rss twitter fb hatena gplus

*

『馬々と人間たち』『NOKAS』@トーキョーノーザンライツフェスティバル

馬々と人間たち

Of_Horses_and_Men_main 大雪の週末に、トーキョーノーザンライツフェスティバルにて。
今回のノーザンライツは、初日が東京でも20年ぶりという記録的な大雪で始まり、最終日もまた大雪で終わるという、まさに北欧を肌で感じれる特集!。今年も満席立ち見が結構出ていたらしいし、もはや不動の人気を誇る特集上映になってきた様子、満足満足(去年は私も立ち見だったっけ)。

まずは、アイスランドの馬映画から。
午(うま)年である今年に、究極の馬映画来ました!『赤い風船/白い馬』、『戦火の馬』、『ニーチェの馬』、『すべての美しい馬』等、名だたる馬映画を追いやって、馬史上最高の作品がコレ。’13年のTIFFでかかり、今回ノーザンライツなのですが、どうやら公開されるのも濃厚とのことなので、公開された暁には是非とも見て欲しい一作!素晴らしいです。

馬と人間と生と性。いくつかのエピソードで成り立っているのだけれど、そのどれもがダイナミックに生を感じさせるような、自然の諷刺に満ちていて、何となく笑ってしまうような、笑ってはいけないことのような。とにかく驚きに満ちた作品で、呆然としてしまった。

写真は、冒頭のエピソード。この白い馬を見れば分かるかな?馬の足の長さや、走り方も、普通我々が目にする馬とは少し違うんですね。どうやらアイスランドでは、馬と人間の関係というものがもっと蜜になっていて、馬の存在がずっと人間に近いものなのだそう。作品を見れば一目瞭然なのだけれど、馬と人間が切っても切れない存在なのでした。この監督の今後の作品がまた、楽しみになった。

’13年、アイスランド
監督・脚本:ベネディクト・エルリングソン
プロデューサー:フリズリク・ソール・フリズリクソン
撮影監督:ベルグステイン・ビョルゴルフソン
音楽:ダヴィズ・ソゥル・ヨゥンスソン、キャスト:イングヴァル・E・シグルズソン、シャーロッテ・ボーヴィング、ステイン・アルマン・マグノソン、ヘルギ・ビョルンソン

 

NOKAS

ダウンロード

こちらはノルウェーに起きた大型犯罪、NOKAS襲撃事件を追った作品。ドキュメンタリータッチで、まるで実録犯罪映画風。
まるでたった今起こっているかのようなリアルタイム感覚が凄い!編集の方法もぶっきらぼうと言えるほど事務的・説明的とでも言うべきか、何とも骨太な作り。監督は『私はうつ依存症の女』などのエーリク・ショルビャルグ。私が見たのはこちらの作品ぐらいなのだけれど、こちらの作品ではそんなカメラでも編集方法でも全くなかったな、と思い返す。うん、意図してやってるんですね、効果抜群。

これ、実際にその襲撃を目撃した人のインタビューを元に再現したらしい。ロケーションもまさにその場を使って。あの教会と銀行のある通り、あの風景が目に焼き付いて離れなくなってしまった!襲撃が始まってからの手に汗握るハラハラっぷり、これが面白い!例えば『バンク・ジョブ』でも、強盗が変なミスを重ねて行く姿が何よりサスペンスを盛り上げたけれど、こちらの作品はまさにリアリズム満載。(曰く、「『ヒート』がどれだけ嘘っぱちか!」)警察が行く手を阻まれ、建物内に閉じ込められてしまったせいで人手が圧倒的に足りず。おかげで何も知らない通行人が次から次へと横切る。そんな街の目抜き通り、ド真ん中での銃撃戦!

ちなみに、この作品はほぼアマチュアばかりを起用しているらしいのですが、殉職した警官のエリク・ホランドの双子の兄弟が、エリクの役をやっているのだそうです。

’10年、ノルウェー
原題:Nokas
監督:エリック・ショルビャルグ(『インソムニア』’97年、オリジナル、『私はうつ依存症の女』)
製作:Jan Aksel Angeltvedt (『ヒドゥン』製作)
脚本:Christopher Grøndahl
キャスト:Morten Håland他

 

関連記事

『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...
記事を読む

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 アメリカ亜流派のレイドバック主義

80年代の映画を見るなら、私は断然アメリカ映画派だ。 日本の80年代の...
記事を読む

『湯を沸かすほどの熱い愛』 生の精算と最後に残るもの

一言で言えば、宮沢りえの存在感があってこそ成立する作品かもしれない。こ...
記事を読む

美容師にハマりストーカーに変身する主婦・常盤貴子 『だれかの木琴』

お気に入りの美容師を探すのって、私にとってはちょっぴり大事なことだった...
記事を読む

『日本のいちばん長い日』で終戦記念日を迎えた

今年も新文芸坐にて、反戦映画祭に行ってきた。 3年連続。 個人的に、終...
記事を読む

2,906

コメント(5件)

  1. とらねこさん☆こちらにも
    ノーザンライツフェスティバル、私も行きたかったのですが、いやいやあの雪の中満席立ち見ありだったのですね!?
    凄いなー

    それより凄いのって、ノルウェーでそんな銀行強盗があったと知らなかった自分・・・
    2004年、まだノルウェーにいたんですけど?私。
    スタヴァンゲルはパパンがよく出張で行くところなのですが、確かにのどかです。

  2. ノルウェーまだ〜むさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    わーい!こっちも読んでくれてありがとうです
    読んでもらえるかな?なんてちょっぴり思ってたんですけど、『NOKAS』がノルウェーの強盗事件を元にしていたので、この話ご存知かなー?って思ってたんです
    おお!そして、’04年には何とノルウェーにいらっしゃったとは!すごい!すごい!
    ノルウェーで起きた強盗事件の中で一番大きな強盗事件だったとか…。10億円相当盗まれて、その内のほとんどが行方不明で戻ってこなかったそうです。
    スタヴァンゲルって本当にのどかな街なんですね。そんな恐ろしい事件が起こってる最中なのに、人通りが多くてみんなノンビリしていて…。でも、そこにパパンも居合わせなくて本当に良かったですね!

  3. 【トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2014】『馬々と人間たち』 (2013) / アイスランド・ドイツ

    原題: Hross i oss / Of Horses and Men
    監督: ベネディクト・エルリングソン
    出演: イングヴァル・E・シグルズソン 、シャーロッテ・ボーヴィング 、ステイン・アルマン・マグノソ…

  4. あらーいらしたんですね。あの豪雪の中!
    あそこまで降られちゃうとさすがに私は無理ですわ。帰宅難民になるんで(苦笑)
    TNLFは初めて行きました。この時期忙しい&寒くて体調管理が大変なのでなかなか行けなかったんですが、馬をやるって聞いたんでこれは這ってても行かないとと思って。結果は大正解。これは素晴らしい作品でした。観るべき作品ですよね。

    『NOKAS』も観たかったなあ。あと『ミスジーンズ』もね。またどこかで会いたい映画たち。ああ雪はうらめしや

  5. rose_chocolatさんへ

    こちらにもありがとうございます♪
    そうなの。行きました。あの豪雪の中…まさか一日目に豪雪だからと行かなかったら、最終日もまた豪雪だとは!
    帰宅難民か…ところで、roseさんは東京難民は見たのかな?(笑)

    roseさん初めての参加だったんですね。この映画祭、企画がなかなか良いチョイスで見逃せないでしょう?
    『馬々と人間たち』、これは本当に素晴らしかったですよね〜!
    最終日、あんな雪の日でも、80人超えてましたよ。
    『NOKAS』も良かったの!ちょっと変わったテイストでしたけどね、これは有り。『ミスジーンズ』もTLの評判良かったですよね!




管理人にのみ公開されます

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)


スパム対策をしています。コメント出来ない方は、こちらよりお知らせください。
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
『沈黙』 日本人の沼的心性とは相容れないロジカルさ

結論から言うと、あまりのめり込める作品ではなかった。 『沈黙』をアメリ...

【シリーズ秘湯】乳頭温泉郷 鶴の湯温泉に泊まってきた【混浴】

数ある名湯の中でも、特別エロい名前の温泉と言えばこれでしょう。 乳頭温...

2016年12月の評価別INDEX

年始に久しぶりに実家に帰ったんですが、やはり自分の家族は気を使わなくて...

とらねこのオレアカデミー賞 2016

10執念…ならぬ10周年を迎えて、さすがに息切れしてきました。 まあ今...

2016年11月の評価別INDEX & 【石巻ラプラスレポート】

仕事が忙しくなったためもあり、ブログを書く気力が若干減ってきたせいもあ...

→もっと見る

【あ行】【か行】【さ行】【た行】 【な行】
【は行】【ま行】【や行】 【ら行】【わ行】
【英数字】


  • ピエル(P)・パオロ(P)・パゾリーニ(P)ってどんだけPやねん

PAGE TOP ↑