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リンクレイターの最新作が必見すぎる! 『6才のボクが、大人になるまで。』

poster2リンクレイターは1周してしまった。トリュフォーが5本かけてやったことを、たった1本の映画でやった。
そもそも、9年に一度続編を出した三部作『ビフォア・サンセット』のシリーズ(イーサン・ホーク主演)だって、めったにないことのように思えたのに!このシリーズについて知らない人のために説明すると、ビフォアシリーズは、1作目の『ビフォア・サンライズ(恋人までの距離(ディスタンス))』でとあるカップルの一目惚れ恋愛模様が描かれ、その9年後に続編が公開された。彼らにも同じだけの年月=9年間が流れた、という設定で。もしかしたら最初の作品が出来た時には、そんな腹づもりはなかったのかもしれないけれど。そしてその9年後にとうとう最後の『ビフォア・ミッドナイト』が公開されたのは、日本ではまだ今年のこと。9年に一度×3本という三部作を18年で作り上げたリンクレイターが、実はこの作品『6才のボクが、大人になるまで』の構想も同時に練っていたのか!と感嘆してしまう。アメリカではビフォアシリーズ最終作の『ビフォア・ミッドナイト』が公開されたのはまだ去年の2013年、まさかその翌年にこの作品を完成させるなんて!私的には一番好きなアメリカ人監督だ(と、10年前から言っている)けれど、リンクレイターは本当に素晴らしすぎるじゃないか!?

まさに奇跡のような映画!私は何も知らずに見たので(相変わらず、何の情報も仕入れずに映画を見るのが好き)、本当に驚いてしまった。「まさかこれって同一人物!?」なんてね。リンクレイターもそんな驚きを、きっと観客に与えたかったに違いない。本当に新鮮な驚きだった。
ここには、思春期に訪れる全ての要素が満ちているんですよ。そんな映画。自分が通ってきた記憶がみずみずしく蘇る。本当になんて映画を作ってしまったんだろう。しかも、最後に大学に入学して終わるってことは、リンクレイターの処女作『バッド・チューニング』に戻るってことじゃないか!最初に述べた、「リンクレイターは一周してしまった。」の意味が、分かってもらえたと思う。

Detour label but it’s technically retour! (あ、最後だけフランス語ね)
今後のリンクレイター作品は、きっとこれまでと違ったものになるだろうな。今後がますます楽しみ。

そうそう、リンクレイターの娘が出てきてたことをエンドロールで知った。ウン、似てるとは思ってたんだ。

P.S.…少年好きとしてはやっぱり、男の子って12才〜15才までが一番好き。という私はまあ、生涯『スタンド・バイ・ミー』の頃のリバー・フェニックスの面影を求め続けていくんだろうな…。

’14年、アメリカ
原題:Boyhood
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
製作:リチャード・リンクレイター、キャスリーン・サザーランド
製作総指揮:ジョナサン・セリング、ジョン・スロス
撮影:リー・ダニエル、シェーン・F・ケリー
音楽監修:ランドール・ポスター、メーガン・カリアー
キャスト:エラー・コルトレーン(メイソン)、ローレライ・リンクレーター(サマンサ)、パトリシア・アークエット(オリヴィア)、イーサン・ホーク(メイソン・Sr.)

 

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コメント(8件)

  1. こんばんは。
    結構長時間上映ですが、時間を共有して観ていたいたせいか長く感じませんでした。
    父親と母親の役割をきっちり行っていれば、離婚した夫婦の子供でも上手く育つのでしょうか?
    日本では難しいかも?

    「今を生きる」の時のイーサン・ホークを思い出しながら、彼っていい歳の取り方してるなぁ~と思ったのは贔屓目?

    リバー・フェニックスは私も大好きでした!
    今も彼の面影を追っていく気持ちわかります~

  2. cinema_61さんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    cinema_61さんもこちらご覧になりましたか!確か、cinema_61さんはイーサン・ホーク好きでいらっしゃいましたよね^^*
    私も、イーサン・ホークも年を重ねたなあ〜と思いながら見ていました。
    私もこの間『いまを生きる』を再見したんですよ。ホフマン追悼で。私の場合は彼は『リアリティ・バイツ』で名前を覚えたんですが、この頃の彼は本当に若かったなあ…まるで別人のようでしたよね。まあ、自分も同じだけ年を取ってる訳ですが^^;

    私も全然上映時間長く感じませんでしたよ〜!本当、みるみる子供が育っていくのを見ている感覚でしたよね。12年を一度に短縮したんですもん、2時間46分なんて、短い短い!

    リバー・フェニックスは私の永遠の初恋の人なんですよ(笑)。この子もちょっとだけ面影がリバーに似ていて。細面に育つところもリバーっぽいですよね〜。

  3. 映画:6才のボクが、大人になるまで。 あっと驚きの企画が生む、異次元の感動。今年のベスト1級!

    昨日に紹介した映画、100歳の華麗なる冒険 とは全く方向性が真逆!
    100才が吹く大ボラ、に対し、こちらは 6才(笑)
    何と! 12年間、毎年数日ずつ集合して撮影する「人生…

  4. とらねこさん☆おひさ~
    少年が思春期を経て大人の階段を登っていくこの瞬間、それだけで最高ですわ。
    この監督の作品は、実は初めてなの。
    これは他の作品もチェックせねばね!

  5. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こんにちは。お久しぶりでーす!
    本当、単純つったら単純なんですけど、宝物みたいな作品ですよね…。

    私はリンクレイターがアメリカの監督で一番好きなんですよ。
    是非是非他の作品も見てみて欲しいです!

  6. これは色々な意味で奇跡的でした。
    リンクレイターは映画的時間というものを「ビフォア」三部作で非常にユニークに考察して見せてくれましたけど、これはまた違うアプローチなんですよねえ。
    たぶんもう二度とこういう作品は作れないだろうし、(まあ作ろうとする人もいないだろうけど)リアルタイムで劇場で観られたのは貴重な経験だったと思います。

  7. ノラネコさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    本当ですよね!あのビフォア三部作もやはり時間の使い方が面白かったけど、同時期にこれをやっていたなんて…。
    ビフォアシリーズが大好きな自分からすると、あの作品を超えたりはしないけれど。
    よくある思春期のよくある少年の成長物語ですけど、それにしても試みそのものが、前人未踏の映画でした!

  8. 【映評】6才のボクが、大人になるまで。[実写映像のみに許された時間表現]

    99点(100点満点)
    2014年11月23日、新宿武蔵野館にて鑑賞

    時間の流れを楽しむ映画。

    たぶん私の今年のベストワン。
    もっとも「ゼログラビティ」見たときも「エレニの帰郷」見たときも…




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