世界は本当に変わったか 『42 世界を変えた男』
折しも昨日、レッドソックスの優勝を、上原のピッチングが“クロージング投手”として締めたばかり!あのシーンは本当に感動したな。もしかして彼がMVPも取っちゃったりして!?なんて期待してしまいました。さすがに違ったけど。
この作品、どっしりと安定した魅力の、ハリウッド発・野球モノ娯楽作。アメリカ人はもう本気で野球が好きなのだな、と分かる。この野球モノの不動の人気ぷりを前提にした力作揃い。野球人気にしっかりと応える、落ち着いた印象の作品がまた一つ現れた。台詞の一つ一つがグッと来るし、なかなかに素晴らしいです。きっとみんな大絶賛するだろうなあ。個人的には、大好きな『マネーボール』ほどではないけれども、とっても満足な、ハートウォーミング感動作でした。野球好きには、大のオススメ!
私はこれ、機内で見たのだけれど、客室乗務員がウロウロするのが恥ずかしくなるぐらい号泣してしまいました。まあ泣ける映画が良いとは言わないし、何かと普段から映画を見ながら感激して、泣いてばかりいる私なので、私の泣けるは全く当てにならないのだけれどネ。
上原のレッドソックスクロージングもあったし、この夏にはイチローの4000本安打のニュースもあったおかげか、この作品の取り上げたテーマは、日本人にとってもグッと来てしまうものかも。ジャッキー・ロビンソンが盗塁で点を稼ぐ姿なんか特に、イチローを思い出してしまう。イチローも野茂も、おそらくはものすごく苦労して来たんだろうな、思わずそんなことに思いを馳せてしまうのは、きっと私だけではないはず。
ここで描かれたジャッキー・ロビンソンの物語、とても素晴らしかったけれど。ただ、彼が開拓者として切り拓いていった差別については、この作品のような一筋縄で行くものではなかったらしい。ジャッキーの活躍にも関わらず、この後もメジャーリーグ界では差別が続いていくのだそうで…。詳しくはこんなサイトがあったので良かったら読んでみて。
参照:「映画『42』も描き切れないもの ~「ロビンソン・デー」の違和感~
そうした現実、このグレーで割り切れない感覚を置いておくなら、娯楽作品としては超一流。ブロンクス・ドジャース(ロサンゼルス・ドジャースの前身)のゼネラルマネジャー、ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)がジャッキーに向けて指し示す数々の言葉。本当の勇気。ジャッキー・ロビンソンが歯を食いしばって切り抜けていった、数ある試練を、祈りのような気持ちで見守ってしまった。娯楽作品に現実が即していないと肩を落とすばかりじゃなく、ここからまた人が影響を受けて変わっていけるはず。それに希望を見出したっていいはずだもの。
ちなみに、日本の42番は誰だか知ってる?ベイスターズのトニー・ブランコ!何故かこんなのもらっちゃった。
私この間野球見に横浜スタジアム行ったら、ちょうど42番の選手が居て、「オッ!」と驚き。永久欠番なのはアメリカだけなのね。トニー・ブランコもきっとジャッキー・ロビンソンの大ファンなのだろうなあ。
こんなに前の方で見たよ。
’13年、アメリカ
原題:42
監督・脚本:ブライアン・ヘルゲランド
製作:トーマス・タル
製作総指揮:ディック・クック、ジョン・ジャシュニ
撮影:ドン・バージェス
音楽:マーク・アイシャム
キャスト:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ、アンドレ・ホランド他
2013/11/02 | :ヒューマンドラマ ハリソン・フォード, ブライアン・ヘルゲランド
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コメント(8件)
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とらねこさん☆
意外でした!とらねこさん号泣しやすいとは・・・
もっとクールな人かと思っていました(笑)
私もすぐ泣く方ですが、この映画は泣いたり笑ったり泣いたりニコニコしたり泣いたりニヤニヤしたりと顔が疲れちゃいました。
野球は基本ワカラナイので、「マネーボール」では寝てしまいましたが、これは感動!だったわ。
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
お返事遅れてごめんなさい!連休中に小旅行に行ってたのと、PCの不調とが重なって遅くなってしまいました…。
おや?私クールに思えましたー?私なんか年中映画見て泣いてばかりなのですけど、何も悲しいシーンとかではなくて、「このシーン超美しい!」とか、嬉しくて涙が出てしまうことなんかも多いです。
マネーボール寝ちゃいましたか…なんと!私は、マネーボールが大好き過ぎて、多分今後もあれを超える野球モノ、個人的にはないかもなんて思ってます…。また見たいな。
こちらは、ノルまださんも気に入られたみたいですね♪
ショートレビュー「42 世界を変えた男・・・・・評価額1650円」
先駆者の茨道。
130年を超えるメジャーリーグの歴史で、初のアフリカ系選手となったジャッキー・ロビンソンの苦闘を描く骨太の野球ドラマだ。
舞台となるのは1940年代後半、今より…
まあ変わりましたよ、間違いなく。
ただ彼の一歩はまだまだ途中。
その継承者の一人として野茂や上原たちがあるという。
野茂の登場もまた野球史というかアメリカ史における大きな事件でしたからね。
スポーツを超えた変革の第一歩を描いた作品でした。
ノラネコさんへ
こちらにもありがとうございます♪
この一歩の前進というものが、どれだけ勇気のいることで、その価値が計り知れないか…そうした一人の存在だけで解決出来ない問題であるからこそ、余計大事なのですね。
野茂のメジャー進出は私達にとってばかりでなく、アメリカ人にとっても大きなものだったんですね。
『42 世界を変えた男』をUCT豊洲5で観て、みんな誉めるから俺だけはくだらない事だけ書くよふじき★★★★
五つ星評価で【★★★★ネットでの高評価は確か】
大リーグ初の黒人選手を描く『42』。何事も一番手は大変だ。
ネットでの評判が良かったので、
元からそんなに観る気はなかった …
とらねこさん、こんばんは。
私も野球映画は大好きで、結構はまります。
個人的には、本作はもっとドラマティックなものを期待したので、やや物足りないかなと感じてしまいました。
それより、横浜スタジアムいいですね。
でも、3塁側?
実は私、ベイスターズ・ファンなんですよね。
昨年は神宮球場で二度ベイスターズ戦観ました。
やっぱり野球は屋根のない球場で観るのがいいですよね。
http://cinechan.at.webry.info/201402/article_15.html
CINECHANさんへ
こんばんは〜♪お!CINECHANさんはなんとベイスターズファンだったのですか!そしたら、42番のトニー・ブランコもご存知でしたね!
はい、3塁側です。いやあ、実は私の相棒さんが広島ファンで。…私自身は阪神ファンで…ごめんなさい^^;
と言っても、ベイスターズはDeNAとすら知らなかった程度の野球ファンなんですよ。とほほ〜!