威勢のいいアクション風俗 『青春トルコ日記 処女すべり』
面白~い!冒頭いきなり流れる主題歌が、何とも緩くて雰囲気たっぷり。こりゃ、期待通りの面白い作品になりそうだぞ~とニマニマ。歌詞も可笑しくて会場の其処かしこで笑いが起こる。
青森の下北半島出身の田舎娘・クラ子は、工場で働き始めたものの不良工員に寄ってたかって犯され、身を持ち崩してしまう。キャバレーで働き出し、ついにはトルコに。そしてトルコの女王にのし上がる!なかなか気の強い頑張り屋なのだ。それにしても、トルコという言い方自体、今どきあまり聞かないけれど。昔のロマンポルノやピンク映画でしか出会えないこの言葉、久々に聞くと何とも衝撃的w。国名だなんてね。
で、思いっきりタイトルが下世話なこの作品、内容もめちゃ面白かった!全体的に、陰部を隠すために使われているのはふわふわの石鹸の泡。とにかく泡で隠しているので、余計エロいという。泡をつけたまま女達は活発に動きまわって、何とも威勢がいいのです。
トルコの女王になったクラ子は、自宅でも客を取ったり、常連客の社長・石川を騙して500万借りるなどして独立、新店舗のトルコの経営に乗り出す。一方、記憶喪失で倒れていた娘・モモ子をチンピラの三太は助け、モモ子は貧乏学生のシローを拾ってきて、いつの間にか手狭な家(線路沿い)で3人暮らし。彼女の過去をみんなで探るようになる。また、クラ子にお金を貸した石川社長は、経営が苦しくなり会社は倒産、自殺をしてしまうが、婦人警官の一人娘・弘美はクラ子に復讐を企てる。
クラ子と弘美の女の戦い(in トルコ)になり、戦いはどんどんヒートアップ。ラストはカーチェイスになる…というもの。ストーリーがスピーディーで盛りだくさんで飽きさせず、何とも拾い物な本作でしたー。トルコを舞台にしているのにカラっとしていて呑気で明るく、十二分に娯楽性のある本作。「股でガバッチョ稼いでやる!」とか言ってみたり、終始青森弁で何とも気の強いクラ子。クライマックスのカーチェイスシーンなんて、あんなの見たことないかも。今の技術からすると見たこともないような変わった撮影・編集をしていて、最近のカーチェイス物を見慣れた目には、なんだか衝撃!w。監督はカラテ物も何本か撮っていたり、当時の和製アクションの人なのでしょうね。限られた撮影技術の中で、精一杯迫力を出すが如く工夫を凝らしてあるのだろうけれど、画面の迫力だけはなんか凄い!
トルコの女王・クラ子の頑張りも面白いけれど、復讐する元婦人警官の弘美が頑張る姿も見たい…という訳で、どちらに肩入れする気もなく、ただ事の成り行きをワクワク楽しく見てしまう感じ。こういうのっていい映画ですよねー。
最後の、決してヘコたれないクラ子の姿勢はアッパレ。車の事故で重症を負いながらも、「今度はタイ行って整形して、下半身も取り替えて、一からやり直そう…」などと考えている。殺しても死なない守銭奴・ビッチのクラ子が眩しく映るのでした!
P.S…ただ、冒頭のタイトルロール中にキャストの名前が出てくるのだけれど、クラ子役の山川レイカも荒木ミミも“(新人)”と書いてあるんですよね…。あれを見ると、この作品同様に何も知らない小娘たちが上手く乗せられてピンク女優になってしまったのでは…なんて思ってしまったりして、ちょっぴりフクザツ!?w
’75年、日本
監督:野田幸男
脚本:山本英明、松本功、野田幸男
撮影:山沢義一
音楽:中村泰士
キャスト:山川レイカ(クラ子)、荒木ミミ(モモ子)、岡田奈津子(弘美)、佐藤蛾次郎(三太)、前野霜一郎(シロー)、高月忠(仙吉)、花田達(竜次)、殿山泰司(石川)、小松方正(柳田)、須賀良(鉄)、土山登士幸(村上)、小林稔侍(刑事)
2013/08/24 | :ピンク・ロマンポルノ
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コメント(5件)
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5年前に観ていてすんげー面白えと大絶賛してるのですが、アルツになったが如く、今では何一つ覚えてません。
ふじき78さんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました!
あー、ですよね!これって思ったよりずっと、構成に工夫がされてあったかも。
私は逆に、だからこそ忘れずに印象に残ってる感じです。
私も、すっげー面白かった!
私も5年前に観ました。完全に記憶が飛んでます。
とらねこさんの文を読んでもほとんど思い出せない。
もう一度観に行くべきだったか・・・
そうそう、猥歌が良かった。
憶えて酒席で歌いたい・・・
imaponさんへ
おはようございます〜、コメントありがとうございました。
そっか、ある種勢い押しの作品だから、忘れちゃうというのもあるかもw。
猥歌、なんか覚えたくなるような愛らしさでしたよね。
この作品、なかなか評判良くて嬉しいな。