは下位の存在として、その上に“悪魔”の存在を据える。だからこそ、悪に対する“善”の絶対的存在、“神”のようなそれに対向し得る存在が最後に打ち勝つことを、自然に期待してしまう。これは、一神教と多神教の違いなのかもしれません。そうすることでとりあえず理屈として納得がいくのかもしれないけれど、全く怖くなくなってしまう。
「ああ自己犠牲は尊いからな」ということで、急激に落としていく結末。これでは全く怖くないんですよね。Jホラーの恐怖とはそうした考え方は根本的に違っていて、ただそこに有るものを有るものとして理不尽に存在させる、それが恐怖に繋がっているのですが…。
ジェームズ・ワンも『インシディアス』では悪魔を扱っているけれども、この作品で描かれたような単純な救いをホラーに与えなかったなあと思い至ります。また、この作品がその影響をしきりと見え隠れさせている『ローズマリーの赤ちゃん』も、善の世界の救いなど一切見せないまま終わった。だからこそ、怖い作品になり得たのですけれどね。この作品もせっかく見どころがあるのに、ラストがあまりに単純過ぎていただけない。「ホラーの世界に救いは要らない」とまでは言わないけれど、これだけは簡単に与えては駄目なものなんですよ!!
’14年、アメリカ
原題:Annabelle
監督:ジョン・R・レオネッティ
製作:ピーター・サフラン、ジェームズ・ワン
製作総指揮:リチャード・ブレナー、ウォルター・ハマダ
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
撮影:ジェームズ・ニースト
音楽:ジョセフ・ビシャラ
キャスト:アナベル・ウォーリス(ミア・フォーム)、ウォード・ホートン(ジョン・フォーム)、トニー・アメンドーラ(ペレズ神父)、アルフレ・ウッダード(エブリン)、ケリー・オマリー、ブライアン・ホウ
2015/03/13 | :ホラー・スプラッタ アメリカ映画
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とらねこさん☆
判るわかる!
私も邦画のホラーがすごく怖いのに、洋画だとそれほどでもないのは、必ず結末が悪魔を髪がやっつけちゃうから。
アメコミ的なのかなぁ。
それに比べて邦画の「霊」ものには、どんなことをしても助かりようがないかもしれない恐怖っていうのが、最後までつきまとうので怖いのよね。
とはいえ、チャッキーもそうなんだけど、人形ものは絶対見ない私でした(汗)
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
洋画のホラーだと結構、心霊と悪魔がゴッチャになって描かれるのはよくあるのですが、それってどこかで、「神が居るなら悪魔も居る」的な考え方もあるのかな…なんて思ったりもしました。
邦画の心霊ホラーは、本当に神の存在とは全く無関係に存在しています。
不条理なんですよね。
人形モノは、結構本気で怖いんですよね。稲川さんの心霊話でも、一番人気のあるベストシリーズは人形モノなんです。
欧米ホラーは、悪魔でかたをつけることが多いですからね。大傑作のRECが、2作目以降、あらぬ方向に話が流れたのもがっかりです。あれ、3作目はウィルスにもどっていたか?4作目は見逃しました。
バラサ☆バラサさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございます。
そうなんです!あの『REC●』を思い出しますよね。
普通にパンデミックな疫病だったはずなのに、まさかの悪魔転換でした(苦笑
しかし案外多いんですよね。
昔はゾンビと吸血鬼が一緒くたにされてた時代もあったし、時代でしょうがないのかもしれませんけど、ホラーのその辺の区切りは私は明確につけたい方なんですよ…。