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2014年12月の評価別INDEX & ミラノ座の閉館

2015-01-03 23.47.29-1
ミラノ座が閉館した。「壮大に歴史が終わる。」まさにそんなイメージ。
閉館イベントは、ほぼ毎日行っていた人のツイートで様子を追いかけていたけど、イベント自体はさほど混まずに始まって、終わりにかけて少しづつ人が増えていったらしい。特に最終日の付近は大混雑・大盛況だったとか。
東京の映画好き達がこぞって集まり、ミラノ座の閉館を悲しんだのかな。

実は私はこの周辺の、つまり歌舞伎町シネシティでバイトしていたことがありました。当時、映画業界用の冊子で、日本全国の映画館についてまとめた本があったのだけれど、それによると、全国で一番大きい映画館が渋谷パンテオン。次がミラノ座で、その次が新宿プラザでした。正確には、パンテオンが1119席で、ミラノ座は1064席、プラザは1044席。座席1000を超える巨大映画館、シネコンが出来る前の時代の“三大映画館”といったところでしょう。渋谷パンテオンは’08年6月に閉館し、新宿プラザは’09年11月。プラザが潰れた後、この辺の歌舞伎町シネシティの映画館は相次いで閉館してしまったので、最後まで残ったのがミラノ座でした。

私のバイト先はミラノ座ではなかったけれど、シネシティ一帯の映画館が提携して、どこでも見れるパスポートがありました。(従業員全体で限定3枚まで。)それを皆で交代で借りることが出来た。
一週間に3回までしか借りれなかったので、毎回このノルマは使いこなしていた。友人も一人まで一緒に入ることが出来たから、それこそ片っ端から友人を誘って一緒に映画を見ていたっけ。
おかげで週に3回は自分のとこ以外の映画館で見て、週に2回は自分の働いている映画館で映画を見て、その他単館系映画館も渋谷に遠征して観てましたね。大体年間を通して週に5本はくだらない。年間にするとザッと計算してだけれど、240本は見ていたかな。

もう、それこそミラノ座では数えきれない数を見たはずだけれど、思い出すことも出来ないぐらい多いので、一番記憶に残ったものだけ言うと、一番混んでいたのは確か『少林サッカー』。あの広い映画館があそこまで混み、しかも笑いで包まれていたのは初めてだった。本当、みんなよく爆笑していたなあ。幸せだった。

当時、私の働いていた映画館のアルバイト代は新宿区内でも最安値の時給で、本当に雀どころかその餌の、ミミズの涙ほどの金額でしか無かったけれど、映画が見れるのがとにかく楽しかった。
バイトをする前後の時間に、そのままの場所で映画が見れる、というのは、まるで自分にとって「現実の地続きに映画の世界が広がっている」ような気がしたもので、夢が広がる経験でした。(おめでたいやっちゃなあ。)
バイト先の人達も皆変わった人が多くて、「バイト先というのは、友達を作る場所ではない」。そんな風に頑なに思っていたのに、シャイな自分の心の扉がすっかり溶解してしまって、いつの間にか溶け込んでいった。そんな経験は、本当に初めてのものだったんですね。
変人というのが気づかれないように、普通っぽさをずっと偽装して生きてきた、そんなつもりでした。今思えば、自分はなんて抑圧の強い人間だったんだろう、と思い返します。生きづらさをいつも抱えていた自分にとって、映画好きの人達はとても心地が良かった。
ちなみに、その後もそこの映画館の従業員だった友人達とずっと仲良くしていて、時々映画を見せてもらってました。一緒に良く飲んだし。このブログでのいくつかの記事でも、彼らと一緒に見た映画がいくつもあります。一人の子は、ジョイシネマが潰れるまで働いて、その後の片付けなども手伝い、その後東京のアパートを売り払って、東北の実家に帰って行きました。

なんだか全然違う話になっちゃった。
ミラノ座のお別れは自分にとって、ミラノ座という1つの映画館の終わりではなくて、“シネシティ”という歌舞伎町の映画館群全てとのお別れ。だから自分にとっては、シネシティの“終わりの始まり”は、2008年のプラザから。
でも当然のことながら、自分が働いた映画館が潰れた時が一番ショックでしたね。新宿ピカデリーやバルト9が出来てから、歌舞伎町のシネシティは人がぜんぜん入らなくなってしまいましたからしょうがないのだけれど。

ミラノ座のラストは、自分にとっては12月12日に復活した東京ファンタ。この時にミラノ座カレンダーももらったし。“東京ファンタ復活”は、ミラノ座が潰れてしまうということを聞いて、急遽企画されたオールナイトイベントだったのだけれど、あのお祭り感は自分には十分過ぎる思い出になりました。何と言っても私の一番好きなホラー、『死霊のはらわた』が大スクリーンで見れたし!もう私のためのイベントかと!
「サム・ライミが箱ドリーを発明して、特許も取ったんだよ」なんて、最近ちょうど話していたのだけれど、その矢先に東京ファンタ復活!…このタイミングで見れるとは!完璧。
個人的には、ミラノ座のラストイベントにはあまり通わなかったけれど、この時の体験で十分!でした。

2014-12-12 21.44.012014-12-13 06.22.17

・・・という訳で、長くなってしまったけれど、先月の評価別INDEXです。

 

★★★★★

★★★★

  • ベイマックス ・・・4.8
  • 毛皮のヴィーナス ・・・4.8
  • ホビット 決戦のゆくえ ・・・4.6
  • ゴーンガール ・・・4.5

★★★

  • インターステラー ・・・3.7

★★

  • サンバ ・・・2.8

(特になし)

以上

好き嫌いのみで判断し、作品の完成度とは関係ないものとします。
評価は人の数だけあります。

 

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コメント(8件)

  1. とらねこさん☆
    怒涛の年末年始が終わって、ちょっと一息。

    ミラノのラストイベントは結局参加できずじまいだったけど、自分が学生の頃よく言っていた歌舞伎町の映画館たちがみな無くなってしまうのは、なんだか寂しいかぎりね。
    思い出いっぱいのミラノが閉館したけど、「また会おう!」というフレーズはなんだか映画ファンが心で繋がっているかんじがしていいね☆
    ミラノでかかった最後の新作映画は、観た人あまりいないのかな??
    結構面白かったのだけど…

  2. こんばんは。
    ついにミラノ座閉館しましたね~
    そうですか・・・とらねこさんは歌舞伎町の映画館でバイトを~「羨ましき青春」!
    私もよくあの辺の映画館(ミラノ座を含む)には行きました!一人で行くときは繁華街を通り抜けるのが怖くて。
    結婚後は、友達と「来る途中で何人に声をかけられた?」を競い合ったりして・・・・・。
    ミラノ座跡もシネコンになるんでしょうね。ザンネン!

    今日「ベイマックス」観てきました~
    一緒に観た小学2年の子に不覚にも涙を見せてしまいました。さすがディズニー!

  3. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    ミラノのラストイベントは、行きたいところだったのですが、年末何かと忙しかったのと、全部見た作品で再見したい作品があまり無かったので、やめちゃいました。
    ラストイベントオオトリの『ET』はまさに小学校の時、初めて見た洋画ですし、『エグゼクティブ・ディシジョン』も大好きだったのですが、もう繰り返し何度も見たので、さすがにもういいかナと…。

    最後の新作映画は、『ハネムーン』ですね。まさか、よりによってこんな地味なB級映画をもって来るなんて驚きでした(笑)
    サスペンスホラーかな。DVDになったら見てみます!
    そうそう、「また会おう」の文字は、ミラノ座の終焉イベントではなく、ファンタの復活イベントだからこそでした。
    個人的には、ファンタの復活で終わりに出来たのが意義深くて、とっても嬉しかったです〜!

  4. cinema_61さんへ

    あけましておめでとうございます!コメントありがとうございました。
    cinema_61さんは、個人的ベストテンなどはやられないのですか?(笑)
    もしあったら、是非聞いてみたい気がします!

    そうなんです。映画館でのバイトは、わいわいみんな仲良かったなあと…。本当にかけがえの無い思い出です。
    だから、シネシティの一角がひとつひとつ無くなってゆくのが本当に寂しかったですよ。

    そうそう、この辺て本当良く声をかけられるんですよね。本当に怖いです。
    ただ正直な話、「誰でもいい」とか言われてますよね…。ダンス帰りのジャージ姿だった時もあったり、ノーメイクの眉毛なしの顔でも声をかけられるので、噂通り顔とか全く見ていないとしか思えないです…。

    ベイマックスは、今週の興行収入ランキングで、『妖怪ウォッチ』を超えたそうです。さすがですね!
    これは、大人が見ても心から楽しめるエンターテイメントになっていましたものね。

  5. とらねこ史ですよね。映画館でバイト、いいなあ。楽しそうだし、映画代浮けば時給の元取れてたような気もするよ。
    ミラノ座って数年前に『舞妓Haaaaan!』かなんかを観に行った記憶があって(タダ券だったか1000円券だったか)、今時のシネコンに慣れた身には妙に新鮮だったかも。もしかしたら私『E.T.』公開時にクラスの子たちと30人くらいで観に行ったのもここだったかなーなんて。

    『サンバ』、やっぱり今一つですか。何となくこのテの感じがマンネリになってきてますよね。忙しかったらスルーしちゃおうっと

  6. rose_chocolatさんへ

    こんばんは〜♪お返事遅くなってごめんなさい!
    旅行に行ってました。

    そうなんですよ。本当は、映画好きの友達が欲しかったのと、映画館で働いてみたかった、というだけの理由で、映画館でのバイトを決めてしまったんですが。
    あまりの時給の安さに死にそうになってしまったけれど、映画をたくさん見れるのが楽しくて。毎日何の映画見ようってそればかりしか考えてない毎日でした。
    ま、それは今もあんまり変わってないか!?

    ミラノ座、roseさんのお住まいだとそんなに行く機会ないですよね。でも、行ったことあったんですね!
    ああ、そうなんだ、roseさんもここでET見たんですね。私も確かここだったんですよ。親に連れられて、初めて見た洋画がETだったんですよね。
    30人てすごい!子供達だけで見たんですか?

    サンバはね、楽しめる部分もちゃんとあったんですよ。フランス映画だから、つまらなくてもそれほどガッカリではないのね。
    自分のパスポートの問題で、それこそ強制送還になるかならないか、というシチュエーションがあるんですが、ここで空港の職員(見習いだけど)とその問題を抱えた人が、恋愛関係に進むとか進まない、相手が自分に気があるない…という話があるんですね。
    「それってそういう場合じゃなくない?」と思ったりしてしまって、そういう恋愛に対する積極性に驚いてしまったのだけれど。でも何がキッカケで知り合ったっていいし、そういう面は逆にフランスらしい、とも言えますよね。
    シリアスな問題を描きながらも、軽さを感じる人生観と、軽快な音楽で誤魔化しつつ物語が進んでいく…という、この監督の作家性が、好き嫌いがあるかもしれません。
    すごい長くなっちゃったー。
    こんなに語るならブログ書けよという(爆

  7. ミラノ座が、昨年末で閉めるというのを知り、29日まさに当日に「男たちの挽歌」上映と知った時は、休暇を取得しなかったことを死ぬほど悔みました。

    シネマ・ミラノ時代の「ブレックファースト・クラブ」と、シネスクェアとうきゅうの「クローザー」、新宿東急時代の「グリーン・デスティニー」の記憶が強いです。

    しかし、最後にあの界隈で見たのは、「ダイ・アナザー・デイ」

  8. バラサ☆バラサさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    そうそう、29日ぐらいからミラノ座は混み始めていたらしいです。
    『男たちの挽歌』お好きだったんですね!私はそう言えばDVDでしか見たことなかったなあ。

    『クローザー』って、『クローサー』のことかな!?だとしたら、ちょうどこの辺り私バイトしてましたよ。
    グリーン・デスティニーもリアルタイムでご覧になったのですね!




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