まさかの学園モノ!アニマルならぬモンスターズハウス 『モンスターズ・ユニバーシティ』
『モンスターズ・インク』が大好きでした!!個人的には、ピクサーに初めて出会ったのがこの作品だったせいもある。どうしてこの作品がその年のアカデミー長編アニメ賞を獲れず、『シュレック』が獲ったのか、政治的な力もしくは莫大な資金が働いたおかげなのだろうと思っていたりする。まだ、ディズニーピクサーで無かった頃の時代。
そして、以前も言ったことがあるのだけれど、私はお化けものが大好きなのです!小学生の頃から。『ドラえもん』や『ハットリくん』には目もくれず、『怪物くん』と『ゲゲゲの鬼太郎』が好きな小学生でした!『オバケのQ太郎』は、まあまあ。と言ってました。本当だよ!とにかく、モンスターが大集合してる系の話が好きで好きで仕方がない。
自分が『キャビン』を駄目だった理由は、この辺にあるのかも。『キャビン』では、モンスター達が大集合しているものの、彼らに対する愛が描かれてないのです。十把一絡げにモンスターがうわっと出て来て、どんどん殺されちゃうし、彼らそれぞれの個性も愛も何も描かれてない。しかも人間が彼らを操ってて、彼らには意識が無いものとされている、この設定に本気でイライラしました。だからキライなのです、あの作品は。
話が大分反れたので、元に戻して。
『モンスターズ・インク』続編の本作は、この作品より前の話、モンスター達が人間の子供を怖がらせていた時代のお話。サリーとマイク・ワゾウスキもモンスターズ・ユニバーシティの“怖がらせ学部”で知り合うのでした。しかし、最初は彼らはライバル同士。
サリーはこの時代は、まだ心優しき毛むくじゃらモンスターではなく、モンスターの名門、サリヴァン家の落ちこぼれ御曹司。マイク・ワゾウスキは、見た目的には小さく、どうしたって怖くは見えない、いじめられっ子キャラ。でも彼は人一倍努力をして頭を使い頓智を働かせる、頭脳派。
憧れの大学、モンスターズ・ユニバーシティに入学した後の、学園モノなのでした。むしろ、アニメ界の『アニマルハウス』。『アニマルハウス』+『きっと、うまくいく』。もしくはピクサーの作るハリー・ポッターと言えるかも。
『ソーシャル・ネットワーク』でも、大学の中のクラブの存在の重要性について描かれていたけれど、正直日本人にとっては、彼らの大学生活についてはピンと来ない部分が多いかも。でも、落ちこぼれで敗者のマイク・ワゾウスキが自らの力だけで道を切り開いていく姿や、努力せず傲慢だったサリーが一発奮起するようになる姿。これらが丁寧に描けているので、さすが物語の名手ピクサー、やっぱり最後には感動されられてしまう。落ちこぼれが最大限に自分の力を発揮して、道を切り開いていく姿には、今の時代を反映しているなあと思ってしまう。この不況の最中に、たとえエリート道から外れてしまっても、自分のポストに於いてベストを尽くす。そんな真っ当なメッセージがこめられているのでした。その辺りはまるで『きっと、うまくいく』と同じ。
ランドールとの確執も、こんなところにあったのね!と発見。単に個人的な恨みだったのね。
’13年、アメリカ
原題:Monsters University
監督:ダン・スキャンロン
製作:コーリー・レイ
製作総指揮:ジョン・ラセター
脚本:ロバート・L・ベアード、ダニエル・ガーソン、ダン・スキャンロン
音楽:ランディ・ニューマン
キャスト:ビリー・クリスタル、田中裕二(日本語吹替):(マイク・ワゾウスキ)、ジョン・グッドマン、石塚英彦(日本語吹き替え):(ジェームズ・P・サリバン)、スティーブ・ブシェーミ(ランドール・ボッグス)、ヘレン・ミレン他
2013/07/23 | :アニメ・CG等 ジョン・グッドマン, スティーブ・ブシェミ, ビリー・クリスタル, ピクサー
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コメント(8件)
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正に王道の学園物でした。
大人向けの要素が強いし、胸膨らませて学園に入ったものの、自分自身と世界の現実を知ってゆくあたりは「きっと、うまくいく」と同じでしたね。
私はフラタニティには入ってなかったけど、彼らのフラットパーティーに潜入してはタダ酒飲んでたので、この映画のノリはなんだか凄く懐かしかったです。
ノラネコさんへ
こちらにもありがとうございます♪
こちらと『しわ』にいただいたTB&コメント、まるで「早く風立ちぬ書けよ〜」と言われてる気分になっちゃって、頑張って書きましたよ(笑)
おお、ノラネコさんもアメリカの大学に通われたことがあるんですね!私はてっきり、社会人になってから行ったものだと思ってました。
日本からアメリカの大学に入った人たちは、みんな勉強ものすごいやるんですよね。それこそ、寝る暇も惜しんで…すごいなあと思います。とてもそんな社交倶楽部に入っている余裕は無いですよね!
でも、パーティでただ酒も楽しそう!プライベートな思い出を教えてくださり、ありがとうございます〜^^*
オバQは、同じような形体のドロンパとかP子(?だったか)がキャラクターなんで、お化けっていうよりムーミン系の妖精タイプと認識します。モンスターズ・インクも妖精なのかもしれませんが、学部長みたいにデフォルメしなかったら気色悪いのがいるので、やはり異なりますね。
鬼太郎は、妖怪城の狸が好きでした。後は、サブ・キャラのメガネで出っ歯のサラリーマン。(マンガ版)
「キャビン」に関しては、怪物を浚って飼いならしているのでなく、人造生物と勝手に想定していました。今でも、そういう想定にしています。まあ、ショッカーの怪人みたいなものなので、あれはあれで満足しました。
バラサ☆バラサさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
なるほど!『オバQ』は確かに、お化けという一種類の(?)生き物が出て来て、それぞれのキャラクターの描き分け。そうか、ムーミンタイプと言えるかもしれませんね!妖精…?なのかな?^^;
そうそう、モンスターズ・インクはちゃんとみんなお化けたちが何種類もいますよね。
>妖怪城の狸
へえ、全員首だけにされちゃったんですね!それは可哀想。
>サブ・キャラのメガネで出っ歯のサラリーマン
これ、「サラリーマン山田」っていう名前なんですね〜
http://natsucafe.blog120.fc2.com/blog-entry-605.html
『キャビン』、好きな人は好きですよね。ほー、人造生物…本物のモンスターではない、みたいな想像されたんですね。なるほど〜。
妖怪城でなく妖怪獣の誤りでした・・・
カプチーノの人、凄いですね。
バラサ☆バラサさんへ
おはようございます♪
へえ〜、妖怪獣の狸は、四国が舞台なんですね。四国は狸王国だったんだ、知らなかったです!
機会があったら見てみたいなあ。