『生贄夫人』『発禁本「美人乱舞」より 責める』@新橋ロマン劇場
生贄夫人
今回、SM・緊縛物の3本立てだったらしい。時間がなくて、2本しか見れなかったのが本当に残念。しかも、見れなかったのは今回すごく気に入ったこちらの『生贄夫人』と同じ、小沼監督の作品だったので、他作品を絶対レンタルで借りよう!と決心。
大傑作でした。
冒頭のショット、幼女のオシッコタイムにジーっと後ろからお尻を見守る犯人。嫌な予感のする冒頭が素晴らしい。さらには、母の命日に墓参りに来た夫人をかっさらって来る、極悪非道な犯人。この彼が主人公で、監禁物に始まり、ハードコアな緊縛SM物へ。ああ、SMって画になりますね!そして、谷ナオミのけだるそうな表情はとっても似合う。なんて似合うんだろう、縛られている画が、ちょっと崩れた日本髪が。表情もすごくイイ。エロくて美しい。
何とか逃げ出した彼女は、地元の猟師達に犯されてしまう。そしてまた元のあばら屋に戻って来るはめに。この辺りの展開はなかなか素晴らしくて、ちょっと『発情アニマル(悪魔のえじき、女の日)』もしくは『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』っぽい。彼女は介抱されその後、夫人に白無垢を着せ緊縛プレイ。これがなかなか良かった!創意工夫の面白さ。この辺りから彼女はようやく感じ始め、態度が変わっていく。
この二人の世界が濃厚な物になり普通に終わるかと思いきや、その後の展開がまた凄い。心中カップルを発見し、二人が気絶している岩場で女を犯す男。このシーンは素晴らしかった。しかも言い訳がまたいい。彼は、心中カップルが「幸せそうに、相手を信じきった様子をしていたのが気に食わなかった」と言う。そこでカップルの二人を苛めるという新しいプレイが始まる。冒頭に載せた↑ショットは、ちょうど心中カップルの男が起きたところ。このシーン、尻突き上げ緊縛プレイの乳房越しに、「おや、起きましたか」などと言う。「幸せそうな二人を見ていると、こんなことしたくなっちゃうんですよ…」との台詞があって、女の浣腸シーン。さらに夫人に噴射受けをビニール袋でさせる!さらにこのシーンの凄いところは、長回しのまま(ここ大事!)、「若い人には刺激が強すぎたかな。こんなになっちゃって」と男の勃起を映して終わる。くう〜、面白すぎる!
さらに次に来るシーンも長回し。今度はロングショットのフィックスで、二組のスワッピングを映し出す。夫人と心中カップルの男は真正面から捉えたバックスタイル(途中で男が起き上がる)、心中カップルの女と犯人の男は横から映す。なんてビシっと決まってる。
玩具にされる心中カップルだけれど、最後とうとう本望を遂げ、死を選択する二人、ショックを受ける犯人。
ラストは、犯人が逃げ出して終わりな上に、さらわれた幼女が犯人になついていて、彼を見つけ出すなどと言う愛の逃避行になっている。うーん。完璧!
『黒薔薇昇天』に『怪猫トルコ風呂』、谷ナオミのロマンポルノは凄いのばっかりだ…。
’74年、日活
監督:小沼勝
脚本:田中陽造
撮影:森勝
キャスト:谷ナオミ(秋子)、東てる美(薫)、坂本長利(国貞)、影山英俊(潔)、中平哲仟(三好刑事)、高山千草(女中・ハル)他
発禁本「美人乱舞」より 責める!
こちらも、これまた凄い。究極のSM緊縛物にして、これ以上のものはなかなかお目にかかれないであろう、ハードコアな代物。よくぞこれだけの映画を撮ることが出来たなあ…。いやあ、昔の日本は狂ってるなあ。今だったら、水に浸かるだけでも俳優さんにとって辛いということで、ギャラにプラス料金が発生する、なんて入江悠監督が言っていたけれど。こちらの作品はもっと凄い。雪の被る真冬の屋外で、池の氷を割って氷水に浸けられる。井戸に吊るされて水責めさせられる。緊縛シーンもいろいろなタイプの物があるようで(映画中に横スクロールで出てくる)、やれ◯◯縛りだ◯◯縛りだといろいろあるらしい(覚えたい!←え?)
中でも、一番凄そうな縛りは、足を爪先立ちするほどの高さに吊るされ、髪で吊られる(こ、これは痛そう!!)というもの。今年、『それでも夜は明ける』で、キウェテル・イジョフォーが木に吊るされるショットがあったけれども、あの映画なんて目じゃない!
「女を玩具にするのはこれ以上ない楽しいことですわ…」と言う、男の独白から始まる。おそらくは、捕まった時に刑事に対して話しているであろう台詞が、ナレーション形式で差し挟まれる。責める方の縛りの創意工夫も凄いけれども、責められ続ける相手の根性が凄すぎる。初めこそ、女など玩具同然に扱っていた男が、彼女の姿勢に根負けして、とうとう愛を知る。…あれっ!?いつの間にか、なんて深い話になっているんだ!これはホラーの大傑作『マーターズ』を思い出させる(のは私だけか)。
や、新橋ロマン凄い凄い!最後にいきなりあの番組編成担当の方が、「俺のお気に入りシリーズ」をブチ立てて来たんでしょうか。こ、これは最後まで新橋通い続けなければならんわい!と、襟を正す私。今頃ですみません!でも、もっともっと通いたかったよ〜。
’77年、日活
監督:田中登
脚本:いどあきお
撮影:森勝
キャスト:宮下順子(タエ)、山谷初男(伊藤晴雨)、南寿美子(タエの母・かね)、工藤麻屋(第一の妻・シマ)、中島葵(第二の妻・トキ)、新城理絵(モデルの女)、長弘(医師)、織田俊彦(写真師・佐伯)、清水国雄(助手・青野)、大栗清史(五郎ちゃん)他
2014/09/01 | :ピンク・ロマンポルノ
関連記事
-
-
バクシーシ山下国際ドキュメンタリー映画祭 『逆ナンパしちゃった!? 青木ヶ原樹海編』その他
年末にUPLINKでやっていた、「バクシーシ山下国際ドキュメンタリー映...
記事を読む
-
-
恥ずかしいタイトルだけど傑作 『妻たちの性体験 夫の目の前で、今…』
なんて恥ずかしいタイトルなんだ…! ロマンポルノの感想を連日挙げておき...
記事を読む
-
-
『濡れた壷』 こちらも小沼勝×谷ナオミ!
シネマヴェーラに来れる喜びよ!嗚呼、ロマンポルノ素晴らしきかな。 谷ナ...
記事を読む
-
-
『団鬼六 「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』小沼勝×谷ナオミは間違いなし!
『生贄夫人』が大傑作なので、シネマヴェーラでやってる小沼勝特集では田中...
記事を読む
-
-
エイゼンシュテインをグリーナウェイが描く 『エイゼンシュテイン・イン・グアナファト』
そうそう先日、ゲイのカップルの結婚式に行ってきたんですよ。 1人は白人...
記事を読む
「生贄夫人」1974年 谷ナオミ 坂本長利 東てる美 小沼勝 田中陽造
「生贄夫人」
1974年
谷ナオミ 坂本長利 東てる美
監督/小沼勝 脚本/田中陽造
imaponさんのブログに「生贄夫人」のことが紹介されてあり
オモローそーなので観ました
会社の机の上に…
新橋ロマンで縄縄縄20140808-20140814
◆『生贄夫人』
五つ星評価で【★★★★何回見ても凄いわあ】
谷 ナオミ主演、坂本長利 東 てる美、出演。
小沼 勝監督 1974年のロマンポルノ。
3回目か4回目。
何回見ても、 …
こんちは。新橋文化(兼ロマン)のツイッターによると、これは番組編成担当の趣味というより、昔、新橋ロマンで定期的に緊縛映画の特集を行っており、その際、特定の客層により大変興行が安定していた、そういう映画館であった頃の新橋ロマンに捧げるオマージュだなんだそうです。
ふじき78さんへ
こちらにもありがとうございます♪
ハハハ、SM緊縛物は趣味じゃなくてロマンの特定のファンが居たんですか。
あー惜しいなあ。そうと知ってれば毎回緊縛モノに通ったものを!
新橋劇場のおじさんのtwitter、いつも楽しみにしてました。
9/1以来twitterやらなくなっちゃいましたね…。
当たり前ですが、寂しいです。