笑って泣けるフレンチラブコメ 『バツイチは恋のはじまり』
笑って泣ける、フランスならではのラブコメディ!9/20(土)に公開だけれど、一足お先にフランス映画祭でもやってた。こんな爽やかな作品、大好き。是非とも応援したくなるキュートな作品でした。ブラックユーモア&ビターなテイストたっぷりな辺り、フランス映画らしい。恋愛の普遍性や永遠に変わらない真実、そんなものも感じたり。ちゃんと鑑賞後にしっかりしたものが残るんですね。
監督はパスカル・ショメイユ、『ハートブレイカー』の監督でまだ長編2作め(未見)。ふむふむ。ただ、脚本のローラン・ゼイトゥンが、『最強のふたり』のプロデューサーなのでした。
「一度目の相手とは必ず別れる」。家系のジンクスで言えば、実は私の家も全く同じ。お恥ずかしながら、バツイチが多いんです。祖母の場合は死別、母は離婚、そして私も妹もそれに連なる…。何となくなんだけれど、高校生の頃から私も「自分はきっと離婚する」、なんて言ってたんですね。もちろん、自分の結婚の時はそれに精一杯反発して、絶対そのジンクスに陥らないようにしなくちゃ!なんて思ってたのだけれど。
このヒロインの場合は、「一度目の男とは別れる」というジンクスに逆らうため、別の男と結婚するという暴挙に出る。とある出会い系サイトで出会った人と結婚すべく海外旅行に出かけるも、その男にすっぽかされ、急遽行きの機内で出会った男、ジャン=イヴをターゲットにするイザベル。この無茶苦茶なラブアタックがすごく可笑しい。10年付き合った彼氏といよいよ結婚するという目前に、この風変わりな計画を遂行しようと遮二無二突き進む彼女。
ジャン=イヴ役のダニー・ブーンが、ラブコメからは程遠いような顔つきなんですよね。無論、イザベル役のダイアン・クルーガーだって、いかにも軽いノリのラブコメというイメージではない。こんな人選がまたフランスならでは。単に笑いで誤魔化すような作品にならず、真実味がこもっているんですね。ブラックジョークも、ちょっとキツイかも?と危惧しながらも、ハラハラしながら思わず呆れて笑い出してしまう。このノリがまた絶妙。
あと、旅行が本当に楽しそう!砂漠で遭難したり、アフリカでライオンに遭遇したり、洞窟で星見ながら寝たり。ついには民族式の結婚式!かつて見たことのないところへ連れて行ってくれる“旅映画”として、とっても優秀。一番楽しそうな、宇宙船の無重力のシーンでは、フランス映画なのにまさかAC/DCがかかるとは!あの高揚感は凄い。
初めこそ無神経さや非モテぶりのイケテないジャン=イヴなのだけれど、物語が進むうちに彼が可哀想になり、胸が苦しくなってしまった。最後にはホロリとさせられる展開に。ラブコメと言えど、こんなに素敵な映画になるなんて!おちゃらけな馬鹿映画で終わらない、さすがのフランス映画。大好き。
’12年、フランス
原題:Un Plan Parfait
監督:パスカル・ショメイユ
脚本:ローラン・ゼイトゥン、ヨアン・グロム
2014/09/24 | :コメディ・ラブコメ等 フランス映画
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コメント(6件)
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バツイチは恋のはじまり
歯科医イザベル(ダイアン・クルーガー)は、理想の恋人であり同僚でもあるピエール(ロベール・プラニョル)と同棲生活を続けていた。 子供を儲けるにはそろそろ年齢が気になるが…
>旅行が本当に楽しそう!
実は、普通の観光スポットとは違う場所を巡る様子に、とらねこさんのことを思い出していました。
とらねこさんなら、こんな旅も十二分に堪能しちゃうんだろうなぁ~、民族式の結婚式は印象的だろうなぁ~と。
>ジャン=イヴ
あれだけの事をされても愛してくれる男なら、長い結婚生活の中で何があっても大丈夫じゃないだろうか? と思ってしまいました。
人間、顔じゃない! 頭髪でもない!!(笑)
哀生龍さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
きゃあ、嬉しい!私のことを思い出していただけたなんて。そうなんです、まさのあの破天荒な旅に、羨ましくてたまらなくなっていたのでした。この読まれている感!
おっしゃるとおり、あの民族式の結婚式に、「ああ、これこれ!私がやりたかったのはコレ!」という感じで心を持って行かれました。
ああ、おっしゃるとおりですね!ジャン=イヴはあんなことをされても、それを許す心意気のある寛大さがあったんだ。哀生龍さんと話していると、いつも「そんな視点があったんだ」とハッとします。
髪は可哀想で思わず引きつってしまうほどだったのに、よくあれを話の中でひっくり返すことが出来たなあ…。
男の優しさを、逃さずいつも発見する、哀生龍さんの目線が好きだなあー。
銀婚式、本当におめでとうございました。
【フランス映画祭2014】『バツイチは恋のはじまり』 (2012) / フランス
原題: Fly Me to the Moon / Un plan parfait
監督: パスカル・ショメイユ
出演: ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル
【フランス映画祭2014】『Fl…
冷静に考えたらトンデモな話なんだけど、
どういう訳かこの映画、許せてしまうんですよねー。
何ともフレンチテイスト満載で、私も好きです。
フリパ使えたんで、何と2回目も観に行ってしまったよ・・・笑
rose_chocolatさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あー、トンデモ展開に思えちゃいます?
私はね、結構共感して見ちゃったんですよ。母親が離婚したせいで、自分も高校の時に「きっと自分は結婚しても離婚するだろう」なんて言ってて、先生にも心配されたことがある位。
こういう風に思うの、親が離婚した子には確率的に多いんですよ。
自分は愛情を上手に持続出来ない、とどこかで思っているのね。
だから、「一人目とは離婚する」というジンクス、私にはすごく分かるものでした。
まー、確かに途中の旅のシーンはトンデモ展開が多かったけどw
それはそれで、余計にこの話が好きになっちゃった!
あー、そうか、ロゼさんフランス映画祭の時だけでなく、TOHOのフリーパスもまだあるんですネ。
いいないいなー。うん、私もきっと見れるなら二度目行ってたと思います!