悪役魔女のスピンオフッフッフ 『マレフィセント』
悪役を主人公に配したスピンオフ。これ実は、善悪の基準が斜めに再定義された『ダークナイト』以来、腑に落ちる物語設定なのかもしれない。しかし、そこは主役。キラキラと輝きながらも、人に共感を持たせるキャラでなければいけない。そんな作り手の思いが感じられる。
だからでしょうけど…魔女、マレフィセントの行う悪行のみみっちいこと〜!ほとんど小さなイタズラ程度。
冒頭で人間達を守っていた頃、小癪な真似をして彼女の言うことを聞こうとしない人間たちを見て、
「この腐れ外道共が、地獄に落ちろ〜〜〜!」
と、マレフィセント側にすっかり思いを寄せて見ていた自分にとって、物足りないことこの上なかった。
もっともっと、悪行三昧の彼女が見たかった。
“コミニュケーションを取るのが下手な母親の愛”へと、パラダイムシフトされてしまっているのは、まあ良しとしよう。
元の物語を大きく改変しているところも、今回はスピンオフなのだから別に良いだろうと思う。王子の軽さについても、昨今のディズニーは男不在の物語を語ることに夢中になっているようだから、不問に付す。
にしても、オチは『アナ雪』と被り過ぎてるんじゃないですかね。またやるのかい!?って感じ。それとも、アナ雪フィーバーがこんなに続いたお陰かしら。なんだかしつこく感じてしまうところがマイナス要因。
そしてオチは、“自分のやったことが自分に跳ね返ってきました”!ちゃんちゃん♪的なアッサリ具合。
そのためか、全体的にかなり小じんまりとまとまった、小っちゃなちっちゃな物語。なんかちょっと、つまらない話だったな。
素晴らしいのは、アンジェリーナ・ジョリー!彼女の美しさは一際輝き、演技の一つ一つがビシッビシッと決まっている。
私が彼女の演技で何より好きなのは、怖い顔をちゃんと迫力ある表情で見せてくれるところ。『トゥームレイダー』の頃から、アクションシーンでちゃんと憤怒の表情するところが、好きでたまらないのよ。その他のアクション女優達、例えばミラ・ジョヴォビッチやらケイト・ベッキンセイルなんか、クールな無表情でアクションをこなしてて大っ嫌い。
あと、一人でカラスから竜から何にでも化けちゃう、役に立つ手下兼おせっかい焼きの、お人好しのサム・ライリー!彼もなかなか素敵だったな。ベジータおでこにキュンキュン。
’14年、アメリカ
原題:Maleficent
監督:ロバート・ストロンバーグ
製作:ジョー・ロス
製作総指揮:アンジェリーナ・ジョリー、マイケル・ビエイラ他
脚本:リンダ・ウールバートン
撮影:ディーン・セムラー
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
キャスト:アンジェリーナ・ジョリー(マレフィセント)、エル・ファニング(オーロラ)、サム・ライリー(ディアヴァル)、シャルト・コプリー(ステファン)、イメルダ・スタウントン(ノットグラス)、ジュノー・テンプル(シスルウィット)、レスリー・マンビル(フリットル)他
2014/09/10 | :SF・ファンタジー アメリカ映画
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とらねこさん☆
確かに「アナ雪」と被ってる~と私も思ったわ。
でも私は結構好き~♪
もうこの路線で行きます的な、ディズニーの勢いを感じて良かった☆
ちなみにディズニー映画ではないけど「美女と野獣」をもうすぐやるでしょう?
昨年からディズニーアニメものの実写が続きすぎて、もうお腹いっぱい…
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
アナ雪ともカブってるんですが、実は『メリダ〜』からカブってるとも言えるんですけどネ。
『美女と野獣』は逆にディズニーではなく、監督もフランス人、レア・セドゥ主演なので私は気になりますけどね(笑)
『ジェボーダンの獣』と『サイレント・ヒル』を見る限りですと、フランス監督っぽい作風の人ではないんですが。
レア・セドゥは実力と才能と美貌、ついでに大金持ち!を兼ね備えた、現代きっての売れっ子ですよ。シネフィル層にもすごい人気です。チェックしてみてくださいね〜。
ツイッターでピッコロと悟飯って流れてきて凄く納得した。
『マレフィセント』を109シネマズ木場7で観てうめえこと作るなふじき★★★★
五つ星評価で【★★★★役者力】
アンジーの顔がCGって訳でもないだろうに全編、ずっと見つめていたくなる凄い訴求力のある表情をしてる。
「いや、名女優なんだな、この人 …
あっ、そう言えば『マレフィセント』にもう一言。
映画を見る時間はムチャクチャとってあるのに、
ブログを書く時間が捻出できない。
インプットだらけでアウトプットできない便秘状態。
夏休み取れない会社に入っちゃったし。
…
ふじき78さんへ
こちらにもありがとうございます♪
ブハハ!ピッコロと悟飯ですか。確かに…。
そのツイート、読みたかったな。
私は、髪型がM字おでこだったので、悟飯というよりベジータを思い出しちゃいましたw