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今月は13日の金曜日祭り! 『ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド』

574107p13日の金曜日!今日はホラー祭り!

ということで、勝手にホラー祭りを開催。このブログを始めてすぐぐらいからずっと行ってる13日の金曜日祭りなので、欠かせません。勝手な自分ルール。…ってことで今回は、キューバ初のホラー映画!という評判の『ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド』を見ましたよ。

なんか、ノリが普段のゾンビ映画と違う。お笑い要素が入っているのもあるけれど、ゾンビと戦い始めるとラテン音楽がかかったりして、なんだか見たこと無い感覚。ゾンビが出た!というニュース映像では、「…アメリカに資金を得た反政府活動かと思います」なんていう言葉が入ったりする。ゾンビを知らないキューバの国民たちは、「ゾンビなのか、それとも吸血鬼なのか、何かのウイルスなのか、反政府の破壊活動なのか」みたいな疑問が投げかけられるたりもします。ゾンビに対して十字架を突きつけてみたり、銀の玉を込めて撃ち抜こうとしてみたり、「これは反政府運動じゃないな」なんて言ってみたりする。

この辺が私は好きだった。何故なら、ゾンビ映画として何も語らずに進むのではなくて、映画の中でちゃんと取り上げてくれると私は嬉しいんです。昔の怪奇映画なんかだと、ゾンビと吸血鬼が何か一体化され、どっちだか分からないまま終わることもあるし、ゾンビ映画の様相をしたウイルス物だったりすることもあれば、ウイルスと言いつつ途中から悪魔付きということになったりもする。でもこれまでに、「ゾンビなのか、反政府運動なのか」という疑問は、未だかつて無かった!そこが新しいと私は思ったし、映画の中でも何度か共産主義に対する思いが描かれてもいる。お笑い要素を濃く、決してシリアス物ではないにしろ、キューバという国に生きることについては、しっかり取り上げているなあ、と思ったりもした。だからこそ、初めにゾンビが出た時にゾンビ退治のための会社を作ったりして、まるで『ゴースト・バスターズ』のようにそれで金儲けをしようとする。ゾンビが出たので金儲けをしよう、という発想自体も新しいけれど、次第にそればかりでは追いつかなくなってきて、金儲けは度外視して、この状況を何とかしようと立ち上がる。

ゾンビ映画でお笑いという要素が入って来た『ショーン・オブ・ザ・デッド』の、新鮮な面白さや驚きについては記憶に新しく、この作品を超えることはあまり無い。この『ショーン・オブ・ザ・デッド』になぞらえて『フアン・オブ・ザ・デッド』なんてスペイン語の原題『Juan de los muertos』に近い副題がつけられながらも(スペイン語の“フアン・オブ・ザ・デッド”)、ここに“ゾンビ革命”という言葉が初めに付いているのも、先の理由から頷けるんですね。

「キューバに生まれた者ならではの思い」、という点がきちんと表現されているところに喝采を送りたくなるけれど、とは言え、ところどころ疑問符が付いてしまう箇所もある。たとえば、フアン(アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス)の親友ラサロ(ホルヘ・モリナ)は、ゾンビ退治の会社を設立してすぐに、ゾンビ退治のどさくさに紛れて、まだ生きている人をゾンビ用のブレイドで殺してしまう。「借金のカタに」、なんて言い訳をしていたけれど、イヤイヤイヤ、それやっちゃいけないでしょう!ラサロはこの後、自分たちを助けてくれた国連機関の人を、「つい手が滑った」と意味なく殺してしまったりもする。ラサロばかりではなく、ブラディ(アンドロス・ペルゴリーア)も、爺さんを置いてけぼりにして見殺しにしたり…。何というか、これに対してどう反応していいのか、アメリカ映画を見慣れた目には、たとえゾンビ映画やホラー映画でも、最低限のモラルみたいなものが普通にあるので、思わずこうしたシーンを見ると、うわっと驚いてしまうし、どう反応していいのか、「良くも悪くも文化の違い」を感じてしまう。ラストシーンも、あの終わり方で終わってしまうのか…という驚きもあったし。

とは言え、見て損のないゾンビ映画であるのは間違いない。『ワールド・ウォーZ』は評判を聞いて「DVDでいいかな」なんて思ってしまったのだけれど、こっちのキューバ初のゾンビ映画はなかなか面白く見れましたヨ。

’11年、スペイン、キューバ
原題:Juan de los muertos
監督・脚本:アレハンドロ・ブルゲス
製作総指揮:インティ・エレーラ、クラウディア・カルビーニョ他
キャスト:アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス(フアン)ホルヘ・モリナ(ラサロ)、アンドレア・デューロ(カミーラ)、アンドロス・ペルゴリーア(ブラディ・カリフォルニア)、イャス・ビラー(チナ)、エリエセル・ラミレス(プリモ)

 

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コメント(4件)

  1. >ゾンビと吸血鬼
    「吸血ゾンビ」なんていう古典がありますね。
    >ゾンビ映画の様相をしたウイルス物
    「バイオハザード」とか「28日後」とか。「ワールドウォーZ」も。
    >『ショーン・オブ・ザ・デッド』の、新鮮な面白さや驚き
    「ゾンビランド」は面白かったです。
    >ウイルスと言いつつ途中から悪魔付き
    「REC2」のことですか?あの展開には、むかつきました。

    キューバでもゾンビ映画作るんですね。まあ、中国でも作るか。
    その中国産「ジェネックスゾンビ」。果てしなくつまらないです。

  2. バラサ☆バラサさんへ

    こちらにもありがとうございます〜♪
    わお!バラサさん最高〜!
    いろいろ補足、ありがとうございます!嬉しいでっす!

    ゾンビと吸血鬼、案外昔だと一緒になっててビックリするんですよね。
    ゾンビと見せかけて実はウイルス物、初めはビックリしましたよ。『28日後…』は新鮮だったんですけど、『ワールド・ウォーZ』はそこら辺どうなってるのかな…。気にはなるんですが、DVDで確認でいいかなーとスルーしちゃいました。
    >『ゾンビランド』
    まあまあ楽しかったですよね、青春モノみたいになってて。これ、評価分かれるんですよね。私は正直、物足りなかったんですよね。
    >『REC2』
    素晴らしい!w まあ、続編作るために設定変えたのかな、って感じでしたよね。

    >『ジェネックスゾンビ』
    へえ、これ知らなかったです。見てる人なかなか居ないですね。

  3. これって2年前の公開だったのね(笑)
    ゾンビ映画は特殊メイクがどれだけ凝ってるか、そして走らない、これだけは絶対欲しいワタシの条件(笑)
    80年代のブームに乗っかった一人ですが、まだまだ観てない作品がいっぱいです。
    まずは『ゾンビーノ』は観ておきたいです(笑)
    そして『ウォーキング~』(←こればっか・笑)

  4. itukaさんへ

    こちらにもどうも♪
    11年の作品なんですけどね。
    ゾンビが走らないで欲しいというのはありますよね。
    あと、「武器を持たない」というのもありません?
    「乗り物に乗らない」も?
    もしそれを破るなら破るで、印象に残ったりはしますが、何故破るかのロジックが欲しいんですよ〜
    『死霊のしたたり』みたいに、乗り物に乗ることで印象に残るのもありますが。

    『ウォーキング・デッド』はシーズン1のフランク・ダラボン監督のは面白かったんですけどね。
    『ゾンビーノ』は結構印象的でしたよ。これ系なら『ウォーム・ボディーズ』もオススメです!
    今年的には、『インド・オブ・ザ・デッド』が良かったですね〜。こちらの『フアン・オブ・ザ・デッド』よりw




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