『VHSテープを巻き戻せ!』『バスケット・ケース』『悪魔の毒々モンスター』@新文芸坐
『VHSテープを巻き戻せ!』オールナイト4本立てを、新文芸坐にて見てきた。
『VHSテープを巻き戻せ!』の中にVHS時代の大御所として、フランク・ヘネンロッターとロイド・カウフマンが登場する。この作品にちなんだ4本立てということで、『バスケット・ケース』、『悪魔の毒々モンスター』が一緒にかかる4本立て。こちらの2本を、映画館で見るチャンス!と喜び勇んで私も参戦。
『VHSを巻き戻せ!』の作品も気になっていたのだけれど、UPLINKでやっていたので敬遠していたのです。(UPLINKは一年に一度でいいや…。今年はもうここで『リアリティのダンス』を見ちゃったから。)『VHS〜』も、新文芸坐の大きな画面で見れて嬉しい。
さらに江戸木純氏&田野辺尚人のトークショーも付き。台風が来ている最中ではありましたが、最後の『僕の未来に逆回転!』だけ見ずに帰れば、台風直撃する前に帰ることが出来たのでセーフ!大雨になる前に帰宅することが出来たぜイェイ!
『VHSテープを巻き戻せ!』
何とも楽しい1本目!VHSテープを集めまくっているマニア達の、見るからにボンクラな顔ぶれが楽しい。
アメリカの片隅の、のみの市のようなところでVHSが売られていると聞けば、車でどこにでも行く彼ら。屋根裏部屋がVHSだらけだったり、部屋中所狭しと置かれていたり。
アメリカにはこんな人達、探せば結構居るのね。そんなVHS達はもはや入りきらず、床の上にベタ置きになっている人も。「彼らの自慢のテープ」として取り出すのだけれど、こうした山の中から発見するのも脅威の術なら、それを取り出す技術にもまた驚き(苦笑)。こうまでして取り出された自慢の1本というのが、どう考えてもあり得ない(ゴミとしか思えない)フィットネスのテープだったりするという。もはや苦笑の連続なのに、とっても気分良く楽しく見れるのは、彼らがいかにも清々としていて、何故か自慢げで、妙な可笑しさがこみ上げてくるから。アメリカのオタクはカラッとしていて、人生楽しんでそうでいいんだよね。誰も知らないようなVHSを見たことがあるのは、彼らだけかもしれない。
人生をどうしようもないものに捧げている人に限って、こんなに清らかなのは、私には何故なのか全く分からないよ。
映画は映画館でしか見られなかった時代も変わって、VHSが誕生する。当初の人々の驚きと意識の変遷。映画会社の葛藤と反発、さらにVHS用の映画が作られるまでに。「トロマですら何百万ドルも稼いだ」というVHS時代は良い時代!?
ヘネンロッターの『バスケット・ケース』も、普通は50ドル以上するところを、ティーネイジャーに向けて20ドルに抑えて販売。これが当たりに当たって大ヒットとなった経緯などは、聞いていてとっても楽しい。
そうそうこの作品には、押井守も登場するばかりか、『ビジターQ』の主演として中原翔子さんも登場していたよ!
’13年、アメリカ
原題:Rewind this!
監督・原案:ジョシュ・ジョンソン
製作:キャロリー・ミッチェル
製作総指揮:フレディ・フィラーズ、パノス・コスマトス
撮影・編集:クリストファー・パルマー
キャスト:アトム・エゴヤン、ジェイソン・アイズナー、フランク・ヘネンロッター、ロイド・カウフマン、押井守、高橋洋、中原翔子、いまおかしんじ、バクシーシ山下他
『バスケットケース』
夜中の2時半に始まっていたので、眠くなってもおかしくないのに、全く寝ずに見た。
あるバスケットケースを大事そうに抱え、NYにやって来たデュアン。実は彼は子供の頃、結合双生児だった。バスケット・ケースの中身はその兄。デュアンの体の脇腹で大きくなってしまった兄を、一家の医師が無理やり引き剥がし、兄を殺そうとしたのだった。
B級ホラーに笑いながら見ていると、最後の兄弟の顛末に哀しくなってしまった。ホラーとして意外にも良く出来ているし、満足満足。とても良かった。
顔が動くシーンでは、コマ送りで造形が動くのも好きだったな。
兄ちゃんが嫉妬して邪魔しに来るのはちょっと邪魔だと思ってしまったけれど、兄ちゃんだって人間として生きてみたかったよね。
『悪魔の毒々モンスター』(無修正完全版)
『アベンジャーズ』より『Toxic Avengers』の好きな人、この指止〜まれ!
久々に見たけれどやはり名作!お馬鹿な作りにゲラゲラ笑いながら見た記憶があるのだけれど、今見ると案外ちゃんとしているナと思ってしまった。結構真面目に作られているし、今やトロマのトレードマークである「お馬鹿さ」よりも真摯さを感じる初心の意欲作。
ヘドロまみれの後ろ姿のチュチュと可哀想なお尻を見ていて、「毒々モンスター、カッコイイ〜!」と思ってしまう。これぞイイ映画の証。
盲人の女子が巨乳で美人であるのは、それが“正義”だから?
スポーツクラブのいじめっ子達はフラグが立ちまくり、ついでにエロ要員でもあるという無駄の無さ。
無修正完全版は、編集が“不完全”と思えてしまうものだったけれど(苦笑)。爆破のシーンを繰り返したり、あまり効果的でないフラッシュバックになっていて、ハッキリ言って要らない。
しかし、異形映画としてはやはり傑作!なのでした。ブラボー、ブラボー!
’84年、アメリカ
原題:The Toxic Avenger
監督・製作:マイケル・ハーツ、ロイド・カウフマン
脚本:ジョー・リッター
撮影:ジェームズ・ロンドン、ロイド・カウフマン
音楽:マーク・カッツ
キャスト:アンドリー・マランダ(サラ)、ミッチェル・コーエン(毒々モンスター)、ジェニファー・バプティスト(ワンダ)、シンディ・マニオン(ジュリー)、ゲイリー・シュナイダー(ボーゾー)、マーク・トーグル(メルヴィン)他
2014/10/15 | :ホラー・スプラッタ アメリカ映画
関連記事
-
-
『ヒメアノ~ル』 塚本遺伝子の本気汁
今年の邦画ベスト1はこれでしょう。 テンポの上手さに心を掴まれてしまう...
記事を読む
-
-
『アイアムアヒーロー』 邦画ゾンビのイキのイイ傑作!
「邦画にしては、珍しく出来の良いゾンビ映画」との呼び声の高かった今作。...
記事を読む
-
-
『ノック・ノック』 浮気男はとりあえず、ぷっころす♪
時々やり過ぎがちなボクちゃん、イーライ・ロス 前回の『グリーン・インフ...
記事を読む
-
-
『グッドナイト・マミー』 未公開映画特集の中に優れたホラー発見!
こんなに面白い作品が未公開だなんて、勿体無い! マンション内で繰り広げ...
記事を読む
-
-
リア充がセ●クスババ抜き&鬼ごっこ 『イット・フォローズ』
タランティーノ絶賛の声が聞こえてきたが、どんなもんかと。 開けてみたら...
記事を読む
自慢にはならない自慢ですが、「悪魔の毒々モンスター」は、公開時に東劇で観ましたね。その後、「リーサル・ウェポン」の梯子。
メルヴィンには、ロッキー・バルボアを感じましたね。ホラー映画の「ロッキー」ではないかと。
バラサ☆バラサさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
お!バラサさんは、リアルタイムで映画館でご覧になっていたんですね。素晴らしい♪
毒々モンスター、バラサさん好きそうな映画ですよね!
ハシゴした映画まで覚えていることってありますよね〜。
なるほど、確かに。ホラー映画のロッキーか…。確かに、負け戦であろうと果敢に挑む姿が泣けるぅ!
ロッキーの生卵飲んで、フィラデルフィア美術館を往復する姿と、メルヴィンの筋肉むきむきの上半身に毒々色になったチュチュの後ろ姿が、オーバーラ〜〜〜ップ!!!してきました〜〜。
【カリコレ2014】『VHSテープを巻き戻せ!』 (2013) / アメリカ
原題: Rewind This!
監督: ジョシュ・ジョンソン
出演: アトム・エゴヤン 、フランク・ヘネンロッター 、押井守 、カサンドラ・ピーターソン 、ロイド・カウフマン 、ジェイ…
連日乙ですー
これこそカリコレで観て、だーい好きになった1本ですね。
VHSってそういやどうしたっけ、捨てちゃってますね。そもそも機械がもう動かないとか、そういう段階だし。
レコードと同じように大事に大事に機械をメンテしているオタクさんたちがみんなアツくてまぶしかったですね。
rose_chocolatさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
ゼイゼイ、TIFFもちょっと疲れて来ました。
というか今日、六本木&日本橋とチャリで行かなくて大正解。我ながら第六感を信じて行動するようにしてるんですが、それが良かったー。
大好きになった1本て、『VHSテープを巻き戻せ!』のことですよね?ロゼさんが他の2本をご覧になってたら、惚れ直しちゃうわー。…って、違うか(爆
そうそう、オタク達がやけに清々しいんですよね。自分の好きなことで映画に出演するのが本気で嬉しい!って感じ(笑)
オタクって悩み無さそうで羨ましい…。
自分の本当に好きなものを見つけた彼らは、生き方を迷っていないに違いない。