装い新たなデンゼルアクション 『イコライザー』
ヴィジランテ映画大好物!&武器の創意工夫ぶりが楽しい快作。アクションも見せすぎじゃないからこそ楽しめる。これはイイ。手堅く面白くまとめるアントワン・フークワ。前作『エンド・オブ・ホワイトハウス』はなかなか面白いまでも、エメリッヒの『ホワイトハウス・ダウン』の方が〜、と言ってしまった私だけど。
デンゼルのキャラ設定のマンネリズム解消ぶり
昼間はホームセンターの店員だが、裏の顔が…という二面性を持つロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)。デンゼル・ワシントンってブラック系でありながら、流暢で綺麗な訛りのないアメリカ英語を話す役であったり、知的なイメージであったりという格好良すぎる役がこれまで多すぎたんですよね。『トレーニング・デイ』『マイ・ボディガード』『クライシス・オブ・アメリカ』『マーシャル・ロー』…出演作はとても多くて、とても引用しきれないほど。正直マンネリに思える部分もあって、ちょっと飽きてしまった感じがあった。その点、ブラックでありながらも主演ばかりでないサミュエルの方が、役の幅があって面白い存在というイメージ。でもデンゼル・ワシントンもたまに下層階級を演じた役柄の時もあって、例えば『ジョンQ 最後の決断』なんかがそうだったのだけれど、逆にデンゼルがこういう役か、と驚いたし新鮮だった。だから、私的には『アンストッパブル』のような役どころは大満足。“引退間際の肉体労働者の最後の一日”という設定で、いよいよという場面でいいとこ見せてくれるデンゼルを嫌でも期待してしまう。(年頃の娘二人に手を焼いたりパパ嫌われちゃうシーンがあったから余計効果的w)
今回はそう言った意味では、この主役の二面性は彼が演じるのにピッタリで、かつマンネリ踏破する、適切な役柄。まずここに納得。本当は強すぎる彼の裏の顔には隠されていた経歴があって、これが露見するのが1時間ほど経ってから。上手な展開で見せてくれたので、その後事件が次第次第に膨れ上がっていく展開にも、飽きずに見れる事ができた。こういう脚本はさすがのハリウッド。
クロエちゃんでガッツリ観客の心を掴む
クロエ・グレース・モレッツちゃんは、もう“ちゃん”付けで呼ぶのが難しいぐらい、ピチピチでムチムチに成長していた。正直、ちょっと頼もしすぎたかもしれない(笑)。「彼女は本当はそんなタマじゃないし、悪人はどんどんやっつけちゃうよ!」と思ってしまったりもしたけれど。だって、あんなに腕太いしさ。
…というのは置いておいて、彼女のシーンはメランコリックで叙情性をそそり見事。自分の世界を自分で変えていくことが出来ない、どこか諦め顔の若いロシア人娼婦。彼女を思わず助けたくなってしまうところから、ロバートの『タクシー・ドライバー』的復讐が始まるのだけれど、この作品ではそれが結末ではなくて単なる始まり!てのもイイじゃないですか。
「目の前に弱い者いじめをする奴がいて、自分なら助けられると分かったら、それを見て見ぬ振り出来るかい?」と言う彼の“仕方なく立ち上がった、薄汚れたヒーロー”ぶりに思わずグッと来てしまう。太ったメキシコ人警備員の彼を助けたり等、マイノリティに対する同情心も、あくまでも自分の周りに居る人々を助けようという小さな親切から始まっているのが上手に納得させられてしまう。『老人と海』のくだりで彼の孤独な戦いを思わず彷彿とさせられる。
アクション部分も一流!(エグいけど)
こうしたドラマパートの丁寧さと、アクション部分の思い切りの良い、エグさとのギャップがまた良かった。武器が単なる銃であるのもつまらない、かと言ってナイフ?斧?はたまた弓、あるいは電ノコ、トンカチ…。出尽くした感のある武器も、「その場にある物を使う」という創意工夫によって、肉弾戦は何倍も面白くなるのね。殺し方/見せ方もバラエティ豊か、様々な武器を使ってくれただけで、この作品かなりの高得点、と相成りました〜!
’14年、アメリカ
原題:the Equalizer
監督:アントワン・フークア
製作:トッド・ブラック、ジェイソン・ブルメンタル、デンゼル・ワシントン他
製作総指揮:エズラ・スワードロウ、デビッド・ブルームフィールド他
原作:マイケル・スローン、リチャード・リンドハイム
脚本:リチャード・ウェンク
撮影:マウロ・フィオーレ
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
キャスト:デンゼル・ワシントン(ロバート・マッコール)、マートン・ソーカス(テディ)、クロエ・グレース・モレッツ(テリー=アリーナ)、ヘイリー・ベネット(マンディ)、デビッド・ハーバー、ビル・プルマン、メリッサ・レオ他
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とらねこさん☆
デンゼルの新境地だったねー
ちょっと今までお行儀良すぎて、正直飽きてきてたから、彼の行儀の良さ&意外な裏の顔のバランスが良くて、なかなかいい作品でした。
クロエちゃん太っ!
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
デンゼルの二面性がイイんですよね〜!
彼は綺麗な訛りの無い英語を話す、いわゆるエリート黒人タイプだと思うんですが、だからこそ役柄のバラエティが案外少ないのだと思います。
クロエちゃん、足は太くないんですけど、二の腕がムチムチでしたね〜。
外国人て、本当あっという間に成長するんですよねw
レオン的なものを想像していたのですが、いい意味で裏切られました。
クロエちゃんの顔は、相変わらず童顔なんですけど、やはり成長しているんだなと実感。
イコライザー
2014年11月1日(土) 18:35~ 109シネマズ川崎5 料金:1100円(ファースト・デー) パンフレット:未確認 いつもと違う 『イコライザー』公式サイト クロエちゃんが娼婦役で、虐…
バラサ☆バラサさんへ
こんにちは〜♪コメントありがとうございました。
ね、クロエちゃん大分成長してましたよね。
キャリーの時はまだ思春期っぽさ?(笑)があったんですけど、なんか急に成長してるように思えました。
でも彼女やっぱ上手いですねー。彼女のシーン、ボロボロ泣いちゃったな。
畳が一枚あったらサミュエル爺さんはアグラをかく人、デンゼル・ワシントンは正座をする人なんだな。
『イコライザー』を109シネマズ木場3で観て、デンゼル強すぎだふじき★★★
五つ星評価で【★★★セガールみたいに強い】
デンゼル・ワシントンがセガールなみに強い。
あまりに強すぎて、そこそこ強いロシアン暴力傭兵が相手にならないのである。
…
ふじき78さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
アハハ、確かにそんなイメージ(笑)
デンゼルはちょっと真面目すぎるきらいがありますね。
でもここでの役は本当にピッタリだったなー。