アルモドバルがまさか!爆笑ゲイコメディ 『アイム・ソー・エキサイテッド!』
好き好き大好きアルモドバル!
もはや「巨匠」と呼ばれるような立場なのに、前作『私が、生きる肌』では若返ったかのようなみずみずしい(笑)変態作品に戻った後、今度は180度違う方向へと思いっきり変身、なんと爆笑コメディ!下品で過激なオゲレツギャグ満載の、やりたい放題な楽しい作品でした。
スノッブなアルモドバル好きからは、正直目を顰められてしまうようなタイプの作品かもしれない。『私が、生きる肌』の大人気っぷりとは違い、スペイン本国ではこちら、早めに公開終了の運びとなったらしい。脚本も監督も全て彼自身が手がけ、俳優によるアドリブなど無かったというこの作品、遠慮など何も無しお構いなしに、ハイテンションで繰り広げられるオカマたちの熱き笑い。圧倒される!まるで「何も怖いものなど無い」と言わんばかり。「深刻な経済危機に陥っているスペインを笑わせたかったのではないか」なんて、ハビエル・カマラさんは言っていたっけ。いや何度も言いますけど、これまで尊敬されるような作品を長年たくさん作ってきたアルモドバルがですよ、こんな作品をポンと出してくるなんて、そんな引き出しがあったなんて。もうもうもう、そんな態度がまた最高にカッコイイ!私の大好きなハイテンションなオカマがたくさん出て来て、ああ、楽しくて嬉しくて、涙まで出て来ちゃった。
飛行機の中で繰り広げられる馬鹿騒ぎ、このコメディの構造自体はとっても上手。「到着するはずの場所に着かないと分かるタイミング」、「客たちが家族や恋人に電話をかけることで、それぞれのエピソードやキャラクターを説明するという手際の良さ」。それからいよいよ、第一のショータイム、オカマ スチュワードたちの歌と踊り!こんなに濃ゆ~い話に濃いギャグ続きなのに飽きさせず、さらにヒートアップして、いよいよ驚きの機内での乱交タイムと来た。飛行機内でのセックスってちょっとだけ憧れますよね!?でも、さすがにここまで来ると呆れてしまう、ほとんどギャグ。もう弾は撃ち尽くしたかと思った頃の、ノルマ(セシリア・ロス)の打ち明け話がまた絶妙だったな。
ゲイコメディに慣れていない人にはちょっと苦手かもしれないけれど、この分野が好きな人ならきっと気に入ってくれるはず♪
’13年、スペイン
原題:Los amantes pasajeros
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
キャスト:カルロス・アレセス、ハビエル・カマラ、ラウル・アレバロ、ロラ・ドゥエニャス、セシリア・ロス、ブランカ・スアレス
2013/10/17 | :コメディ・ラブコメ等 ハビエル・カマラ, ブランカ・スアレス, ペドロ・アルモドバル
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コメント(5件)
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とらねこさん☆
わお、結構楽しめたようですねー
涙まで出ちゃうとは・・・
割とオカマもゲイも平気なんだけど、なんとなくのれませんでした。
もうちょっと捻ってくれていると思っていたからかなー
ノルウェーまだ〜むさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
あれれ、すいません、コメント返したと思ってたのに、ちゃんと反映されてなかった…。スマホのwordpressアプリが使い勝手がイマイチなんですよね…。
私って、いつもそうなんですけど、どこまでも下品なゲイネタ・エロネタに嬉々としてついていってしまうようで、そんな時どうも女性と合わないな〜という部分があったりしますw。いや、日本人と合わないというべきか。すみません…。
巨匠なのに、こんなにはしゃいでくだらないお下劣ギャグをやってしまうところに感激してしまいました。
アイム・ソー・エキサイテッド!
アレの、大掛かり過ぎるメタファー
公式サイト。スペイン映画。原題:Los amantes pasajeros(キャビンの恋人たち)、英題:I’m So Excited!。ペドロ・アルモドバル監督、カルロス・アレセス、ハ …
これはただの変態映画じゃないですね。スケールの大き過ぎる大妄想映画なのです。
佐藤秀さん
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
本当ですね!いやあ、嬉しいですね。実はあまり評価が高くなくて、ガッカリしていたところだったんですよ!