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シリーズ2作目は上下巻の上! 『ホビット 竜に奪われた王国』HFR3D

o0800043412850355368-610x330映画のシリーズもので楽しみにしていたものというと、私には『Lord of the Rings』(以下、LotR)ぐらいで、他には特に無いんですよ。2002年に『旅の仲間』が公開された時、自分がバイトしていた映画館で公開されたけれど、このことをどんなに誇りに思っていたか!連日客が押しかけ、どの回もどの回も満席になることなんてザラだった。180分きっかりあるのだから、「立ち見でいいです」なんて言わずに、ちゃんと席に座って見て欲しいなあ、なんていつも思っていた。原作本は、バイトの暇な時間にこっそり読んだ。一作が終わると、翌年の作品のために長い時間かけて予習して。たとえ途中で原作を読むのを挫けてしまったとしても(中つ国の長い描写が時々挟まれるため、途中で嫌になる人も居る)、また次回作が始まる!となると、じゃあ続きを読むか、なんて気持ちになったもの。そうそう、当時仲良くしていたニュージーランド人が、大使館にこの作品の垂れ幕が掛かっているよ、なんて言ってたっけ(ニュージーランドで撮影された)。もう12年も経ってしまったなんて、一回りも経ったということよね。そりゃ、「『ロード・オブ・ザ・リング』は見ていないんですよ」なんて人が居ても、おかしくない訳だ。

今回のシリーズは、前回の『ホビット 思いがけない冒険』から続く新シリーズ。ピージャクとそのチームのオリジナル作品とも言うぐらい、原作とは異なるもの。だけどおそらく、世界中に居ると言われているJ.R.R.トールキンのファンの人達も、まさか新作をこんなにまで楽しみに出来るとは思わなかったんじゃないかな。前作が長い序章的な立ち位置だとしたら、今回は三部作の真ん中の作品でありながら、次作とは続き物、2巻セットの上・下巻。まさか、あんな途中のいいところでブツっと終わってしまうとは…。全体のシリーズ中としても一番中途半端な終わり方でした。正直、自分の満足度も今回が一番低かったけれど、完結していない分仕方がないかな。

前作からのHFR(ハイ・フレーム・レート)は健在で、一分間48コマという通常の倍のコマ数。前作はHFRと通常の24コマとどう違うのか、クリアな色彩が少し明るすぎるように感じたけれど、今回は明らかにアクションシーンに有意差を感じた。激しい動きを伴ったアクションシーンに目が奪われる時、カメラが目の動体視力ギリギリの目にも留まらぬ早さで動いていたけれど、これがクリアに見えるんですね。…私が見たのはIMAXではなかったので、映像技術的に「3D映像の最新性能を楽しむ」という意味では、適していなかったのかもしれないけれど。

それから何と言っても、ジオラマティックに中つ国を描き出す、縦横無尽のカメラワーク!ファーストカットで切り取った画を、そのまま角度を変えて斜めにズームアウトする、これの連続なのだけれど、思いもよらないカメラの動きが、あまりにも見事なんですね。もう、これを堪能するだけで160分があっという間に過ぎていきますから。「アトラクション的だ」なんて言われているけれど、その理由もここにあると思う。まるで中つ国にトリップするかのようなジオラマティックなカメラ。

この『ホビット』のシリーズのたまらない魅力の一つは、やはりLotRシリーズと重なる出演者に再び会えること。前作『思いがけない冒険』の一番の驚きは、サルマンをテーブル向こうに隔て、ガラドリエル様とテレパシーをし合うガンダルフ、というまさかの光景が見れたこと!あんな珍光景は予想していなかったので、声を立てて笑ってしまった。今回は、まさかのレゴラス登場!妖精達は長寿なので、LotRの頃と時代が違っても生きていたって全くおかしくはないんですよね。前作で出て来なかった分、余計驚きと喜びが。ちなみに前作に出てきたLotRのメンバーは、ガラドリエル様とフロドとガンダルフで、今回はレゴラスとガンダルフ!でした。あ、あとギムリも写真と台詞だけ出てくるんですね。ギムリの父グローインが写真を持っていて、「その醜い生き物はなんだ」と聞かれそれがギムリだと発覚。確かにLotRのシリーズだと、ギムリのイメージで、すっかりドワーフは醜いイメージがあったからな…。今回のホビットのシリーズで、こんなにたくさんのイケメンドワーフが出てきて、驚いてしまったもの。

o0550034312703655315オーランド・ブルームって、LotRのシリーズで一躍人気者になったんですよね。私も最初に見たのがこのシリーズだったので、てっきり彼は白髪のロン毛だと思ってファンになっていたので…黒髪の短髪姿を見てちょっとがっかりしたぐらいですから(笑)。レゴラスの姿のオーリーにまた会えるなんて、もう感激しまくりでした。LotRでもレゴラスが死ぬほどかっこ良かったですからね。「こんなに至近距離なのに弓矢で倒すレゴラス」のシーンはこちらでも2回見れた。

あと、『旅の仲間』で見たドワーフの地下坑道のような、扉の謎かけが再び!前作ではフロドが謎解きをするのだけれど、今回はビルボが。これがLotRに繋がると思うと、もう一度あのシリーズが見たいなあ、なんて思ってしまう。

竜のスマウグの居る「スマウグの荒らし場」は(副題 “ the Disolation of Smaug”)宝の山という話だったけれど、小銭ばっかりじゃん!と思ってしまった。でも、子供の頃ってまさに「宝の山」と言えば、あんな表現でしたよね。あれが小銭じゃねーか、としか思えないなんて、私はもうファンタジーを楽しむ年齢じゃない、ってことなのかな…。まるでメダルゲームみたいな部屋にスマウグが居て、景品みたいで可笑しかった。_

’13年、アメリカ
原題:The Hobbit: The Desolation of Smaug
監督:ピーター・ジャクソン
製作:キャロリン・カニンガム、ゼイン・ワイナー他
原作:J・R・R・トールキン
脚本:フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン他
撮影:アンドリュー・レスニー
音楽:ハワード・ショア
キャスト:イアン・マッケラン(灰色のガンダルフ)、マーティン・フリーマン(ビルボ・バギンズ)、リチャード・アーミテージ(トーリン・オーケンシールド)、ベネディクト・カンバーバッチ(スマウグ)、エバンジェリン・リリー(タウリエル)、リー・ペイス(スランドゥイル)、ルーク・エバンス(バルド)、スティーブン・フライ(湖の町の統領)、ケン・ストット(バーリン)、ジェームズ・ネスビット(ボフール)、オーランド・ブルーム(レゴラス)、ミカエル・パーシュブラント(ビヨルン)、シルベスター・マッコイ(ラダガスト)、エイダン・ターナー(キーリ)、ディーン・オゴーマン(フィーリ)、グレアム・マクタビッシュ(ドワーリン)、アダム・ブラウン(オーリ)、ピーター・ハンブルトン(グローイン)、ジョン・カレン(オイン)、マーク・ハドロウ(ドーリ)、ジェド・ブローフィー(ノーリ)、ウィリアム・キルシャー(ビフール)、スティーブン・ハンター(ボンブール)、ジョン・ベル(パイン)、マヌー・ベネット(アゾグ)、ローレンス・マコール(ボルグ)、ケイト・ブランシェット(ガラドリエル)他

 

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コメント(3件)

  1. とらねこさん☆
    意外な気もするけど、ロードオブザリングシリーズのファンだったのですねー?
    だとしたら私のレビューは読まないほうが・・・(笑)

    確かに最後の部屋は小銭ばっか!(爆)
    物語がゲームみたいだから、メダルゲームの宝の山もありなのかも~~

  2. 『ホビット/竜に奪われた王国』(2013)

    トールキンの『ホビットの冒険』を三部作で映画化するプロジェクトの2作目で、予定では日本公開も本国と同じ昨年暮れで、しかも邦題のサブタイトルは原題に準じた「スマウグの荒ら…

  3. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    そうなんです、実はかなりのロード〜シリーズファンだったんです、私。ファンタジー全般が好きなんですよ。
    でも、宝の山は子供の頃だったらきっと、あれこそが宝の山!って思ったはずなのに、今見ると「小銭ばっかり…」って思っちゃったのでw
    もうファンタジーを無心で楽しむ童心は失ってしまったのかなあ…とちょっぴり寂しくなりました。
    確かに、ゲームみたいだから、メダルゲームも有り…かな?あのままザーッと崩したら、スマウグげと!みたいなw




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