アーロン・ソーキン渾身のドラマは2作目も当然面白い! 『ニュースルーム2』
ニュースルーム2、待ってました~!
1stシーズンの終わり方が「ええっこんなところで終わるなんて、蛇の生殺しじゃないか!」という絶妙なものだったので、一刻も早く始まってくれないかと、喉から手が出るほど待ち望んだこのドラマシリーズ、第二弾。正直、このドラマで気を良くして、またアメリカのドラマブームが個人的にやってきた。『ザ・フォロウィング』というケビン・ベーコン主演のドラマを見始めたのだけれど、退屈すぎて2話の途中で見るのをやめてしまった。やはりドラマは脚本家次第。アーロン・ソーキンの本気に、他の何かが追随出来るはずがないのだ。ちなみに蛇足ながら、第3シーズンは続投することが決まり、目下製作中、秋に放映されるとのこと。と言っても日本では第2シーズンも随分遅れての放送になったことだし、一体いつ日本で見れるのか!?今から楽しみでたまらない。この件の“ネタ元”はこちら。
第2シーズンはその始まり方からして、ものすごいことになってる。正直テーマはそのままで、毎回何かしらこまめにネタを追いかけるような、1を踏襲するものかと思っていた。ところが物語の構造からして全く違う。同じことを二度も繰り返すようなそんな退屈なことを、アーロン・ソーキンがするはずがないのだった。ただでさえ下手な映画よりずっと複雑で、情報量もとてつもなく多いこのシリーズ、その線は変わらずだけれど、今回は時間軸を物事の起こっただいぶ後から始め、現時点に過去の話が錯綜しながら追いついていくといった体。映画ではよくある手法だけれど、たった2時間の映画でさえ中には混乱する人も出るのに、長~いドラマシリーズでそれをやるのか!と。要するに、ドラマでありながらも1つのネタについて追いかけていく。つまり、4倍の長さの映画なのだった。見る方もガッツリ取り組むつもりで、相当覚悟を決めて見る必要のある、相変わらずの骨太シリーズ!
しかも扱う事柄が本当にやばい。まず、アメリカ陸軍が民間にサリンガスを撒いた、というまことしやかな噂が流れ始める。我らが理想の上司、ACN局長のチャーリー(サム・ウォーターストン)のところに直接舞い込んで来たネタ元があり、同時期にその噂をアンカーのウィル・マカヴォイ(ジェフ・ダニエルズ)も聞きつける。このヤバ過ぎるネタ、“ジェノア作戦”について11ヶ月かけて検証してゆき、ようやく覚悟が出来たところで局は放送に踏み切る。しかしそれはガセネタだった。ACNはやってはいけないことをしてしまった。しかもアメリカを国家レベルで犯罪者扱いするという、超弩級のガセネタ。もちろん、ACNの信用は地に落ちる。これが悪夢なら、絶対その場に自分が居たくはないと思える、見ているだけで頭が痛くなってくるような悪夢。『ソーシャル・ネットワーク』でも、物語がいよいよ面白くなってきたところで、まさに奈落の底に突き落とされる感覚が凄かった。あれを思い出す。さすがのアーロン・ソーキン!
ここに至るまでに様々な不運が重なっていて、それらも同時並行的に描いていく。1から続くシニアプロデューサーのジム(ジョン・ギャラガーJr.←大好き!)はマギー(アリソン・ピル)との恋愛のもつれから、2週間そこを離れることになった。その機に乗じて入り込んで来たのが、まさにジェノア作戦について嗅ぎ回っていたジェリー・ダンタナ(ハミッシュ・リンクレイター)。ジムの居ない期間彼がシニア・プロデューサーとして指揮を取ることになり、強引にでもこのネタを推し進める気だったジェリー・ダンタナは、元海軍将校ストントノビッチのインタビューを、録画ビデオを改ざんし放映してしまう。これがまさに命取りになる。…
と、今思いっきりネタバレで語っているけれど、こうした全ての事実のピースがピッタリとパズルのようにはまるのは、すでに第7回頃。と言っても最終回が9回になるので、まさに終わりは目前という時期。
視聴者に寄せ人気を取ろうとせず、真実を追求しようとする硬派なやり方を貫くウィル始めチーム。彼らのやり方を批判し真っ向から対立していた社長のレオナ・ランシング(ジェーン・フォンダ)は、これ見よがしに彼らをまとめて解雇処分にするかと思った。ところが、そのレオナが断固として解雇に応じない。たとえ頭痛の種であっても、チームは彼女の誇りであると。この彼女の変わり身こそが、チーム一丸となった最後の証。事態はもう後に一歩も残っていないくらい、切迫しているけれど。
チャーリー「我らは信用を失ってしまったのだ!」「なら、取り戻しなさいよ!」で終わる7回目。いよいよ、彼らの反撃が始まるラスト2回。ここで、1からずっと続きそれまで描いていきた全てのエピソードが、この大統領選の異常な興奮と共に語られていく。来た~!
舌を巻く見事な伏線回収が、この二回に全て凝縮していく。気になるのは、ウィル・マカヴォイとマッケンジー・マクヘイル(エミリー・モーティマー)の二人が6年前に別れた真相。それらがどう漂着するかも…。MacKenzie McHale(マッケンジー・マクヘイル)、彼女の名前がアイルランド系なのはMcHaleという名前を聞いただけで分かるけれども、さらに彼女のファーストネームも「MacKanzie」。マック・マックと珍しい名前だなあなんて思っていたら、最後にウィルのまさかのプロポーズ!「マッケンジー・マクヘイル・マカヴォイ…いくら何でも、無いな」(MacKenzie MacHale McAvoi)なんとなんと、マックが3連発!確かにそんな名前は無いわ。という、ハッピーでひねたユーモアの光る終わり方。
ついでながら、1ではほぼ影に隠れた役だった、スローン・サビス(オリヴィア・マン)とドン・キーファー(トーマス・サドスキー)の二人の仄かなラブロマンスの漂着も、大人の純情さと言うべきさりげなさ。二人がどんどん好きになってきたところだったので、本当に幸せいっぱいの終わり方!大満足でした。
ジム(真ん中 ジョン・ギャラガーJr.)と左はドン(トーマス・サドスキー)。ジムは3でも、彼周辺で何かしらありそう。
2014/06/10 | 海外ドラマ
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コメント(2件)
前の記事: 『出発』@爆音映画祭
こんにちは。
とても面白そうなドラマですね。
DVD鑑賞ですか?それともCS?
ジェーン・フォンダも出ているのですね。
私はBSDeLifeで「スーツ」「ミストレス溺れる女たち」を観ていましたが、シーズン1だけで、あとはツタヤに行ってレンタルです。
「ニュースルーム」是非観たいです~
cinema_61さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
私が見たのはWOWOWドラマでした。1stシーズンはもうDVDになってるようです。
そうなんです!ジェーン・フォンダが出てるの驚きですよね。
私もDlifeで一度ドラマ見たことあります。映像としてはちょっと落ちますけれどね。もう4度目くらいの『アリー・マイ・ラブ』を見ましたw
『スーツ』と『ミストレス溺れる女たち』ですか。へえ、ミストレスってアリッサ・ミラノが出てるんですね!懐かしい。しかも、キム・ヨンジンが出てるんだ〜!イギリスのドラマなのに。すごいですね!
ニュースルーム、1を見ればきっとハマると思います〜!なんたって、ハリウッドきっての実力ある脚本家ですもん!
見たら感想聞かせてくださいね〜♪