『エル・ニーニョ』@ラテンビート映画祭
エルニーニョ現象とは全くもって関係無かった(笑)
主人公ニーニョの性格を説明づけるエピソードのところで、“ニーニョ”の意味について、“子供っぽい”や“好奇心旺盛な”、という意味がある、と一言有り。
この主人公ニーニョ(ヘスス・カストロ)は悪友コンピ(ヘスス・カローザ)と一緒に、運び屋の仕事を始める。ニーニョの得意とする、命知らずなボートの操縦で…。
一方、刑事側であるヘスス(ルイス・トサル。ヘススだらけだなw)は、地道な調査を重ねていく昔気質の刑事。とあるイギリス人の大物運び屋を追いかけ、忸怩たる思いに夜も眠れぬ毎日だった。
ジブラルタル海峡を駆けるスペイン男達が熱くて、思わぬ拾い物をしたとガッツポーズ!
アクション部分は威勢の良いミステリーではあるけれど、スタイリッシュさに重点を置くのではなく、じっくり腰を据えてエピソードを追いかける。退屈は全然せず進む、落ち着いたプロットにも好感を抱く。
終わり方もストンと気持よくて、主人公側の運び屋達と刑事側の二者の太い線が、ちょうど繋がったと同時に、点対称を成している。あら、友情にまつわる物語になっているじゃない、と。
ニーニョの側では、人質としてマフィアに取られてしまったコンピのために命を捧げ、一方ヘススの側は、刑事の側での裏切り者が誰であったかハッキリする。「ずっと一緒に仕事をしてきた、友達じゃないか…」の言葉が虚しく響くところで思わず「上手い!」と。これに続くラストの締め方も、スペインらしい気持ちの良さ。
ラテンビート映画祭では、こちらと『殺せ』を見た。残念ながら『殺せ』の方は、シネスコサイズを新宿バルト(映画館側)が上手く対応出来ておらず、上下カットマスク上映。新宿バルトと言えば、映画館としても音の良さ、映像の良さ等で満足の行く映画館だと思っていたから、正直とてもがっかりした。上下カットマスク上映の、何ともTVっぽい映像だこと。さらに映画祭であるにも関わらず、英語字幕無しだった。もし海外からお客が来ていて、それが日本語の出来ない英語スピーカーだったとしたらどうしたのだろう?終わった後に、客席の中から英語で、「どなたか、英語字幕無しで不便を感じた方は居ませんでしたか?」と聞いている人が居た。製作者もしくは監督/俳優等で、責任を感じたのだろう。
『殺せ』もなかなか面白かったのだけれど、そうした不満が多いためと睡眠不足もあり、思わずふて寝…。上映中、3分の2ほど寝てしまって、肝心なシーンを見過ごしてしまった。なかなか面白かったのにとても残念!
’14年、スペイン
原題:El Nino
監督:ダニエル・モンソン
キャスト:ルイス・トサル、ヘスス・カストロ、セルジ・ロペス、イアン・マクシェーン
2014/10/22 | :サスペンス・ミステリ スペイン映画
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