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人生は騒々しいお喋り 変わらずのウッディ・アレンテイスト 『恋のロンドン狂騒曲』

poster最近のこの人は精力的だ。NYから離れて外国を舞台に語り出してからしばらく経つけれども、所変われば&そして俳優が変われば楽しめる、「ウッディ・アレンテイスト」は健在。

酸いも甘いも噛み分けた大人だから…いや、「それでもどっこい生きていく」、大人としての「恋」と「人生」、そして「悩み」。常に悩み続ける人間たちを、皮肉っぽい目線ばかりでなく「それも人間なんだよね」っていうスタンスで描き続けるから、見ていて飽きては来ないんですよね。こういう人間臭さに飽きてきた人には、『ニーチェの馬』がオススメ!?

熟年離婚してもう一花咲かせようと、元娼婦と結婚するトチ狂った老紳士を、アンソニー・ホプキンスが。文筆業としていつまでも芽が出ずにいる作家をジョシュ・ブローリン、その妻役にはナオミ・ワッツが。ワッツの魅力的な上司役はアントニオ・バンデラス。ブローリンと向かいに住み、恋に落ちるエキゾチック美女をフリーダ・ピントが演じる。こんな感じで他人の恋愛話が、また見事に一つのテーブルクロスの中で収まってくる。

相変わらず見事で、人間心理に長けていて、どことなく可笑しくて同時にくだらない。 老いて占いにハマる老女ヘレナは、まるで自分の母親のように思えてしまった!そう、居るんですよね、スピリチュアル系に傾いていく人って。まるで宗教に変わる何かのように、自分がすがるべき何かを占いにする人。でも、そのおかげかもしれないけれど、熟年離婚して精神的に参っていたヘレナは、元気になれるキッカケにもなれた。そして、なんだかんだこの占いが当たっているように描かれたりするんですよね。すっかり占いの言う通りになってしまったヘレナが、娘のサリー(ナオミ・ワッツ)にお金を貸さないことを頑として譲らないけれど、もしかしてそれで良かったのかも!?

サリーと離婚してディア(フリーダ・ピント)とめでたく付き合いだしたロイ(ジョシュ・ブローリン)も、当てにしていた小説の盗作バレを予見させる終わり方。皮肉たっぷりな幕開けがまたビターで良かったな。アレン作に出る俳優は皆同じような演技をするので、ここがどうしても好きになれない私だけれど。とは言え、基本的にはやっぱり面白く見れてしまうのだから凄い。

 

’10年、アメリカ、スペイン
原題:You Will Meet a Tall Dark Stranger
監督・脚本:ウッディ・アレン
製作:レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム他
製作総指揮:ハビエル・メンデス
撮影:ビルモス・ジグモンド
キャスト:アントニオ・バンデラス(グレッグ)、ジョシュ・ブローリン(ロイ)、アンソニー・ホプキンス(アルフィ)、ジェマ・ジョーンズ(ヘレナ)、フリーダ・ピント(ディア)、ルーシー・パンチ(カーマイン)、ナオミ・ワッツ(サリー)

 

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コメント(2件)

  1. アレンは「好きなアレン」「嫌いなアレン」の差が激しいんだけど、これは「好きなアレン」(笑)
    こういう混み入った、しょーもない話の構成はうまいですね。

  2. rose_chocolatさんへ

    こちらにもありがとうございます〜♪
    へー、そうなんですか。私は実は、「すっごく好きなアレン」はそれほどないんですが、「大して好きでもないけど、別に嫌いでもない」というのが、アレン作品のイメージだったんです。
    しかし最近、結構好きだなー、にまた評価が上がってきている感じがあります。




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