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いつも心に!『ゼイリブ』@爆音映画祭 ラストバウス

20061203235953バウスシアターの爆音映画祭、閉館スペシャルの“ラスト・バウス”。爆音映画祭があまりにも楽しくて、もっともっと!なんて、ついお代わりして通ってしまった。この間の『ブルース・ブラザース』があまりにも楽しくて、サングラス映画特集(笑)。…いやいや、単に自分の好きな映画を爆音で映画館でドドーン!と見るのは本当に楽しいなと選んでみたのです。ラストバウス最後のチョイスはこちらでした。
 『ゼイリブ』は昔見て大好きだったカーペンターの映画。今見るとちょっぴり馬鹿馬鹿しいかも?なんて思ったけれど全然そんなことはなく、やっぱり素晴らしかった!自分にものすごく影響を与えたこういう映画こそ、いい映画だな、とつくづく思うし。こういう映画を本当に大事にして行きたい。懐かしい自分自身に出会ったような気がして、少し気恥ずかしくもなったけれど(笑)。ああ、ものすごい影響受けてたんだ…と再発見。

途中、穏健派で何も考えずに生きていたいという友人フランク(キース・デイヴィッド)に、殴り合いの喧嘩でサングラスを見るよう説得するシーンがある。ゴミ置き場のところで、本気の喧嘩ファイト。これがすごく長い。こういうシーンは今見ないよなあ、と思う。もっとバシバシ編集で繋いだアクションシーンになるはずだし、こんなに本気で殴り合う画にはならず、いかにも“アクションシーン用”のシーンになるはず。こんなに長くはならないと思う。ところが、この時代のジョン・カーペンターに撮らせると、薄っぺらいアクションはあり得ないのです。喧嘩ファイトの殴り合いは見応えがあり、見ていて面白かったし説得力もある。実際、「事を荒らげたくないし、“真実”なんて知りたくない、自分は自分の生活を守りたい」という人は多くいる。そんな人はここまで頑固だという表現、相手を本気で説得するのにそれこそ死闘を繰り広げるというのも、腑に落ちる見せ方。“物の見方”を変えようとする人物にそうそう簡単に変えられたりはしない。相手がいくら「真実を教えよう」と言ったところで、はいそうですかとすぐ聞く気にはならないし、根本で覆されるなんて、本当に少ない。自分ならきっとそうだと思うもの。

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広告や宣伝のメッセージ等が、サングラスをかけると「従え」「消費せよ、購入せよ」「産めよ増やせよ」というメッセージに変わるのだけれど、昔これを見た時は、「サングラスなんて掛けなくても、自分には分かる」、なんて思ってた。雑誌広告なんかを見れば一目瞭然だと。そんなもの無くても自分には真実が見抜けるよ!って。

ところが今見ると、こんなにも分かりやすい敵が居るのは羨ましいな、と寂しく思ってしまった。サングラスをかければ骸骨になって透けて見える“敵”のエイリアン。ところが現実には、人間は人間の顔をしたまま、人間性を失っているんだから。そんな風に疑ってみることも無いまま過ごしている。いやいや、…相変わらず中二病的だな。そんな思いにまた駆られる自分がなんだか懐かしく、なんだかなあと。ああ…なんか複雑でした。

ところで、「映画の性や暴力は目に余る…ジョージ・ロメロのような監督はもっと考えるべき…」なんて敵のエイリアンの台詞があったけれど、これは全く覚えていなかった。映画館を出てこの話を友人にしようとしたら、すぐそこにまた同じ話をしている人が居て、なんか可笑しくなってしまった。だよねー、このロメロの言及は気付かなかったよね…。この映画を好きな人は皆仲間!そんな気持ちもちょっとあったりして?(笑)

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’88年、アメリカ
原題:They Live
監督:ジョン・カーペンター
製作:ラリー・J・フランコ
原作:レイ・ネルソン
キャスト:ロディ・パイパー、メグ・フォスター、キース・デイヴィッド、ジョージ・“バック”・フラワー、ピーター・ジェイソン

 

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