13日の金曜日祭り!『ネクロマンティック HDリマスター版』
名前は知っていたけれど、まだ見ることの出来なかったこちらの作品を、『未体験ゾーンの映画たち 2015』にて劇場鑑賞。今回の“13日の金曜日祭り”には、こちらをチョイス!
ちょうどこの作品を見る前の晩、眠れなくて何となくゴアサイトを漁っていたおかげで、この作品を何十倍にも想像で膨らませ、楽しむことが出来た。我ながら、この鑑賞法が一番、この作品に見合う楽しみ方だったかもしれない!もしこれから見る人が居るなら、グロ写真の本気でキツイのを散々漁った後に見ると良いよ☆
おそらく当時の人は、この作品を見て仰天したのだろうなあ。この作品には、いかにも“禁断の扉を叩いた!”的な当時の人の純粋な驚きや嫌悪感が密封されているような気がする。グロ映像が始まると途端に、チープな癒し系の音楽がかかるのだけれど、この音楽の安っぽさも、官能的であるのを煽ると同時に生理的嫌悪を与えようとする映像編集における工夫も、ドイツ表現主義の仇花!的でたまらんのです。
主人公のロベルト(ダクタリ・ロレンツ)は死体清掃の仕事をしているのだけれど、趣味と実益を兼ねた仕事。時々死体の一部を持ち帰って家でコレクションしている。正直、この手の死体を扱う仕事の人は、もしかしたらこういう性癖の人は今も昔も居るのかもしれない…と思ったりする。現代社会でも未だに死は“タブー”であり、生の世界と切り離して考えられる。だからこそ普通の人にとってはおいそれと近づきたくない領域であるし、そこに性癖を持ち込むなど、一番触れてはいけない禁忌の領域のように思える。
死体造形なども凝っていて、おそらく当時に出来る精一杯のことをしているという感じがして、私は大変満足した。首なしになった墓掘り人のシーンなども良かったし、死体の目玉を舐めるシーンは素晴らしい!見つかった死体が骸骨状態で、ドロドロで髪や腐敗した肉が絡まっている、この造形も精一杯の努力が感じられるし。死体の下半身部分に鉄パイプを嵌め込んで、そこにとコンドームを被せるというアイディアも良かった。これがエロを目的とした映画であれば、もう少し男根の形に似た何か別の(もっと太い)物で代用しても良さそうに思うのだけれど。人間の温かさが微塵もない“鉄パイプ”であるところが、逆にこのカップルの“死体との3P”描写に相応しいのかもしれない、と唸った。
ともあれ、アートを目指して映像編集で適当に誤魔化すのでなく、肝心なゴアシーンは死体造形を精一杯本物に近づけようとする努力をしていた。こんな作品は、私は本当に好きだ!
今の時代はエロもグロも進化していて、どれだけ映像で衝撃的なものを見せてもなかなか観客は満足しない。だからこそ、我々を一番最後に駆り立てるものは、“想像力”であるとも思う。モザイク有りと無しとでは、モザイク有りの物の方がより満足出来るのと同じ理屈で。この作品のそれは、人の心の嫌な部分に直接触れるような思いがした。何故なら、人が決して触れてはならないと思う、“死”と“死体愛好”。こうした禁忌の領域に触れるという、“モザイクの無さ”。この作品は実に偉大だ!
ウサギちゃんの皮剥ぎシーンと逆再生に震えろ!(今だったら絶対あり得ない動物虐待w!ホラー好きならきっと、逆に喜ぶと思われます。)
’87年、ドイツ
原題:Nekromantik
監督:ユルグ・ブットゲライト
製作:マンフレッド・O・イェリンスキー
撮影:ウーエ・ボーラー
音楽:ダクタリ・ロレンツ
キャスト:ダクタリ・ロレンツ、ベアトリス・M、ハラルド・ランド、スーシャ・コルステッド、ヘンケ・S
2015/02/13 | :ホラー・スプラッタ ドイツ映画
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お、見ましたね。
歴戦のスプラッター見のとらねこさんが気に入っていただけて何よりです。そう、30年近い月日が経ってるんですものね。スプラッタ事情も随分進化したわけですね。古くても制作者の志が高い作品は現代でも充分通じるってわけですね。
音楽もそうですけれど、グロなのにとても可愛らしい作品に思えます。
こうなると、今度はロベルトが「お友達」として登場する2も観たくなりますよね。私もほとんど内容を憶えてないし・・・
こんばんは!
おおっ、13金で『ネクロマンティック』!!流石のチョイスですね!
実は僕はこの映画をまだ観ていません。最近ブルーレイで『ネクロマンティック』BOXが発売されると知り、買おうかどうか一瞬迷いました。『死の王』(これは昔映画館で観ましたよ。内容はほとんど覚えていないけれど、腐乱死体の映画だったと思う)と『シュラム』もおまけに付いてくるらしいし。
ただね、僕がこの映画を見なかった理由って、ウサちゃん虐待シーンが有ると聞いたからなのです。だって、ウサちゃんは人間の友達なんですよ!モフモフは良いけれど、皮剥いじゃダメ!モフモフできないじゃん(笑)!
ということで、とらねこさん、ホラー映画好きでもうさちゃんを虐める描写は喜びません。人間の皮がベロンチョと剥がれる『マーターズ』とかには熱狂ですけどね(笑)
にしてもドイツのホラー映画って鬼畜監督が何気に多いですよね。クリストフ・シュリンゲンズィーフとかオルフ・イッテンバッハとか。お国柄なんですかね??
imaponさんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
これ傑作でしたね。
いやー、ラストが素晴らしかったですね。思わず拍手したくなりました。
imaponさんは2も見てたんですね、しかもロベルトが「お友達として登場」(笑)!
2は、何やら見た人が「異色作」と言ってますね。1とは違う展開のようで。気になります。
imaponさんばかりかよしはらさんもVHSで1も2も所蔵されてたんですね^^ さすが。
渋ツタだったらVHSが1と2あるんですが、見たら昨日の晩に2を借りた人が居ましたよ。
うーんやっぱり、13日の金曜日にこの作品を見たくなる人が居るんだな!
蔵六さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
この先、ネタバレです************
蔵六さんには、この作品のウサギ虐待描写はトラウマになっちゃいそうだなあ…。しかもこのシーン、生きてるウサギが飛び跳ねているところを殺して吊るして…となるんですが、映画の終わった後で逆再生するんですよ。
主人公の死ぬシーン、血と精子が吹き出してフィニッシュ!!!!という忘れがたき素晴らしいシーンなんですけど、その先に、まさかのウサギ皮剥ぎ逆再生が起こります。
このラストのシークエンスだけで、この作品は傑作扱いすべき偉大なホラーになったと思います。
ああ、ここを是非蔵六さんに見て欲しかったなあ…。
もしこのシーンを経験してしまったら、蔵六さんはウサギ好きを文字通り“脱皮”出来ちゃうかもしれませんよ!?
『死の王』と『シュラム』見たいなあ。いづれも、VHSならツタヤにあるみたいです。
『ユルグ・ブットゲライト短篇集』だったら、DVDであるようなので、これなら私にもすぐ入手出来そう。
クリストフ・シュリンゲンズィーフもオルフ・イッテンバッハも全然見たことありませんでした。
クリストフ・シュリンゲンズィーフは面白そう。4、5本しか撮ってないんですねー。