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『プリズナーズ』 重厚なミステリーの佳作

Prisoners『灼熱の魂』の監督による、骨太のミステリー。7月には同じドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とジェイク・ギレンホール主演の『複製された男』も公開されるんですね!こちらは、同監督のハリウッドデビュー作。評判がこれだけ高いなんて、素晴らしいことですねん。

ロジャー・ディ-キンスが撮影賞を獲った作品だけあって、見る前から映像はお墨付き。そして脚本は『ハ-ド・ラッシュ』のア-ロン・グジコウスキ。ミステリーの殿堂『羊たちの沈黙』や、少し前なら『ミレニアム』を思わせるような本格派。

ただラストのオチがすぐに予想がついてしまうのと、途中で犯人の目星がついてしまうのがちょっと問題ではあるかナ…。この先、ネタバレで話します。***********

全編見終わると、とにかくポ-ル・ダノの運命が余計に可哀想で、あ~あ…。彼は救われませんからね。その点だけちょっと勿体無いけれど、普通にミステリとして楽しめる作品ではあります。

何より、ヒュー・ジャックマンの演技が素晴らしかった!正直、こちらを見たくなったのは監督のドゥニ・ヴィルヌーヴと撮影のロジャ-・ディ-キンス、さらにジェイク・ギレンホールの名前だったけれど(ジェイク・ギレンホールの出てる映画にはハズレがないよね!)、意外にもヒュー・ジャックマンがすごく良いんですね。特に、ロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)の尾行がバレて、酒屋の周辺で車の中で話すシ-ン。ここは完全にヒュー・ジャックマンの演技のペ-スに、ジェイク・ギレンホールも呑まれている。

良く言われている、ロキ刑事のしているフリ-メイソンの指輪は、あれはちょっとあからさま過ぎてなんだかなぁ~。せめて1シ-ンだけにするとか、もう少し分からないようにしてくれないと、萎えてしまうよ…。

’13年、アメリカ
原題:Prisoners
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
製作:ブロデリック・ジョンソン、キーラ・デイビス他
製作総指揮:エドワード・L・マクドネル、ジョン・H・スターク、マーク・ウォールバーグ他
脚本:アーロン・グジコウスキ
撮影:ロジャー・A・ディーキンス
音楽:ヨハン・ヨハンソン
キャスト:ヒュー・ジャックマン(ケラー・ドーヴァー)、ジェイク・ギレンホール(ロキ刑事)、ビオラ・デイビス(ナンシー・バーチ)、マリア・ベロ(グレイス・ドーヴァー)、テレンス・ハワード(フランクリン・バーチ)、メリッサ・レオ(ホリー・ジョーンズ)、ポール・ダノ(アレックス・ジョーンズ)、ディラン・ミネット(ラルフ・ドーヴァー)他

 

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コメント(3件)

  1. とらねこさん☆
    ポール・ダノが気の毒で気の毒で・・・
    ある意味、予測できる真犯人やラストのオチよりも、作り手は宗教がらみの話に重きを置いていたってことなのでしょうね。
    途中で「フリーメイソンの指輪してる!」と友人が耳打ちしてくれるまで、気付かなかった私は案外、しつこく指輪を強調しているのを見るのが楽しかったりして。

  2. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    ポール・ダノの役だけは本当に救われないですよね〜。勘違いされやすい立場であったし、それなのに彼は知能が常人と違って低い人な訳で。全くもってとばっちりでしたし。

    ところで、父親を神だなんて見る人も居るんですねえ
    明らかに思考力も弱まり、見当違いの人を拷問するなど、私は間違いを犯しやすい人間我々のことかと私は思います。ノルさんおっしゃるようにキリスト教側の我々人間ということでも良いかと。
    “ロキ刑事が真実になかなか辿り着けない”とのことですが。ケラーは法を無視し自らの力で真実に辿り着こうとしたことで、誤った拷問を行いさらに囚われの人になってしまいます。ロキが居なければケラーは助からなかったでしょう。
    人間の力だけで悪魔に対処しようとしても間違った道に進み、さらには絶望的状況に陥る。頼るべきは何であるのか。警察は初めこそ無力に見えますが超人的力でもって解決するのはロキ刑事でした。
    ノルさんのおっしゃられている人は、この結末部分を語らずして自説を語っているように思えます。私は紆余曲折よりも、最終的に何がケラーに起こり、それを助けたのは誰であるか。これが核心部分であると思います。
    象徴が何を表わすかという問題になるのであれば余計、それらが間違いを犯しやすい道というものを示していると考えるべきで、だからこそ結末部分が大事になってくるのです。

  3. 「プリズナーズ」

    パン兄弟の作品が、怖い怖いと言っていた舌の根も乾かない内に恐縮だが、この作品も相当怖かった。質の違う怖さ。むしろこちらの作品の方が現実的で生々しい分、怖さもひとしお。ど…




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