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ホラー卒業します! 『インシディアス 第2章』

poster2死霊館』と2つ合わせて全米大ヒットの嵐!だったらしい。ジェームズ・ワンはたった一人でホラーを盛り上げることが出来る人だ、ということですよね。しかも、ホラーはこれで最後の2作品だと言っているのだから、さらに業が深い。

死霊館』はそれこそオーソドックスな作品。これまでみんなが何度も見て来たような、よくあるホラーの定石をなぞりながら、テンポの良さと冴えのいいビックリ演出で、盛り上がり必須の面白い作品へと磨き上げられてた。ただ、個人的にはラストが上手にまとまりすぎ、感動作で綺麗に終わりすぎで醒めてしまった。だから、私の大好きな作品にはなり得なかったんですよ。ベストにはこういうの入れたくないんですよね。あの「どうだ、上手にやれただろう」感が好みじゃない。

で、こちらの作品はといえば、その死霊館でのオーソドックスで古典的な作りである部分を一切取っ払って、もうやりたい放題にやり尽くした感じ。ノリノリなのか前衛的なのか、それとも「あれ、ものすごい難解な映画を見ているんだろうか?」なんて思ってしまった(笑)。あの世との境界線を超えるやり方も、戻ってくる方法も、驚くべきアトラクション感覚!この物語の構成について思い出そうとしているんだけれど、上手いこと説明できない…あ、駄目。思い出せないわ。ジェットコースターのコースを覚えろなんていうのが無理なのと一緒で。

要は1の『インシディアス』から綺麗につながっているんですよね。だから1の物語を忘れていると、全くついていけない可能性がある。最後に助かって息子と一緒に生還した時に、お父さんと一緒にあの世の一番恐ろしい存在がついて来てしまった。1はオーソドックスですごく良く出来ていて面白かったのだけれど、この文脈をシッチャカメッチャカにした2はもう何というか…素晴らしーッ!!とにかく、すんごいお祭り騒ぎ!

死霊館』のラストの綺麗にまとまった感じを観て思ったのは、自分はホラーを信じている人、ホラーというジャンルの中でもっと別の何かが出来る、と信じている人の方が好きだということ。もちろん、『死霊館』は満足の行く面白い娯楽作品なので、普通に考えればものすごく評価する気持ちはあるんですよ。ただプラスαの部分で、自分が好きか嫌いかという本能のようなもので言えば、取り残されたような寂しい感じがしてしまった。これでホラーを引退すると言っているのだから余計、「ホラーなんてこんなもんでしょ」と言いたいのか?、なんて気持ちにもなってしまった。そう考えてみると、全力でやり切った感のあるこちらの作品は、『死霊館』を表とすれば、まさにこれ裏面。そして、本当はこっちの方が彼はやりたいことなのかもしれない。だから逆に納得がいってしまったんですね。「私はホラーを卒業します。ジェームズ・ワンを嫌いになっても、ホラーを嫌いにならないで下さい!」そう言われているような気が勝手にして、勝手に許す気になった私でした。

ところで、パトリック・ウィルソンはすごいな。私が初めて彼を見たのは、『ハードキャンディ』のロリコン兄ちゃん。チ●コ切り取られる役でした。次に見たのは『リトル・チルドレン』。ここではロリコン役ではないけれど、この映画にロリコンが出てくるんですよね。ジャッキー・アール・ヘイリーが性犯罪者の前科者の役で。さらに『ウォッチメン』ではこのロリコン二人が出てきます。パトリック・ウィルソンとジャッキー・アール・ヘイリーの二人ともウォッチメンの重要なメンバー役。で、その後は他にいろいろな映画に出てくるんですけど(『特攻野郎Aチーム』とか『ヤング≒アダルト』とか『プロメテウス』とか。)、これでさあ、どんどん名を上げていくのか?と思いきや、なんと『インシディアス』、『インシディアス2章』、『死霊館』気づけばホラー俳優。おいおい!?大丈夫なんですかぁー?そんな彼の今後が見逃せない!また原点に戻ってロリコン役かもしれない!?乞うご期待!

’2013年、アメリカ
原題:Insidious
監督:ジェームズ・ワン
製作:ジェイソン・ブラム、オーレン・ペリ
製作総指揮:スティーブン・シュナイダー、ブライアン・カバナー=ジョーンズ他
脚本:リー・ワネル
撮影:ジョン・R・レオネッティ
音楽:ジョセフ・ビシャラ
キャスト:パトリック・ウィルソン、ローズ・バーン、タイ・シンプキンス、リン・シェイ、リー・ワネル、バーバラ・ハーシー、アンガス・サンプソン

 

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コメント(2件)

  1. こういうオカルトホラーもいいんだけど
    前作がかなり怖かったんで期待値上げすぎちゃったのが敗因でした(笑)
    パトリック・ウィルソンのデビュー時のロリコン役見たかったな~^^

  2. itukaさんへ

    こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
    『インシディアス』1の方もすっごい面白かったですよね!
    私は逆に、1と同じような作り方をしたら、凡作で終わってたと思うんです。
    ぶっ飛び過ぎ、かっ飛んだ作品になってるところが、才能を感じました。itukaさんとは違う観点ではあるんですが。
    ホラー卒業宣言は、『狼の死刑宣告』がかなり出来のいい作品だったこともあって、私はそれはそれで有りだと本当は思ってるんですよ〜

    パトリック・ウィルソンは、映画俳優になる前はブロードウェイのミュージカル俳優なんですよ。
    ホラー俳優ではないらしい!(爆笑




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