映画の極北へようこそ 『オンリー・ゴッド』
来たぁ~!ニコラス・ウィンディング・レフン監督最新作。これぞ、首を長~くして待っていた作品。ずっとTOP画像にまで貼って。
カンヌでの賛否両論ぶり等、前評判を聞いていたので、さぞかしトンデモない作品になっているんだろう、とは想像していたのですよ。しかしこれは…うん、確かに映画の極北。こんなものデートで見せられちゃった日には、完全にそのカップルは別れてしまうだろうてw。…でも!逆にわざわざこんな映画を撮っちゃったレフン監督は凄いなと。『ドライヴ』で一気にハリウッドの中心舞台へと躍り出た後にこれですか。『ドライヴ』ですら好き嫌いが分かれ、中にはその良さが良く分からなかった人も居る間口の狭い作品なのに。今回はさらに輪をかけて、間口がほっそーい!狭いことこの上なし!まあ、でも昔のレフンの監督作品を見た人なら、こうしたハードコアなバイオレンスにこそ、監督の本来のテイストがあるんだと知ってるはず。しかし、とても万人にはオススメ出来ません。アナタは見なくていいよ!と、殆どの人に見ることを全力で止めたくなる作品。
タイを舞台にしたところがまたいいんですよね。タイの怖さは、『闇の子供たち』なんかを見た人には分かるかも!?。普通のイメージで言えば、タイは「微笑みの国」、人々は優しく、親日で、私個人としても大好きな国なのですが、ポロリ聞こえてくる裏ビジネスが、滅法怖いという。
この作品でも、ムエタイの球場を舞台にして裏稼業を描いてますよね。あそこが相当ヤバイ雰囲気なんですよね。私がムエタイを見た時はかぶりつきの最前列近くで見たんだけど、かぶりつきを勧められた理由は、「その方がずっと安全だから」。後の方の1階席・2階席は賭博専門。賭博で熱くなってる男達で溢れかえってて、治安がものすごく悪いので絶対に絶対にやめておけ!と全力で阻止された。裏組織の恐ろしさ、闇の深さは、とてもじゃないが観光しかしたことない人には分からないんだろうな。にもかかわらず、タイの異様な闇の深さ、怖さはうっすら感じるかも。カオサン通りのクラブに行ったことある人なら、何となく分かるかな。『ホステル』をタランティーノが原案出した時に参考にしたのが、タイの実話だっていうのも、映画好きなら聞いたことありますかね。
で、映画の話だけど、「神のみぞ許す」“ゴッド”はライアン・ゴズリングの方じゃない。ジュリアン(ごずりん)はマザコンで母親には絶対服従。母親は裏稼業の組織の経営者で、死んだ兄貴の方が母親のお気に入り。ごずりんは兄の復讐として送り出されるも、とある警官になかなか勝てない。どうやっても足元にも及ばない強さを持ってるんですよね。相手はまるで何でもない日常のように、流血沙汰があろうが夜にはカラオケ三昧の毎日…。“テンテケテンテン・テンテンテン~♪”というリズムは、加藤茶を思い出します。オヤジの歌がなかなか上手い。みんな聞き惚れているのか、微動だにしない。こんなシーンすらスタイリッシュ。完璧なまでにキメキメ映像で、朱と青でチカチカする色合い。カッコイイんだけど、少々面倒臭いものに付き合わされているような、異様な熱量を感じます。とにかくカチンコチンなまでにスタイリッシュ。もっと力を抜いて楽しめる方が、娯楽って面白いと思う。でもレフンの真骨頂はその血みどろさにあるし、人を寄せ付けないムードは北野映画のよう。
この先、ネタバレ**************
ジュリアンも父親を殴り殺している過去があったり、彼も同じように罪を背負ってる存在なんですよね。あのラストは、まるで神が彼に与えた罰のよう。ごずりんの血まみれの手に振り下ろされる刀。あそこで終わるとは…!
こんな姿のごずりんに思わず同情笑い。いやすごいサンドバッグ萌え。
クリスティン・スコット・トーマスは、まさかこんな役が自分に与えられると思わなかったでしょうねえ…!
’13年、デンマーク、フランス
原題:Only God forgives
監督・脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン
製作:ニコラス・ウィンディング・レフン、レネ・ボルグルム他
撮影:ラリー・スミス
音楽:クリフ・マルティネス(レッチリ)『KAFKA/迷宮の悪夢』、『NARC』、『ドライヴ』、『コンテイジョン』、『スプリング・ブレイカーズ』
キャスト:ライアン・ゴズリング(ジュリアン)、クリスティン・スコット・トーマス(クリステル)、ビタヤ・パンスリンガム(チャン)、ラター・ポーガーム(マイ)、ゴードン・ブラウン(ゴードン)、トム・バーク(ビリー)、ヤヤ・イン(メイ)
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オンリー・ゴッド
タイのバンコクでボクシング・クラブを経営しているビリー(トム・バーク)が惨殺された。 弟ジュリアン(ライアン・ゴズリング)は、犯人を見つけ出す。
>とても万人にはオススメ出来ません。アナタは見なくていいよ!と、殆どの人に見ることを全力で止めたくなる作品。
そうそう、そうなんですよ!
好きな人には是非とも見て頂きたい作品なのですが、そうでない人には「無理しない方がいいと思いますよ」とそっと止めてあげたくなる作品ですよね。
>とにかくカチンコチンなまでにスタイリッシュ。
内容を理解するとか、登場人物の思いを感じ取るとかは二の次で、とにかく雰囲気と世界に浸るのが心地良かったです!
言葉じゃこの感じは上手く説明できないから、やっぱり見て頂くしかない。
でもお薦めしにくい。
嗚呼ジレンマ・・・
哀生龍さんへ
おはようございます〜♪コメントありがとうございました。
>そうでない人には「無理しない方がいいと思いますよ」とそっと止めてあげたくなる作品
本当!これ見る前に勢いが要りますよね。下手に手を出すと火傷をするよ!っていう。哀生龍さんは優しいな、私みたいに「あなたは見なくていいですよ」なんて言われたら、相手は馬鹿にされたように感じてしまいますよね。でも…本当に、やめておいた方がいいと私は思うんですよコレだけは…。
この世界に浸るのが心地良かったですか!哀生龍さんもすっかりレフン好きになってしまわれたようですな♪
タイにカラオケ好きのぐっさ強い警官がおったん「オンリー・ゴッド」
「オンリー・ゴッド」
ONLY GOD FORGIVES
「ドライヴ」のライアン・ゴズリング主演×ニコラス・W・レフン監督コンビの新作ゆーことでした
タイロケもんです
内容とオチを一言で説明する…
ご紹介いただきありがとうございました
危うく見逃すところでした
新宿くんだりまで出かけましたらカップルが一杯居て
どーのよーな感想を持たれてるのか興味ありました
僕はライアン・ゴズリングが佇んでるとこより
タイ人のGOD警官のカラオケシーンの方が好きです
とにかくヴィタヤ・パンスリンガムとゆー人がカッコよかったでげす
ラストは痺れました 降参
よしはらさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
大丈夫でしたか、これ!?確かに、極端なものを見ることは出来る作品でしたよね…。
カップルの感想私も知りたいなあw
ライアン・ゴズリングは、カッコイイ姿というより、サンドバッグ姿が見所なんじゃないかと思ってます^^*
タイのおっさんは妙な味わいありましたよね。
でもこの方、アクションで選んだんでしょうか。顔じゃないと思うんだけどなあ。
こんにちは。楽しく読ませてもらいました。このブログを今後も参考にさせてもらいます。ありがとうございました。
萌音さんへ
こんばんは〜♪初めまして!コメントありがとうございました。
読んでいただき、ありがとうございます!好き勝手なこと言ってるブログなんですが、こうやってお声をかけてくれると、とても嬉しいです!