92★EVA エヴァ
’11年、スペイン
原題:EVA
監督:キケ・マイヨ
脚本:セルジ・ベルベル、セルジ・クレメンテ他
製作:セルジ・カサミチャナ他
キャスト:クラウディア・ベガ(エヴァ)、ダニエル・ブリュール(アレックス)、ルイス・オマール、アルベルト・アンマン、マルタ・エトゥラ、アンヌ・カノヴァ(フリア)
こちらは、ラテンビート映画祭とシッチェス映画祭でかかっていた、スペインのSF映画。SF映画でありながら、ハッとするほど映像が美しい。主人公の心理描写が全体に宿っているのか、どこか人間の孤独さ、寂しさを感じさせる世界観。機械対人間という壮大なテーマに仕立て上げるより、あくまで人間味溢れるドラマになっているところが、スペインぽさを感じた。
雪に覆われた冷たい空間が、いかにも機械文明の発展した人間社会のよう。だからこそ、人間らしい表情や感受性を開発する主人公に、ホッとしてしまう。機械の構成を形作る際に、よくあるモノクロの機械と向き合う、という描写ではなく、何もない空間にパアッと広げて見せるという画がとても美しいの。雪の結晶を思わせるような、透明でキラキラした分子の構成式。
お手伝いの執事ロボット(料理も掃除も得意な万能型!)が知り合ってすぐに、「感情レベル8」から「6」に下げさせられる。でもその後に、アレックスの心が疲弊した時に、元へ戻してくれというシーンが感動的。何か余計な言葉をかけようとせずに、ただ黙って抱きしめる。人間らしい感情が、時に煩わしくもあり、時に慰められるものにも成りうる、あの描写がいいな。
ロボットの開発の行き着いた先が、彼らのアイデンティティーや人間らしさの開発、というテーマは、子供の頃大好きだったんですよ。私にはとても懐かしいものに感じた。私の場合、清水玲子の『竜の眠る星』『メタルと花嫁』などのジャック&エレナシリーズ、この影響なのでした。ハマりまくってましたね。ロボットの持つ孤独感を、少女漫画でありながらとことん描くところが、大人っぽくて好きだった。「やるよねー、ロボットの癖に孤独感だよ?由美ちゃんには分からないかもしれないけれど」と言いながら友人に漫画を貸してた私は、しょうもないガキでした。すいません、由美ちゃん。清水玲子さんも誰かしらに影響を受けてるのだろうな、とは思うけれど。私にとっては、彼女の漫画で慣れてしまったものだから、機械と人間の感情、アイデンティティーと言われるともう何やら懐かしい思いでいっぱい。
2012/11/13 | :SF・ファンタジー スペイン映画, ダニエル・ブリュール
関連記事
-
-
『エクス・マキナ』 古くて新しいSFと、ミニマリズムの閉塞的映像美
デジタルで映像がより鮮明になるに伴って、何処に一番美しさを感じますか。...
記事を読む
-
-
13日の金曜日スペシャル! 『10 クローバーフィールド・レーン』
13日の金曜日、おめでとうございま〜す! って、何がめでたいのかサッパ...
記事を読む
-
-
『ロブスター』 人間の世界で生きていて楽しい?生まれ変わるなら何になりたい?
これは、今一番自分が見たかった世界かもしれない。あなおそろしや。 ヨル...
記事を読む
-
-
『オデッセイ』 ユーモアとポジティブさと理系男子
「宇宙で一人取り残される話」と聞いて、思い出す映画は何? 人によっては...
記事を読む
-
-
『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を 109シネマズ大阪エキスポシティ で見た!
このミーハー野郎が!…と言われるのは覚悟の上でございます。 映画ファン...
記事を読む
コメント(2件)
前の記事: 91★スリーピング ビューティー 禁断の悦び
次の記事: 93★夜明けのゾンビ
この女の子がよかったですね。すごくいいオーラ。人間とロボットとの狭間の雰囲気がピッタリでした。
rose_chocolatさんへ
こんばんは〜♪コメントありがとうございました。
そうそう、この女の子がすごーく可愛いんですよね〜♪
キリッとしてて可愛くて。この作品の評価が高いのも、この子のおかげかな?って思っちゃいました。