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『BLUE ブルー』をとうとう劇場で見れた!@爆音映画祭

2014-05-15_0309_1「この映画だけは劇場で出会わなくちゃ!」と思ってて、DVDでは見ずに来た。そういうのありませんか?いつか見れると信じて、DVDで下手に見ないからこそ、ようやく出会えた感がある、ってやつ。6年ほど前だったかな、「全部青の画面だけで出来た映画がある」と名前だけ聞いていたのだけれど、とうとう見れた!『アデル、ブルーは熱い色』の年にこの映画に出会えて良かった!

デレク・ジャ-マンがエイズであることすら知らず、彼が盲目であったことも、HIVの最終段階であったことも知らずに挑んだ。エンドロールで製作に「浅井隆」と出てきた時はビックリしてしまった。
何故画面がブル-なんだろう、彼に一体何が起きているのだろう、と手探りで、夢中で青の中を進んでいった。言葉を映像化するのに忙しくて、集中力が研ぎ澄まされる感覚がした。普段は眠っているような生を過ごしている癖に、こういう時だけ「覚醒している」と感じることが出来る瞬間が訪れた。

まさにこの青の画面、ブルースクリーンは、自分がそこに描くべきキャンバスであるかのように思えた。映像編集では、ブル-スクリ-ン(グリ-ンスクリ-ン)はカットアウェイでビデオを重ねることが出来る手法だよな。デレク・ジャ-マンがおそらく見た映像を、イメ-ジそのものを、もしここに描くなら、何を描くだろう?

爆音上映で見れたこともとてもラッキーだったと思う。映像がこうしたミニマムなものであると、より音楽の力が増したように感じられて、自分にビンビンと響いてくる。音楽ってこんなに乱暴なものだったっけ。言葉の力と音楽の力それだけで、自分の想像力に直に訴えかけてくる。溢れるイメ-ジで心がいっぱいになって、こぼれそうになってくる。青って、こんなにも豊富なものだったんだ!

何故青であるかを、デレク・ジャ-マンが青に何を込めたかを、ビシビシと感じる。想像力の限界にまで近づく。永遠に手を伸ばす色。それが青。

生の終わりにそこに何があるかを精一杯想像する時、私の世界は青に彩られていると思う。そしてまたこの映画に出会いたくなるだろう。私の生が終わりに近づいて来た時、きっとまた出会いたくなるものに、出会えておいて良かった。

’98年、イギリス
原題:Blue
監督・脚本:デレク・ジャ−マン
製作:浅井隆
音楽:サイモン・フィッシャー・タ−ナ−、モ−マス
出演:ジョン・クエンティン、ナイジェル・テリ−、デレク・ジャ−マン、ティルダ・スウィントン

 

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