111★情熱のピアニズム
’11年、フランス、ドイツ、イタリア
監督:マイケル・ラドフォード
撮影:ソフィー・マンティニュー
編集:イブ・デシャン
キャスト:ミシェル・ペトルチアーニ、チャールス・ロイド、アルド・ロマーノ、リー・コニッツ
音楽好きには必見のドキュメンタリーだけど、音楽好きでなくても、ペトルチアーニに元気をもらえるはず。
ミシェル・ペトルチアーニの数奇な人生は、全身の骨が折れた状態で生まれた時から始まる。ガラスのような骨を持つ病気のため、幼少時は歩くことも出来ず、身長は成人してからも1メートルしかなかったとか。代わりに天は彼に2つの素晴らしい贈り物を与えた。桁外れの音楽的才能と、誰にでも愛されるカリスマ的人格。ヨーロッパで初めて名門ブルーノート・レコードと契約、フランス最高のピアニストと讃えられた栄光の日々から、常に女性問題に悩まされたプライベート、名だたるミュージシャンと世界中を飛び回った演奏旅行など、36歳で夭折するまで時代の寵児が駆け抜けた劇的な生を描く・・・goo映画より
ミシェル・ペトルチアーニの音楽に心を動かされ、彼の前向きな姿勢に感銘を受けた。年に必ず音楽を題材にしたドキュメンタリーはあるけれど、今回の作品からもまた、心に栄養をもらえた。ユーモラスな精神性も感じる。私はトークショー付きの回で見た。EMIの会長の行方均氏と、ジャズライター島田奈央子さんによるトークショーだった。ペトルチアーニと生前に交友関係があったという行方氏の話はとても興味深い。
何でも行方氏は、ペトルチアーニ22歳の時に会ったそうで、その時彼は「自分は30までは生きられないだろう」と言っていたのだとか。それから、彼のレコードのタイトル「ミッシェル・プレイズ・ペトルチアーニ」は、デューク・エリントンの「デューク・プレイズ・エリントン」をもじって、行方氏がつけたのだそうな。二日酔いで寝ぼけたペトルチアーニのために。また、ペトルチアーニが何故女性にモテたか?という話も面白かった。ペトルチアーニは、誰かにおぶってもらったり、抱いて運んでもらったりすることが多い。そうしたボディ・コミュニケーションから始まるので、恋愛に発展しやすいんだ、などと皆でうそぶいていたとか。おぶってもらいながらペトルチアーニは、胸を触ったりするらしい(笑)。
彼の人生を追っていく物語の中で、いかに人々に愛されたか、そして彼が人生の達人であったかが分かる。やりたいことは全て行い、愛したい女は愛し、富も名声も手に入れた。彼の才能は偉大ではあるけれど、何よりその貪欲さとパワフルさに圧倒されてしまう。まさに、彼のピアノテクニックと同じように。
※ストーリー・・・
生まれたときから全身を骨折しており、歩くこともままならなかったミシェル。しかし、その類まれな音楽的才能とカリスマ的人格で人々に愛されるようになる。そんな彼の日常や演奏風景の映像と共に、彼を知る者たちが様々なエピソードを語る・・・
2012/12/11 | :ドキュメンタリー・実在人物, :音楽・ミュージカル・ダンス フランス映画, ミシェル・ペトルチアーニ
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