123★ハハハ
’10年、韓国
原題:Hahaha
監督・脚本:ホン・サンス
撮影:キム・ヒョング
キャスト:キム・サンギョン(チョ・ムンギョン)、ムン・ソリ(ワン・ソンオク)、ユ・ジュンサン(パン・チュンシク)、キム・ガンウ(カン・チョンホ)、イェ・ジウォン(アン・ヨンジュ)
「韓国のロメール」と言われるホン・サンスを、私は今回初の鑑賞。会話中心に描かれる、男女の心の機微を、丁寧に等身大に描いていくのでした。「決して自分の想像出来ない範囲のことは語らない」というのがこの監督のスタンスなのかしら。見ている私達も、「まるで自分か」と思えるような、身近な話題で構成されている物語。
二人の男が酒を酌み交わしながら、酒の肴がてら、自分に起こった出来事を共有する。彼ら自身の話は小話のように、小さなエピソードが積み重ねられていくのだけれど、それぞれの話が終わったと思われるところで、「じゃあ乾杯」(「カンペー」と発音する)、の1語をモノクロ画像を挟んでいく。
このエピソードが繰り返されるうちに、おかしいなと思い始める。何故なら、彼らはそれぞれ同じ人物と会っているんですね。見ている方は、何故気づかないのだろう?と不思議に思ったりもする。ハハーンこの作品ではそうしたニアミスを楽しむわけね、と座り直し、気づくか気づかないかの微妙なラインをまた楽しむのでした。じゃあシャレオツなおどけ感が鼻につくテイストか、と言えば全くそういうことはなくて、むしろ格好のつかない男たち・女たちの等身大な姿に、親近感を抱いてしまうのでした。
ところで、あの韓国料理の女将さんは、気前が良くすぐに人を息子にしてしまうタイプなのね。ニアミスするもう一人の存在が交差する辺りが面白い。あの辺も後でようやく分かってくるのだけれど、初めはアレ?アレアレ?と謎に思えてしまったわ。上手いことヤラレタ。
ただ、彼ら二人が付き合ってるヒロインが、ムンギョンの方の相手の女性が(洗足館で働くガイド)上沼恵美子ソックリ、ソンオクの相手役の女性は、SPEEDのヒロにソックリ(ファンの方いたらごめんなさい)!ショートって誰もが可愛いってわけではないのね。あーあ、私もそう見えているのかも。ショートって本当、似合わない人は似合わないもんね。
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コメント(3件)
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どっちが息子だかわかんないくらいごちゃごちゃしてましたね(笑)
おちょくられてるみたいな作風というか。まさに「ハハハ」でした。
rose_chocolatさんへ
こちらにもありがとうございます〜♪
アハハ、roseさんはラストの方、寝落ちってしまったんでしたっけ。
ネタバレですけど、
二人とも「息子」ってなってて、「え?兄弟なんでしょ?」って思いますよね?ところが、様子がおかしい、てなりますね。
あの定食屋の女将さんは、縁のある男の子の世話を焼いて「息子」扱いするのが好きだったようで、ムンギョンの方も、彼が惚れた女の彼氏の方も、どちらも「息子」として世話をしていた、ということなんですヨ。
ラストで分かるんですよね^^*