Filastine with NOVA ライブに行って来ました!
「年取ると新しい音楽聞かなくなる」なんて言いますけど、そもそも「新しい音楽って何なの?」と思ったりもする。だって、“新しい音楽”なんて、どこにあるの?新しいと見えて実は古い物の焼き直し。現代の音楽で新しいものなどないでしょ?それとも、そういう意味ではなくて、「その人にとっての新しい音楽」ということ?だとしたら、2010年代に1960年の音楽を発掘しても、その人にとっての新しい音楽、ということで良いのかしら。何にせよ、今の音楽業界ほど枯渇している世界もないと思ったりもする。CDが売れる時代じゃないからだろうけれど。
とは言え、昨日行ってきたFilastineは、そんな音楽業界の杞憂を吹き飛ばす、元気の良いものだった。先ほどの言説などクルッと翻して、「これが最新鋭の音楽と言えるものかもしれない」とすら思える。もしくは、そんな迫力に満ちたものだった。
Filastineは、ミュージシャンであるばかりでなく、オーディオ・ビジュアル・アーティストでもある。真ん中にプロジェクターでラジカルでメッセージ色の強い映像を流し、音とインタラクティブにテンポを合わせ発信してくる。映像のカッコ良さも手伝って、そのインパクトは絶大だった。
「金って何なんだ?金を手に入れた時から、人間は金の奴隷になる。金ってやつは、麻薬みたいなものだ。」
こんなテーマで新しいアルバムを作ったFilastine。この台詞は、Filastine自身によるMCのもの。
Filastineは元はLA出身のミュージシャン。現在はバルセロナを拠点に、放浪する生活を送っているとか。全世界を舞台に、幅広い音楽性からの影響を受けたそうだ。ここのサイトからの引用だけれど、「フィラスティンの音楽は、どこの国のものでもないビート、ダブ・エコー、ロー・ファイ・オーケストラ、ヒップホップの周縁からの叫び、ひずんだバトゥカーダ、威勢の良い声、ダブ・ステップからレゲトンのビートを奏でるベース、といったものの衝突だ。」この説明を読んでも、どんな音なのか想像もつかないだろうと思うのだけれど…。
今回のツアーは、一緒にコラボしたインドネシアの女性ヴォーカリスト、NOVAを携えての「£oot」ツアー。インドネシアの政治情勢は、自分にとっては気になる部分もあり、心を惹かれてしまった。何だかヤバそうな雰囲気を紛々と発しているじゃありませんか。何となく惹かれて行ったのだけれど、これが大正解だった。
Filastineについては特に、Youtubeなどから、相当トンガった意味の分からない抽象的な音楽を想像していたのだけれど、全くの杞憂。福島の原発を思わせる映像をいきなり冒頭で流したり、メッセージの強い映像を真ん中に据えているので、ラジカルな要素も感じるのだけれど。それはさておき、演奏がすごくイイ。センス抜群で、何より最高に気持ち良く踊れるのが嬉しい。いやはや、相当カッコ良かったですね。もう大満足。
連れて行った友人などからは、「普段、自分は色々発掘しようとアンテナを巡らしているのに、私は一体どうやって、こんな物を発見出来たのか?」、と驚かれたぐらい。
Filastine,ショッピングカートでパーカッションを叩くのです。発想が面白いのだけれど、実はこれ、合理的でもあるかもしれない。何しろ、世界中これさえあれば路上でも、楽器を取り付ける手間暇も省け、安定して自分の位置を確保出来るじゃないですか!
次回また機会があったら、是非もう一度ライブに行ってみたい。あー、マジでカッコ良かったよ!
廃棄工場などで、鉄の塊をグシャっと潰す音と同時に上のような映像を流したかと思えば、次のシーンではゴミ収集車の映像を流したり。
こちらは、前座に登場した、日本人アーティスト、伊東篤宏氏。蛍光灯を電子ギターに見立て、ノイズを出します。音楽というよりはノイズそのもの。これまた異色!
2013/03/10 | 音楽
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