『乱暴者を求む』、『パラード』@ジャック・タチ映画祭
ジャック・タチを見るのは実は初めて。本当は『プレイタイム』辺りから見始めようと思ったのだけれど、合う時間のものから適当に選んでこちらに。それにしても、まさか立ち見だなんて。イメフォの立ち見は『My Son, My Son, What Have Ye Done?』のヘルツォーク以来。ただ今回は、1Fの劇場だったせいか椅子が出たので、まだ良かった…。前回はコンクリの上に座る場所すら見つからず、モロに立ち見に。これ、本当に辛かったですからね。イメフォでは同時期の公開『アクト・オブ・キリング』もすごく混んでいるのだけれど、イメフォでの立ち見は、出来る限りやらない方がいいですよ。マジでキツイから。どこかで2時間時間潰すなどして、翌回に回した方が絶対いい。
『乱暴者を求む』(’34)
モノクロ。25分の短編。タチ初出演の映画なのだとか。
俳優志望だが劇場から役を降ろされてしまった男が、プロレスに出るハメに。
トンデモハチャメチャプロレスで、ズルをしまくって勝ってしまう。コメディの暴力性は無条件で可笑しいものだな、と。自分だったら絶対やりたくないものなのに?もしくはそれ故に?面白い。
原題:On demande une brute
監督:シャルル・バロワ
脚本:ジャック・タチ
キャスト:ジャック・タチ、エレーヌ・プペ、ジャン・クレルバル
『パラード』(’74年)
「街にサーカスがやって来た」感というのは、おそらく何百年も前の人間には、最大の娯楽だったんだろうな。そんなことを思いながら見ていた。人間のビックリショー、手品、お笑い。サーカスの始まりから終わりまで。終わった後の余韻すら残すラストにしみじみ。
とにかく楽しくて、終始ニッコニコで、笑いながら見てしまった!なんて幸せなんだろう。
私はこの日、『アクト・オブ・キリング』を見た後に、この作品を続けて見た。時間が続いていたために、整理番号は本当は早かったのに、座席が無くなってしまったという。それなのに、こんなに幸せになってしまうなんて。『アクト・オブ・キリング』の後味もサッパリ綺麗に無くなってしまうぐらいにハッピー。
コメディって凄いな、パワフルなものだな、とつくづく思った。笑うって、顔の筋肉を動かすって、本当に良いことだ。ジャック・タチのほのぼのとした笑いは、何故か心に作用して、私を幸せいっぱいな気持ちにしてしまった。優しくて、楽しくて、心からふんわりとした幸せに包む、そんな作品。
原題:Parade
監督・脚本:ジャック・タチ
撮影:ジャン・バダル
音楽:シャルル・デュモン
キャスト:ジャック・タチ、カール・コスメイヤー
2014/04/25 | :コメディ・ラブコメ等, :映画特集 フランス映画
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イリュージョニスト
長身、帽子に傘、長めのお顔だちに長めのパイプ
一目見て「ズボン丈、短かっ!」ユロ氏でおなじみ
ジャック・タチは皆さまお好きでしょうか?
一昨年でしたかジャック・タチ …
タチといえば「ぼくの伯父さん」ものと
あの賛否両論ありの「プレイタイム」。
私はどっちも好きです。
こういう感じのユーモアは貴重品。(笑)
vivajijiさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
おお!vivajijiさんは、タチ好きでしたか!
今東京ですと、僕の伯父さんもプレイタイムも、どちらも映画館でかかってるんですYo
ただ、映画館が混みすぎてて大変なんです。
いいですよね、こういうユ−モアのセンス。
なんだか言葉にしたら、何かが抜け落ちてしまいそうで…
多分、見ても今後は記事にはしないかもしれませんが、あの幸せな感覚が、何とも言えなくて。無理やり記事にしちゃいました。
映画館で見れて本当に良かったな〜と感激です。
こんばんは。わたしが観た回も立ち見とまではいかなかったけど、けっこうな混みようで。40年くらい前になくなった監督の特集が日本でそれだけ人を集めてるってすごいよね。『アクト・オブ・キリング』のドス黒さにも負けなかったというのもすばらしい。
実は『パラード』の座長のおじいさんがタチ監督だったというのは終わって調べてから知りました。あんな芸達者な監督さん、ちょっとほかに類を見ないのでは
SGA屋伍一さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
ジャック・タチ特集、人気につき再びイメフォでやるんですよね。
『アクト〜』は珍しくミニシアター系映画で人気が出た作品…と言おうとしたら、『チョコレートドーナツ』の方がずっと人気だった^^;
私もお恥ずかしながら、「あのオッサン只者じゃないなあ」と思っていたら、それがジャック・タチがあることが後で判明…SGAやんをワロエナイ。