rss twitter fb hatena gplus

*

『あやつり糸の世界』一部・二部@ファスビンダー映画祭

e0310543_3361996ファスビンダー唯一のSFと呼ばれる今作品。以前、アテネフランセでやっていたことに後から気付き悔し涙を飲んだ。今回ファスビンダー映画祭でやるということで、ようやく見ることが叶った。

普段ドラマを撮っているファスビンダーがこの作品だけSFを撮ったというのは貴重であるし、この題材であれば実際、文学的に描くよりずっと手軽に平行世界を語るに相応しい、そう判断したのも頷ける。実際面白く、見所が満載だった。“考え方次第で物事の見え方がまるで違って見える”というのが、そもそものSFの定義であるとするなら、この作品はもっともクラシカルでシンプルな位置に立ったSFだ。SFという分野は何も“宇宙人やら何やらを登場させればいい”というような安易なものではない。

自分達自身が、誰かがプログラミングしたものであることを知ってしまった主人公。一部は、そうした別の階級の世界(もっと上の世界)を発見する道筋を立て、二部では上の世界との戦いが主になる。鏡やガラス、水晶等に映り込んだショットが映し出される。ラストには、上の階層の世界に辿り着き“生身の肉体”であると実感するけれども、そもそもさらにまた別の階層の世界が入れ子状に重なっているのではないか、との疑問がふと芽生える。

’73年、ドイツ
原題:Welt am Draht
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
原作:ダニエル・F・ガロイ「模造世界」
脚本:フリッツ・ミュラー=シェルツ、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
撮影:ミヒャエル・バルハウス
出演:クラウス・レーヴィチュ、バーバラ・ヴァレンティン

 

関連記事

『エクス・マキナ』 古くて新しいSFと、ミニマリズムの閉塞的映像美

デジタルで映像がより鮮明になるに伴って、何処に一番美しさを感じますか。...
記事を読む

13日の金曜日スペシャル! 『10 クローバーフィールド・レーン』

13日の金曜日、おめでとうございま〜す! って、何がめでたいのかサッパ...
記事を読む

『ロブスター』 人間の世界で生きていて楽しい?生まれ変わるなら何になりたい?

これは、今一番自分が見たかった世界かもしれない。あなおそろしや。 ヨル...
記事を読む

『オデッセイ』 ユーモアとポジティブさと理系男子

「宇宙で一人取り残される話」と聞いて、思い出す映画は何?
人によっては...
記事を読む

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を 109シネマズ大阪エキスポシティ で見た!

このミーハー野郎が!…と言われるのは覚悟の上でございます。 映画ファン...
記事を読む

2,464

コメント




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑