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殺人現場で暮らし始める… 『フッテージ』

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エミリー・ローズ』のスコット・デリクソン監督作品。
エミリー・ローズ』は本当に良く出来た、ゾクゾクするホラーでした。“イナバウアー”が流行ってる頃に腰を仰け反らせてたなあという記憶が。『地球が静止する日』は未見ですが。

特に全貌がまだ見えない前半において、加速する恐怖!これがなかなか楽しかった。

屋根裏部屋の足元台(フッテージ)に置かれた8mmフィルム。これを開けて見る辺りから、どんどん恐怖が加速していく。昔の8mmフィルムだから、暗闇の部分が良く見えない。が、何か映っている。これをPCに繋いで、フィルムをデジタル変換して見る。まだよく見えない?拡大して見ると…。すると何でしょう、うっすらと浮かび上がってくる、見てはいけないものの存在!この辺りなんてすっごく良かった。現在だからこその、この時代感もまたイイ!8mmの特徴的な、あのジー…という音がまた、暗闇の中での恐怖を加速させるかのようで。前半のワクワクぶりはなかなかいいんですね。

殺人現場に自らわざわざ引っ越して来ることを決めた、この父親がいけないのだけれど。幽霊屋敷モノなので、いわばあちこちで“ビックリさせる”演出がキモになってきちゃうのは致し方ないのかな。ただ、音でビックリさせたり、途中から同じ手を何度も使うので飽きてくるんですよね。こうなると、ちょっと早い時間にハッキリ見えすぎてしまったかも!?と思ってしまった。最大限に怖かったのは、いつの間にか子供がダンボール箱の中で見つかったりする最初の晩や、初めてデジタル変換して見た時に映った存在、でしたからね。何度も繰り返し映し出される、4人が処刑される映像に関してはハッキリとイマイチ。カメラにはバッチリ映っていて、いかにもフェイク感に溢れてしまってて。あのシーンだけでも何とかならなかったかな、と残念。

人を怖がらせる霊的存在は、Jホラーの不条理感を良く勉強してる印象なんですよね。“家の中での恐怖”を持続させるために、上手く機能していたと思う。ただ『リング』みたいな、”呪いが切れるまでの時間設定”などがないので、いつ何がどのように起こるかが分からないところも、怖さをボヤかせてしまう印象。「この霊って一体何がしたいんだろう?」なんて、途中から飽きてしまう。“引越しのルール”なんかも、ホラー好きにはおそらく初めに聞いた時に分かってしまうもので、中盤のダラダラ感無くオチに繋げていたら、もう少し締まっていたハズ。

でも私はかなり楽しめた方です。基本ラインをきちんとクリアしているとやっぱいいよね!でも、“霊”より”オカルト”になってしまうのは、やっぱり洋風ホラーの特徴なのかな。私は好きですけど。この辺りで見た幾つかのホラーが全部オカルト系だった。

’12年、アメリカ
原題:Sinister
監督:スコット・デリクソン
製作:ジェイソン・ブラム、ブライアン・カバナー=ジョーンズ
製作総指揮:スコット・デリクソン、チャールズ・レイトン
脚本:スコット・デリクソン、C・ロバート・カーギル
撮影:クリス・ノアー
音楽:クリストファー・ヤング
キャスト:イーサン・ホーク(エリソン・オズワルト)、ジュリエット・ライナンス(トレイシー・オズワルト)、フレッド・ダルトン・トンプソン他

 

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コメント(3件)

  1. そーですよね、オカルト映画とホラー映画は違うんでしたよね。自分はその境界を曖昧にしていたので、すぐオカルトもんに「こんなもんは全く怖くない詐欺だ金返せ」とプンプンしていたのですな。
    そんなことで目くじらを立ててはオトナゲナイと反省しました。
    とゆーことは、この映画はホラー要素の強いオカルトものですね。
    今思えば、最初の首つりシーンを糞リアルに撮影されていたら気分が悪くなって、以降を見る気が失せてしまうので、あれぐらいでちょうどヨイバランンスだったんよーな気がしています。あんまり怖過ぎる映画は困りますもんね。映画館だと逃げ場が無いし、厭な気分ばっかりさせられるもんね。この映画くらいの「怖くない逃げ場」がないと困ると思います
    >「この霊って一体何がしたいんだろう?」なんて、途中から飽きてしまう。
    は同意いたします。ま仕方いでしょう。
    日本の「クロユリ団地」より100倍マシです。日本には「怪談」とゆー素晴らしい伝統と文化遺産があるのに、クロユリは同じ日本人として恥ずかしくなりました。ガイジンさんの方がその伝統と文化を立派に継承していただいていると思います。
    外国映画で一等ホラーホラーしているのは「ギフト」と「悪魔の首飾り」かなと思いました。
    フッテージもポゼッションもかなり頑張ってるなと思いました。
    映画として面白かったですもんね。

  2. よしはらさんへ

    こんばんは♪コメントありがとうございました!
    いやー、そうなんですよね。外国のホラーって、ホラーと言いつつオカルトの方が結構多いなと思います。その辺りの線引はほとんどないんじゃないかもしれませんね。私も、それほど昔は気にしてませんでしたもん。
    Jホラーの“霊的存在”って、もしかするとキリスト教圏の人たちにとってはそれほど恐いものでも、リアリティのあるものでもなくて、神に対する“悪魔の存在”というものの方が、より恐ろしいものという認識があるのかなあ…なんて思ったりもします。

    ハハハw!確かにあの首吊りシーンは、本当ガッカリしてしまいましたよね…。インチキ臭くて、ちょっと悲しくなったりしたぐらいなのですが、よしはらさんは一周回って許せてしまう?wアハハ

    やっぱ、『クロユリ団地』つまんなかったですか!なんか臭そうな予感がして行かなかったんですよね…。やっぱダメか。少し様子見はしてたんですけどね。

    >「ギフト」と「悪魔の首飾り」
    アハハ。どっちも私の大好きな作品です!もう大ッ好き!!
    ギフト本当面白かったな〜。悪魔の首飾りも大好きですよ。
    ポゼッションは、これから書こうと思うんですよー、また遊びに行きますね。

  3. 『フッテージ』

    劇場公開時に鑑賞していた映画なのに、レビューを書いていなかった映画第2弾!!
    ということで、イーサン・ホーク主演の『フッテージ』の感想を。
    既にソフト化もされてるので、観…




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